監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

一般的にはTゾーンにできることの多いニキビですが、口周り、口元にトラブルが起こり、悩みを抱える女性もいます。実はこれは、大人ニキビに顕著と言える症状です。

口周り・口元のニキビ特有の原因と治す方法を知り、繰り返す肌荒れ・吹き出物を解決しましょう。

口周り・口元のニキビがひどい…治らない…

口周りや口元のニキビは、目につきやすい部位である上に治りにくく、繰り返すトラブルに該当します。生理前後や残業続きで忙しい時に限ってニキビが増加し、イライラしたり憂鬱な気持ちになったりと、ストレスを感じてはいませんか。

目立つニキビが嫌になり、つぶしてしまえば、赤ニキビや黄ニキビに移行するリスクがあります。赤ニキビは、毛穴内部に増殖したアクネ菌が繁殖し、赤みを帯びた状態です。ヒリヒリとした痛み、かゆさを伴うこともあります。黄ニキビは、赤ニキビの炎症を放置し、化膿した状態です。ここまで進行したニキビは、セルフケアによる対処が難しいため、皮膚科の治療を検討しなくてはなりません。

仮に自分でつぶさなくても、飲食する際に刺激が加わり、赤ニキビや黄ニキビへ悪化するケースもあります。口を開ける度に痛みを感じる状況では、心から食事を楽しめません。

口周りのニキビの原因5個

このように悩ましい口周り・口元のニキビですが、何が原因で生じるトラブルなのでしょうか。20代後半以降のニキビは、思春期ニキビと異なる原因が考えられます。大人の女性の口周り・口元のニキビを招く原因は、以下5点です。

1. 肌の乾燥

まず、肌の乾燥です。口周りはもともと顔の中でも皮膚が薄く、デリケートな部位に該当します。潤い不足を感じた肌は「自分自身を守らなくては」と考えるため、過剰な皮脂分泌が起こるのです。

通常以上に分泌された皮脂は、毛穴詰まりを招きます。毛穴に詰まった皮脂や古くなった角質にアクネ菌が繁殖し、生じるトラブルが白ニキビです。白ニキビが酸化し、黒く変わってしまうと、黒ニキビが生じます。

2. ターンオーバー周期の乱れ

次に、ターンオーバー周期の乱れです。乾燥した肌では、正常なターンオーバーが行われず、老廃物の排出が滞ります。本来なら排出されるはずだったものの残った肌は、アクネ菌の繁殖しやすい環境です。皮脂やアクネ菌、肌に残った汚れが混ざり合い、ニキビの悪化を招きます。

3. 誤ったスキンケア

年齢肌対策として使用する、美容オイルやクリーム、こってりとした美容液が仇となって、ニキビが増えることもあります。乾燥予防のために適度な油分は必要ですが、過剰な使用は間違いケアです。栄養過多になることで、肌の調子も崩れるため、トラブルを繰り返す悪循環へと陥ります。

4. 外部刺激

次に、外部刺激です。頬杖をつく癖がある・マスクを毎日着用する・口元が隠れるマフラーやストールの巻き方など、外部刺激がニキビに対して刺激を与えて、トラブルを繰り返します。

ニキビができた箇所に行うカバーメイクも刺激につながることがあるため、厚塗りを避け、我慢する期間が必要です。どうしてもメイクを行う時はニキビを悪化させにくいコスメを選び、刺激を抑える対策を検討しましょう。

5. ストレス

精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、過剰な皮脂分泌につながります。すると、毛穴詰まりが悪化しやすく、ニキビを繰り返す原因です。ストレスといっても人間関係や仕事の悩みだけではなく、暑さや湿気、気温差など、気候の変動が影響し、ニキビを生じることもあります。室内環境は快適に維持し、身体に負担をかけない配慮を行いましょう。

口周りに急にニキビができる原因・理由

口周りのニキビが急にできる原因として、ストレス・内臓の不調・ホルモンバランスの乱れなど、多くの要素が考えられます。正確には、小さな問題の積み重ねから「隠れニキビ」ができ、一定ラインに達した時点で「ニキビ」として認識できる状態になったものに過ぎません。言い換えると「急にニキビができる」のではなく、隠しきれない位まで重症化したニキビに「急に気付いた」状態です。

なお、通説的に言われる「チョコレートや揚げ物を食べ過ぎた翌日にニキビができる」といった説に対する明確な根拠は、今のところ存在しません。「胃腸の不調で口周りのニキビができる」といった説も、医学的な根拠に欠けるという主張が見られます。原則的にはトラブルの蓄積によりニキビができ、誤った対処から悪化するものととらえましょう。

口周りのニキビが繰り返す原因・理由

繰り返す大人ニキビの原因は、隠れニキビ対策が不十分であるためです。次のような項目が気になる場合は、隠れニキビが進行し、どこかのタイミングで表面化するリスクがあります。

・毛穴の詰まりやざらつきが気になる
・口周りに小さなポツポツが見られる
・洗顔後の汚れ残りが気になる
・赤み、かゆさといったトラブルを起こしやすい

繰り返すニキビは、セルフケアで対処できない可能性があるため、皮膚科の医師に相談しましょう。隠れニキビに対するケアまで含めて根本的な対処を行い、肌質改善することで、大人ニキビの解消が可能です。

口周りのニキビを治す方法5個[スキンケア]

ニキビを治すスキンケアは、トラブルを起こしにくい肌環境を整え、刺激に負けない状態を作ることです。クレンジングや洗顔の見直しにより不要な汚れをしっかり落とし、丁寧な保湿を行うことで、ニキビの解消を目指しましょう。

1. クレンジング選びを見直す

メイク汚れが毛穴内部に残ってしまうと、大人ニキビが悪化します。メイクの濃さに応じたクレンジングを正しく使い、トラブルの進行を防ぎましょう。

ただし、メイクを落とす力の強いクレンジングの中には、刺激の強い商品が多くあります。慢性的な肌への刺激はニキビを悪化させるリスクがあるため、「強いものほど望ましい」といったことではありません。

濃いメイクを行った日には毛穴内部の汚れまでしっかり落とすオイルタイプ、日常的なクレンジングには負担を抑えたジェルタイプやミルクタイプといったように、複数種類の使い分けをおすすめします。

2. 朝・夜2回の洗顔を正しく行う

次に、洗顔方法の見直しです。過剰な洗顔は、トラブル肌に負担をかけ、バリア機能低下を招くリスクがあります。以下の手順に沿って、朝・夜2回の洗顔を正しく行うことにより、清潔な肌を維持しましょう。

【1】洗顔料を泡立てる
商品記載の使用量を泡立てネットの上に出し、濃密泡を作ります。水と空気、洗顔料を十分に混ぜ合わせ、手のひらを裏返した時にも垂れないくらい濃密で、弾力ある泡を作りましょう。

【2】優しく洗う
洗顔ブラシやスポンジは使用せず、手のひらで洗顔します。強くこするとニキビをつぶしてしまうため、優しく汚れを落として下さい。

【3】十分にすすぐ
人肌よりややぬるい程度のぬるま湯で、顔全体をすすぎます。20〜30回を目安として、すすぎ残しがないように十分な回数だけ行いましょう。

3. 化粧水・美容液で保湿する

クレンジング・洗顔後は、化粧水や美容液でケアしましょう。化粧水や美容液は、保湿成分・抗炎症成分を含むものがおすすめです。

◯保湿成分
潤い不足になった肌に対して水分を補給し、バリア機能を強化する成分です。細胞間脂質を補い、水分保持力を高める・ヒアルロン酸やコラーゲンで肌の土台を強化するなど、商品ごとに異なるアプローチが取られるものの、最終的な到達地点は、十分なバリア機能を備えた肌。刺激に対して敏感に反応してしまう状態を回避し、大人ニキビができにくく、きれいな肌を目指します。

◯抗炎症成分
炎症を起こした肌を鎮め、ニキビの改善や予防を助ける成分です。具体的な成分では、グリチルリチン酸、アラントインなどが該当します。

付け方のポイントは、口周辺を最初にケアし、他の部分に進むことです。口元ニキビを繰り返す人は、この部分のバリア機能低下が顕著である可能性が高いため、最優先でお手入れしましょう。

4. クリーム・オイルを適量使う

クリームやオイルといった油分を含む基礎化粧品を適量使い、乾燥の進行を阻止しましょう。クリームやオイルを使用するタイミングは、化粧水や美容液によるケアの後です。順番を間違えてしまうと、保湿成分・抗炎症成分の浸透を妨げるため、ルールに沿ってお手入れしましょう。

5. 美白ケアはお休みする

ニキビ跡を予防・改善するためには、美白美容液やクリームによるお手入れが必要です。これらの基礎化粧品は、口元ニキビが落ち着き、肌の健康状態の回復を確認したタイミングで使用します。ニキビがひどい時の使用は、炎症を悪化させるリスクがあるため、一旦お休み。肌の調子と相談しながら、再開時期を検討しましょう。

また、美白ケア以外にも、バリア機能の衰えた肌に刺激を与える可能性が高いお手入れは、多くあります。次のようなお手入れは一旦休み、ニキビが治ったところで、必要性を判断しましょう。

・ピーリングやゴマージュ、酵素洗顔などの角質ケア
・拭き取り化粧水やエタノールを多く含む収れん化粧水
・剥がすタイプの毛穴パック

口周りのニキビを治す方法5個[食べ物]

日本皮膚科学会が一般公表する「尋常性ざ瘡治療ガイドライン2018」(※尋常性ざ瘡とは、ニキビを差す専門的な用語)によると「特定の食物と痤瘡の関係は明確ではない」とされています。

つまり、全ての人に共通し、「これを食べることで、ニキビが悪化する」や「これを食べることで、ニキビが治る」といった食べ物は、存在しないということです。

ただ、皮膚の代謝を促し、健やかな肌を作る食生活を意識することにより、ニキビの予防や改善はできるとも考えられます。美肌作りに欠かせない栄養素と食品例を紹介するため、食生活改善のヒントとして活用して下さい。

1. ビタミンB群で脂質代謝を促進する

ビタミンB2やビタミンB6には、脂質の代謝を促進し、皮脂分泌をコントロールする働きが期待されます。

皮膚や粘膜の健康維持には欠かせない栄養素であるため、意識的に摂取しましょう。ビタミンB2はレバーやうなぎ、ビタミンB6は青魚などに含まれます。

2. 食物繊維で腸内環境を整える

腸内環境が悪化すると、デトックスがうまく進まず、肌荒れやイライラ、過剰な皮脂分泌につながるリスクがあります。水溶性食物繊維・不溶性食物繊維をバランスよく摂取し、要らないものの排出を促すことで、健やかな肌への生まれ変わりを支援しましょう。

水溶性食物繊維は、海藻類や里芋、大麦などから摂取できます。不溶性食物繊維を多く含む食材は、根菜類やきのこ類などが代表例です。

3. 動物性・植物性タンパク質をバランスよく摂る

タンパク質不足は、免疫力の低下や肌荒れ、疲労感の一因と言われています。肉や魚、乳製品に含まれる動物性タンパク質、大豆食品に含まれる植物性タンパク質をバランスよく摂取し、トラブルリスクを軽減しましょう。

動物性タンパク質に含まれるアミノ酸、植物性タンパク質に含まれるアミノ酸は働きが異なることから、どちらが不足した場合にも、不具合が生じるリスクはあります。体重1kgあたり1.0kg〜1.2kgを目安として、バランス良く摂ることが大切です。

4. ビタミンAでターンオーバーを促進する

ビタミンAは、ターンオーバーを手助けし、健やかな肌への生まれ変わりを促します。十分なタンパク質と組み合わせて摂取することにより、ニキビ改善を助け、乾燥や皮脂の過剰分泌抑制の支援も行います。ビタミンAを含む食材には、鶏や豚のレバー、乳製品などが該当します。

なお、ビタミンAは脂溶性ビタミンに該当するため、過剰摂取に注意しましょう。通常の食事で過剰摂取に到ることは少ないものの、ビタミンサプリメントの服用やレバーの食べ過ぎなどから悪影響が生じるリスクはあるため、適量摂取をおすすめします。

5. ビタミンCでストレスケアする

ビタミンCは、抗ストレスホルモンの分泌を助け、抵抗力を高める働きを担います。ストレスから生じる自律神経の乱れ、大人ニキビの改善を助ける栄養素に該当するため、意識的に摂取しましょう。

また、ビタミンCは、セラミドの合成を促し、バリア機能強化を支援する栄養素です。スキンケアの働きを後押しするため、他の対策を行いながら十分な量の摂取を続けることで、相乗作用が期待されます。

ビタミンCを多く含む食材例は、柑橘類や赤ピーマン、ゴーヤです。熱に弱い栄養素に該当するため、生の野菜や果物を日々の食事に取り入れましょう。

口周りのニキビを治す方法3個[その他]

大人ニキビは、複数の問題が重なり合って重症化するケースが多くあります。上でも軽く触れたように、セルフケアでは治すことが難しいニキビは、医療機関の受診を検討しましょう。ここでは、皮膚科や美容皮膚科、漢方内科で受ける治療と相談先の選び方を紹介します。

1. 皮膚科のニキビ治療を受ける

まず、皮膚科に相談する方法です。皮膚疾患としてニキビを扱い、外用薬や内服薬、ビタミン剤などによる治療行為が検討されます。皮膚科のメリット、デメリットは、次のような内容です。

皮膚科のメリット皮膚科のデメリット
・保険診療がメインであるため、金銭的な負担が軽い。

・ダニや感染症など、ニキビによく似た症状を生じる皮膚疾患である場合も、的確な治療が可能。
・ニキビ跡や色素沈着など、美容分野に対するケアは期待しにくい。
・1回目の相談で初診料が発生する。

・自由診療を希望する場合は、美容皮膚科に対し、改めて相談が必要。

2. 美容皮膚科の治療・ケアを受ける

美容皮膚科では、ケミカルピーリングやイオン導入、光治療など、自由診療を含めたケアを行います。ケミカルピーリングとは、グリコール酸やレチノイン酸を使用し、古い角質を除去することにより、健やかな肌への生まれ変わりを促進するケア方法です。

イオン導入とは、特殊な機械を使用し、ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などニキビケアに貢献する成分を肌に届けるケアを指します。

美容皮膚科のメリット美容皮膚科のデメリット
・口元ニキビの予防や美肌対策を含めた総合的な対応を相談できる。

・ニキビ跡や美白、毛穴の引き締めなど、ニキビケア以外のメニューも豊富。
・主に自由診療を行うため、金銭的な負担が重い。

・ニキビ以外の皮膚疾患が原因であった場合、美容皮膚科では対処が難しいこともある。

3. 漢方内科に相談する

漢方内科とは、東洋医学の視点を取り入れ、体質改善や生活習慣の見直しなど、幅広いアドバイス・治療を行う診療科です。

「生理前後のイライラ、情緒不安定がひどく、口元のニキビも気になる」「忙しい時期には胃腸の調子が優れず、口周りのニキビを繰り返す」といった相談に対して必要に応じた検査を行い、漢方薬や西洋医学の薬、運動療法や食事療法などを組み合わせ、体質改善を目指します。

漢方内科のメリット漢方内科のデメリット
・自律神経の乱れやホルモンバランス、内臓の不調など、根本的なトラブルに対するケアが期待される。

・専門家の指導のもと、漢方薬やサプリメントを服用するため、自己判断で行うよりは安全である。
・西洋医学と比較し、明確な根拠に乏しい処置も多く、リスクや不確実性を理解した上で治療を進める必要がある。

・体質改善には時間がかかるケースは多く、即効性は期待しにくい。

まとめ

スキンケアや食生活、医療機関の受診など、口元ニキビを治すための方法を紹介しました。正しい対処を行うことで、繰り返すニキビを治し、スベスベの肌を作ることが可能です。ニキビが治っても安心せず、予防対策を行うことで、理想的な状態を維持できます。継続的な取り組みにより、美しく、トラブルに負けない肌を育てましょう。