監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

顎から首にかけて生じる炎症ニキビ。顔のニキビと比較して、サイズが大きく、広範囲に及ぶこともしばしばです。季節の変わり目に大量のニキビが発生し、悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

ここでは、首ニキビの原因と治し方、ニキビ跡を隠す方法を紹介します。美しく、女性らしいネックラインを作るための対策を、早速今日から始めましょう。

首にニキビができる原因4個

まず、首ニキビを招く原因を紹介します。首ニキビの根本的な原因は、毛穴内部でアクネ菌が繁殖し、炎症を起こすことです。では、アクネ菌の繁殖は、どのような原因から起こるのでしょうか。繁殖につながる要素として、以下4個の内容が考えられます。

1. ホルモンバランス

ホルモンバランスは、皮脂量のコントロールも担当します。睡眠不足や過剰なストレス、生理周期の影響などから、ホルモンバランスが乱れると、必要以上の皮脂が分泌され、毛穴が詰まってしまうのです。詰まった毛穴は、アクネ菌の繁殖しやすい環境です。

アクネ菌の繁殖が進み、炎症を起こしたものが赤ニキビ。何も対処を行わずに放置すれば、炎症が広範囲に広がり、ひどいニキビに進行します。

2. ターンオーバー周期の乱れ

首の皮膚も、一定周期で生まれ変わりを繰り返し、健やかな状態を維持します。紫外線ダメージの蓄積や肌の乾燥、加齢によって生まれ変わりのサイクルが乱れると、十分なバリア機能が働きません。

バリア機能の低下した肌は、異物の侵入を招きやすく、刺激に対して敏感である状態です。自分自身を守るために過剰な皮脂を分泌し、毛穴詰まりを悪化させます。

3. 汚れの蓄積

汗やほこりといった首の汚れも、ニキビの悪化につながります。汗を放置することで、アクネ菌の繁殖しやすい環境に傾くことが理由です。放置した汗に空気中の汚れが付着し、古くなった角質と混ざり合うと、角栓が生じます。蓄積した汚れは、普段通りに洗うだけでは落とすことができず、集中的な対策が必要です。

4. 保湿不足

首の皮膚は顔より薄く、デリケートな部位に該当します。しかし、顔ほど丁寧に保湿ケアを行う人は少なく、知らず知らずのうちに乾燥やしわ、ハリの低下といったトラブルを起こし、肌の健康状態を損なうことも多いもの。弱った肌が炎症を起こすと、ニキビの増加を招きます。

首にニキビが急に大量にできる原因

突然生じる大量のニキビも、根本的な原因は同じです。ホルモンバランスや蓄積した肌の汚れ、日常的なお手入れ不足など、複数の原因が重なり合い、潜在ニキビが生じます。

潜在ニキビの段階では、ざらざらした手触りが気になる程度に過ぎないため、トラブルとして認識しないことも多いのですが、そのまま放置していると、急に大量のニキビが発生。発生したニキビが気になって、手で触れたり、過剰な洗浄を行ったりすることで、炎症が悪化します。

大人ニキビは、心身の状態を映し出す鏡であるため、急に増えたタイミングで原因究明を行うことが心地良い生活の近道です。上で紹介した原因以外に、次のような要素が引き金となり、首ニキビが増加するケースもあります。

・ボディケア製品のミスマッチ
・シャンプーやコンディショナーのすすぎ残し
・ワイシャツなどに付着した襟元の汚れ
・洗濯用洗剤に対するアレルギー
・内臓の不調

食物アレルギーを突然発症するリスクがあることと同様に、ある日突然特定の事象に対する過敏な反応が生じ、大量のニキビができることもあります。「たかがニキビ」と放置せず、正しい原因解明のもと、適切なお手入れを行いましょう。

しこりはニキビではない!?

炎症が悪化し、腫れ上がった赤いニキビは、しこりニキビと呼ばれます。しこりニキビができてしまうと、ニキビ跡として残ってしまうケースが多く、女性にとっては悩みの種です。セルフケアでは対処できない可能性があるため、できるだけ早く、医療機関に相談しましょう。

医療機関を受診するメリットは、トラブルの原因がはっきり分かり、適切なケアができる点です。しこりニキビとよく似た症状の生じるトラブルに、粉瘤という腫瘍が存在します。粉瘤とは、肌の内側に角質や皮脂のできものが生じ、盛り上がって見える良性腫瘍です。しこりニキビと粉瘤は非常によく似ているため、素人判断では、対応を間違えてしまう恐れがあります。早い段階で医療機関を受診し、専門家の判断をあおぎましょう。

首ニキビの治し方8個

できてしまった首ニキビを治すためには、スキンケアや生活習慣の見直しが不可欠です。以下の対策を実践し、炎症の沈静と肌質改善を目指しましょう。

1. 市販のニキビ治療薬を活用する

軽症の首ニキビは、市販薬で対処できます。抗炎症成分や殺菌成分を含む市販薬から症状に合うものを選択し、商品指定の使い方に従って、一定期間使用しましょう。市販のニキビ治療薬に含まれる代表的な成分と働きは、次の表の通りです。

目的主な働き代表成分
抗炎症成分炎症を抑えるとともに、ニキビの悪化を予防します。イブプロフェンピコノール・アラントイン・グリチルリチン酸二カリウムなど
殺菌成分アクネ菌を殺菌し、炎症の悪化を予防します。レゾルシン・イソプロピルメチルフェノール・トリクロサン・エタノールなど

市販のニキビ治療薬の中には、イオウなど角質軟化成分を含むものも見受けられます。この成分を含む商品は、思春期ニキビのように過剰な皮脂が原因のニキビに適した治療薬です。大人の女性の首ニキビには刺激が強く、トラブルを悪化させるリスクがあるため、使い分けを行いましょう。

まれなケースとして、市販のニキビ治療薬を使用し、症状が悪化するケースもあります。肌が敏感・化粧品かぶれの経験を持つといった人はとくに拒否反応を生じるリスクが伴うため、皮膚科を受診して下さい。

2. 身体の洗い方を見直す

スポンジやナイロンタオルでゴシゴシこする洗い方は、肌に刺激を与えます。次の手順を守り、正しい方法で洗いましょう。

【1】洗浄料をよく泡立てる
ボディソープや石鹸を直接身体に塗ることは避け、十分に泡立てます。首や身体の乾燥が気になる人には、弱酸性の洗浄料がおすすめ。敏感肌・乾燥肌用に開発された洗浄料の中から、肌質に合うものを使って下さい。

【2】道具は使わず、手で洗う
泡立てた洗浄料を手のひらに乗せ、上から下へと順番に洗います。洗い方のポイントは、大きな円を描くように、優しい力で洗うことです。ニキビのある部位は特に優しく、負担をかけないように洗って下さい。

【3】ぬるめのお湯で泡を流す
使用するお湯の温度は、38度から40度程度が適切です。熱いお湯で洗い流すと、肌の乾燥を悪化させ、バリア機能の低下を招くリスクがあります。乾燥から生じるニキビを防ぐためにも、適温に調整しましょう。

前述のように、シャンプーやトリートメントが首に付着し、ニキビを生じることもあります。首ニキビをできるだけ早く治すためには、身体より前に髪を洗い、シャンプーやトリートメントが肌に残ることのないように工夫する方法も一案です。

3. 顔と一緒に保湿を行う

首まできちんと保湿を行い、バリア機能を回復させることがアクネ菌に負けない肌を育ててくれます。化粧水や美容液を塗る時に首まで伸ばし、日々の保湿を行いましょう。

顔は乾燥する・首はべたつくなど、肌質が異なる女性は、首専用の保湿商品が必要です。軽い質感のジェルローションであれば、べたつきを感じることなく、快適にお手入れできます。ホホバオイル、オリーブオイルといった油性成分を含むボディクリームは、ニキビを悪化させるリスクがあるため、ひとまずお休み。「ノンコメドジェニック処方」の記載が見られるボディケア商品は、ニキビの悪化を招きにくく、日々の保湿に重宝します。

4. 首周りを清潔に維持する

首の周りは、非常に汗をかきやすく、蒸れやすい部位と言えます。汗をかいたらすぐに拭き、衛生的に維持しましょう。ウォーキングやランニングで大量の汗をかいた後は、シャワーをあびます。汗をきれいに流した後に十分な保湿を行い、ニキビの悪化を防ぎましょう。

過剰なストレスや疲労を抱える人は、とくに運動を行わなくても、汗をかくことがあります。自律神経の乱れが原因で汗の調整がうまくいかず、不自然な反応が生じるためです。40代以降の女性の中には、ホルモンバランスの乱れから、ひどい発汗を生じる人も存在します。必要に応じて医療機関を受診するとともに、首周りを衛生的に維持する工夫を行い、トラブル悪化を防ぎましょう。

5. できたニキビをいじらない

できてしまったニキビをいじると、ニキビ跡が残りやすく、炎症を悪化させるリスクがあります。無理に膿を出す・つぶすといったお手入れは控え、なるべく触れずに保護しましょう。

毛穴の詰まりを解消するためのスクラブやピーリング、ゴマージュによるお手入れも、炎症が鎮まるまでの期間は、控えて下さい。マフラーやスカーフ、ネックレスなど、ニキビに触れるファッション用品の使用も、控えることをおすすめします。

首ニキビに限ったことではありませんが、ニキビケアの基本は、なるべく刺激を与えず、安静にすることです。基本を遵守した上で、より早く治すための市販薬の使用や皮膚科の受診を検討しましょう。

6. ホルモンバランスを整える

首ニキビを治すためには、ホルモンバランスを整え、健やかな肌を育てることが大切です。過剰なダイエットやストレスの蓄積、睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れを招く要素と言えます。以下のような対策を行い、ホルモンバランスを整えて、内側からきれいな状態を作りましょう。

・適度な運動を行う
・心から「楽しい」と感じる趣味を持つ
・自然豊かな場所へ旅行に出掛ける
・家族や友人と過ごす時間を作る
・残業や仕事量を調整する
・アロマテラピーや音楽を楽しむ
・起床直後に朝日を浴びる

生理前後はとくにホルモンバランスが不安定になりやすく、ニキビリスクが高まります。肩肘張らずにリラックスして過ごし、ニキビの解消を目指しましょう。

7. 食生活を見直す

炭水化物ばかり食べる、野菜や果物を摂らないといった極端な偏食は、肌の健康状態を悪化させます。ニキビを治すためには、以下のポイントを守り、正しい食生活に切り替えましょう。

【1】1日3回、決まった時間に食事をとる
決まった時間に食事をとることで、消化・吸収がスムーズに進み、健やかな肌を支援します。朝食を抜く、深夜に夕食をとるといった生活習慣は控え、規則正しい食べ方を守りましょう。

【2】良質なタンパク質を含める
肉や魚、大豆食品といったタンパク質は、肌の土台を作る際の原料として働きます。タンパク質不足からニキビや肌荒れが悪化するケースもあるため、十分な量を摂取しましょう。

【3】ビタミン食材を含める
ビタミンAは、肌の生まれ変わるサイクルを安定させ、健やかな状態に導く働きを担います。ビタミンB群やビタミンCは、ストレスやホルモンバランスの乱れから生じる大人ニキビ対策に役立つ栄養素。ビタミンEは、体内の免疫機能を高めるために働きます。いずれのビタミンも、ニキビ対策に欠かせない栄養素に該当するため、意識的な摂取が必要です。

8. 皮膚科に行く

セルフケアでは改善できない首ニキビは、医療機関に相談しましょう。一般的な皮膚科で行う治療は、内服薬・外用薬によるもの。代表的な薬の種類と目的は、次の表の通りです。

治療薬使用方法目的・主な働き
アダパレンゲル外用薬毛穴の詰まりを解消し、ニキビを繰り返さない肌を目指す外用薬。表面化する前のニキビにも作用し、ニキビ形成を阻害します。作用の生じるまでに一定の期間を要することから、医師の指導に従って、継続的な対策が必要です。
抗菌薬(クリンダマイシン・ナジフロキサシンなど)外用薬ニキビの原因菌の繁殖を抑え、炎症を鎮める働きが期待されます。ニキビの急性炎症期に使用されることが多く、アダパレンゲルと併用も可能です。
ベピオゲル外用薬ニキビの原因菌に対し、強い殺菌力を持つ外用薬です。急性炎症期から炎症が引いた後の維持期まで、オールラウンドに使用されます。外用・内服抗菌薬と併用し、総合的な治療を行うことも可能です。
内服抗菌薬(ドキシサイクリンなど)内服薬身体の内側からニキビの原因菌に対処する内服薬です。主には急性炎症期の治療として検討されます。

内服薬や外用薬だけで良い変化が期待しにくい場合には、漢方やケミカルピーリング、レーザー治療や光治療など、保険適用外の治療を組み合わせ、対処するケースもあります。ケミカルピーリングとは、グリコール酸やサルチル酸といったピーリング剤を使用し、角質を除去するケア方法です。自宅で行うピーリングと原理としては同様ですが、医師の判断のもとで濃度調整を行うことから、トラブル悪化を予防しながら施術を受けることができます。

レーザー治療や光治療は、特殊なレーザー機器を使用し、トラブル解消を目指す治療法です。使用する機器の種類や当て方を変えることで、ニキビ以外の肌トラブルにも対応できます。

いずれの治療メニューにもメリット、デメリットが存在するため、希望に応じた選択が必要です。治療に伴うリスクや期待される変化、必要な費用など、気になることはカウンセリングで確認し、適切な治療の進め方を相談しましょう。

ニキビ跡を目立たなくする対策3個

首ニキビから生じる色素沈着をカバーする方法はあるのでしょうか。ニキビ跡を目立ちにくくする方法と色素沈着の予防対策を知り、滑らかな美肌を目指しましょう。

1. コンシーラーでカバーする

まず、コンシーラーを使用する方法です。白いコンシーラーをニキビ跡の上に塗り、境目を軽くぼかすだけで、カモフラージュが可能です。さらに上からパウダーを重ねて仕上げると、よれやべたつきが気になりにくく、持続力が高まります。汗かぶれやニキビを防ぐ働きが期待されるパウダーを選択すると、首ニキビの再発予防も可能です。

コンシーラーを塗る時のポイントは、極力薄く仕上げることです。厚塗りすると不自然な印象に見えるため、トラブル箇所の上だけをカバーしましょう。

2. ファンデーションでカバーする

コンシーラーが苦手な人は、リキッドファンデーションを使用し、カバーメイクを行いましょう。自分の肌より明るい色味のファンデーションをニキビ跡の上に乗せ、境界線をぼかします。

持続力を高めるためにボディパウダーを乗せることは、コンシーラーを使用したカバーメイクと同じです。汗を防ぐ働きが期待されるパウダーを使用する場合は、ニキビ跡以外の部分にも乗せてあげると、サラサラの質感を維持できます。

3. 首の紫外線対策を行う

ニキビ跡の根本的な解決を目指すためには、紫外線対策が欠かせません。ニキビ跡の見られる部分に紫外線を浴びると、色素沈着が悪化し、治りが遅くなるケースもあるためです。また、紫外線刺激を受けた肌は、敏感に傾きます。ニキビ跡が治る前にニキビが再発してしまい、トラブルを繰り返す悪循環になりかねません。

では、首の紫外線対策は、どのように行えば良いのでしょうか。結論を先に述べると、顔の紫外線対策と同様です。日焼け止めを使用する・日傘やつばの広い帽子を着用するなど、基本的な対策を万全に行い、ダメージを最小限に食い止めます。

まとめ

首ニキビを治すために必要な対策とニキビ跡のカバー方法を紹介しました。急な炎症が生じたタイミングでは市販薬を使用するとともに、生活習慣の見直しや正しい身体の洗浄を行い、総合的な対策を取ることが大切です。

人から見ると取るに足らない肌荒れも、自分自身ではひどく気になり、生活の質を損なうことは多くあります。コンプレックスを解消し、より良く生きるための手助けとして、早急なニキビ対策を行いましょう。