監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

乾燥肌にも関わらず皮脂が多い・起き抜けの顔がテカテカ、ベタベタし、不快であるといったトラブルは、水分と油分のアンバランスが原因かもしれません。

思春期であればまだしろ、30代や40代になってもなお皮脂の悩みを抱えることは、何となく気恥ずかしく、コンプレックスを感じてはいませんか。

今回は、大人の女性の過剰な皮脂分泌の原因と改善対策を紹介します。

顔の皮脂がすごい…

「起床後すぐに洗面台へ行き、念入りな泡洗顔を行う。頻繁に油取り紙を使用し、テカり・ベタつきを抑える。ファンデーションのヨレや顔の臭いも気になるため、昼休みと帰宅前のメイク直しは欠かさない」

顔の皮脂に悩む女性の1日は、このように進行します。努力もむなしく、ベタつき、テカり、大人ニキビが発生し、皮脂トラブルの悪循環に陥ると、憂鬱な気分になりますよね。

大人の女性の顔の皮脂は、乾燥トラブルを併発しやすく、思春期の女の子とは異なる対処が必要です。「ゴシゴシと洗顔を行えば、かさつきやシワ、たるみを招き、ソフトなケアに切り替えると皮脂がひどく分泌される」といった負のループに陥りやすく、知らず知らずのうちに肌をいじめ、トラブルを悪化させることが多くあります。

顔の皮脂が多い原因・理由3個

生まれつき皮脂腺が大きく、皮脂分泌量の多い人も、一定数存在します。両親ともに皮脂分泌量が多く、顔のテカりやベタつき、臭いが気になるようであれば、生まれつきの肌質を疑いましょう。しかし、そもそも日本人は、普通肌が多い人種に該当します。後天的な皮脂の過剰分泌を招く理由は、以下3点です。

1. 肌の乾燥

まず、肌の乾燥です。誤った洗顔やスキンケア、加齢によって肌の乾燥が進行すると、自分自身を守るための防御反応として、皮脂分泌量が増えてしまいます。一見するとしっとり潤っているように感じる肌の内部は、乾燥トラブルが進行し、カサカサしている状態です。

2. ホルモンバランスの乱れ

30代後半から40代にかけて顔の皮脂が増えた人は、ホルモンバランスの影響が懸念されます。皮脂腺の活動を促す男性ホルモンが優位となって、過剰な皮脂が分泌される状態です。

生理前はニキビができる・出産を機に肌質が変わったといった実感を持つ人の肌ストレスも、同様の原因が疑われます。スキンケアによる対策だけでは解決が難しいため、ホルモンバランスを整える習慣が大切です。

3. 生活習慣

最後に、生活習慣に関することです。過剰なストレス、睡眠不足、栄養バランスの乱れなど、自律神経の乱れを生じる生活習慣が引き金となり、皮脂量のコントロールがうまくいかない人もいます。

自律神経の乱れはホルモンバランスにも関係するため、2の内容もふまえた対策が必要です。仕事が忙しいと皮脂量が増加する・夜勤の後は肌の調子が悪いといった実感を持つ人は、この要因を疑いましょう。

顔の皮脂の臭いの原因・理由

人間の体臭には、皮脂・汗・皮膚常在菌と、3種類の要素が関係します。分泌されたばかりの皮脂や汗にはひどい臭いがありません。しかし、時間が経過し、皮膚常在菌に分解されると、鼻をつく臭いを発します。

つまり、古くなった皮脂が顔の上に多いほど臭いを生じるリスクは高く、いわゆる「おじさん臭」「おばさん臭」といったトラブルを起こしがちです。制汗スプレーや消臭シートだけでは根本的な対策にならないケースも多く、不要な皮脂をきれいに落とす・過剰な皮脂を分泌させない対策が求められます。

顔の皮脂が引き起こす肌トラブル

過剰な皮脂が招くトラブルは、非常に多くの種類があります。まず、大人ニキビや黒ずみです。過剰な皮脂が毛穴に詰まり、空気に触れて酸化すると、黒ずみ汚れになってしまいます。毛穴の詰まりは、アクネ菌の繁殖を招き、大人ニキビを増加させる要素です。大人ニキビをつぶしてしまうと、クレーター状の凹凸やシミが生じ、消えにくいトラブルに発展する恐れがあります。

顔がかゆい・赤みが目立つといったトラブルは、皮脂に対する拒否反応が一因です。もともと自分の身体から生じた油分とは言え、通常以上に分泌されると、肌に対して良くない影響を与えます。また、皮脂の過剰分泌を起こした肌は、基礎力の衰えが懸念される状態です。正常なターンオーバーがなされなければ、シワやたるみといったエイジングトラブルを起こしてしまうリスクがあります。

顔の皮脂の落とし方3個

過剰な皮脂を放置したばかりに多くのトラブルが生じることを考えると、「今すぐに対処したい」と感じますよね。正しい皮脂の落とし方を実践し、健やかな肌を目指しましょう。

毎日の習慣として続けたい落とし方・浮いた皮脂が気になる時のケア方法・皮脂汚れが目立つ部位の集中ケアと3つのパターンに分類し、対処法を紹介するため、お手入れの参考に活用下さい。

1. 朝・夜2回の洗顔を正しく行う

顔の皮脂を落とすためには、朝・夜2回の洗顔を行います。過剰な洗顔は乾燥の原因となるため、1日2回が適切です。ぬるま湯だけの洗顔では、皮脂が残ってしまいます。汚れ吸着力の高い洗顔料を使用し、不要な皮脂や顔の汚れを落として下さい。

洗う際のポイントは、皮脂の気になる部分から洗うことです。乾燥が気になる部分とタイムラグを作ることで、インナードライの進行を予防できます。すすぐ際には、体温よりやや高めのぬるま湯を使用しましょう。

冷たい水を使用すると、皮脂汚れが顔の上で固まり、落としきれないリスクがあります。反対に熱すぎるお湯を使用すると、肌の健康維持に欠かせない皮脂まで落とし、乾燥を悪化させる原因です。お風呂のお湯の温度より低く、体温より高い程度の温度を守りましょう。

2. 油取り紙を正しく使う

次に、皮脂浮きが気になる時の落とし方です。

吸収力の優れた油取り紙をそっと当てて、過剰な皮脂を吸収しましょう。この時、強く押し付けたりこすったりする使い方は、肌の保湿に必要な皮脂まで落としてしまうリスクが高く、トラブルの原因です。頬や目元など、乾燥しやすい部位に対する使用も避けて下さい。

前述のように、余計な皮脂を放置するほど臭いが生じるリスクは高く、速やかな対処が大切です。適度な頻度で油取り紙を使用し、顔の臭いを予防しましょう。

3. 部分用のクレイパックで集中ケア

皮脂がとくに気になる時には、クレイパックでケアしましょう。クレイパックとは、天然泥をペーストにし、皮脂や毛穴汚れの気になる部分をパックするケア方法です。毛穴内部に残った汚れを吸着し、落とす働きが期待されます。

クレイパックのケア手順は、次のような流れです。

【1】クレイペーストを作る
クレイパウダー大さじ2〜3杯・水大さじ1〜2杯を混ぜ、クレイペーストを作成します。チューブ式のクレイパックを使用する場合には、この工程が不要です。

【2】皮脂の気になる部分に塗る
クレイペーストを、皮脂分泌の気になる部位に塗って下さい。塗る量が少なすぎるとすぐに乾いてしまうため、肌が見えなくなる位を目安に、しっかりとパックします。

【3】乾燥する前に洗い流す
10分〜15分を目安にパックを行い、クレイを洗い流します。放置時間は目安に過ぎず、肌の調子と相談しながら、適度な分数に調整しましょう。ただし、クレイペーストがカサカサになる位まで放置すると、乾燥を招くリスクがあります。乾く前には洗い流し、保湿ケアを行いましょう。

顔の皮脂を抑える改善対策方法5個[スキンケア]

次に、顔の皮脂を抑える対策を紹介します。皮脂を抑える対策の基本は、日常的なスキンケアです。以下5つの方法から状態に合う対策を選び、習慣として継続しましょう。

1. 保湿基礎化粧品を活用する

まず、化粧水や美容液による保湿ケアです。ヒト型セラミド・ヒアルロン酸など、潤いを補充する成分の含まれる基礎化粧品を活用し、デリケートに傾いた肌を保護しましょう。

化粧水をつける時のポイントは、洗顔とは反対の順番で行うことです。目元や口元といった乾燥しやすい部位に対するケアを最初に行い、皮脂分泌の目立つ部位を後にします。化粧水が肌にしみ込んだことを確認してから乳液をつけ、乳液やクリームで蓋をしましょう。

2. 乳液・クリームを省略しない

過剰な皮脂をコンプレックスに感じる女性の中には、乳液やクリームに対する苦手意識が強く、自己判断による省略を行う人も多くいます。しかし、基礎化粧品は、化粧水・乳液もしくはクリームをセットで使用し、状態が整うように作られるもの。

乳液やクリームの省略によって、肌トラブルが悪化するケースもあるため、この工程が欠かせません。

乾燥が原因の皮脂分泌過剰を起こした肌では、保湿化粧水から乳液、クリームまで一連のお手入れを継続し、インナードライを解消すると、状態が整います。ターンオーバー周期に沿い、1ヶ月は丁寧な保湿を続け、肌の変化を見極めましょう。

3. 低刺激の洗顔料に切り替える

次に、洗顔料の刺激が原因で、乾燥を起こした肌に対する対処です。できるだけ刺激が少なく、バリア機能をいたわりながら汚れを落とす洗顔料に切り替えましょう。

皮脂対策用の洗顔料の中には、殺菌成分や強い洗浄力を持つ成分を含み、刺激の強いものもあります。敏感肌用の洗顔料から低刺激タイプの商品を探し、切り替えを行いましょう。

4. 収れん化粧水でパッティングする

朝のスキンケアの仕上げとして、収れん化粧水をパッティングすると、過剰な皮脂を抑制できます。以下の手順でケアを行い、サラサラ肌を作りましょう。

【1】収れん化粧水をコットンにつける
500円玉硬貨大程度の化粧水をコットンの上に出します。部分的に使用する場合はもう少し少量であっても構わないため、目的に応じた量を使って下さい。

【2】皮脂が気になる部位をパッティングする
下から上へと引き上げるように、対象部位をパッティングします。ひんやりした感覚があれば、正しくお手入れできている証拠です。

収れん化粧水は、マストで使用するスキンケアというより、ベタつきが気になる時期のお助けケアに活用できるアイテムです。水分・油分のバランスを整えるためのプラスワンアイテムとして使い、過剰な使用は避けることをおすすめします。

5. 化粧崩れ防止スプレーを活用する

メイクのヨレを防ぐためには、化粧崩れ防止スプレーを使用し、皮脂を抑える方法も考えられます。メイクの仕上げにスプレーを行うだけで、皮脂や汗を抑制し、ヨレ防止が可能です。朝の使用だけではなく、ポーチに入れて持ち歩き、メイク直しのタイミングで使用することもできます。

保湿成分・皮脂吸着成分の両方を含む商品であれば、帰宅までのつなぎ保湿の役割も果たし、インナードライ肌との相性が良いアイテムです。

なお、エタノールを含む商品は、乾燥を悪化させるリスクがあるため、生まれつきの脂性肌という人以外は避けて下さい。購入前に原料表記を確認し、刺激を抑えた商品を選択しましょう。

顔の皮脂を抑える改善対策方法5個[食べ物]

次に、食習慣の見直しによる皮脂抑制対策を紹介します。皮脂が気になる時は控えたい食べ物・意識的に摂りたい栄養素を知り、きれいな肌を目指しましょう。

1. 脂質の多い食べ物を控える

脂質の多い食べ物は、皮脂分泌量を増加させ、肌荒れを悪化させるリスクがあります。インスタント食品やコンビニのお弁当、外食メニューには、飽和脂肪酸を含むものが多く、頻度の調整が必要です。

コンビニで昼食を購入する際に、タンパク質のおかず+サラダ+おにぎりと栄養バランスを考えて選ぶ・居酒屋で揚げ物は避け、焼き物・蒸し物を注文するなど、外食が避けられない状況であっても、過剰な摂取を回避することはできます。

「今日だけ特別」が積み重なり、肌荒れを悪化させることのないように、継続的な努力が必要です。

2. GI値の高い食べ物を控える

白米や食パン、パスタなど、GI値の高い食べ物は、インスリンの大量分泌を招き、ホルモンバランスの乱れを起こすリスクがあります。皮脂が気になる時には、炭水化物や甘いお菓子を制限し、インスリンの分泌を抑えることが大切です。

炭水化物の量を無理なく減らすためには、食物繊維を多く含む食材との組み合わせが推奨されます。白米よりは納豆ご飯、バタートーストよりは野菜サンドといったように、食物繊維豊富な野菜、大豆食品と組み合わせで摂取すると、インスリンの過剰分泌を抑制でき、皮脂対策が可能です。

3. ビタミンB1・B2で代謝を促す

ビタミンB2は脂質、ビタミンB1は糖質の代謝を促し、皮脂量のコントロールに貢献します。ビタミンB1・B2を含む食材の代表例は、次のものです。脂質・糖質の多いメニューを食べる時には、これらの食材を組み合わせ、肌荒れを防止しましょう。

<ビタミンB1>
うなぎ、豚のヒレ肉、枝豆、玄米ご飯、ぬか漬けなど

<ビタミンB2>
レバー、うなぎ、牛乳、魚肉ソーセージ、青魚など

ビタミンB群は水溶性に該当するため、余剰分の蓄積ができません。毎回の食事で適量を摂取し、習慣として続けることが大切です。

4. ビタミンC食材を毎日食べる

ビタミンCには、皮脂の過剰分泌を抑制し、コントロールする働きが期待されます。コラーゲン合成を促す栄養素にも該当するため、毎日の適量摂取を意識しましょう。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、ビタミンC摂取量目安は、1日あたり100mgとされています。

レモン約1個分のビタミンCを毎日摂取すれば、十分量を維持できる計算です。喫煙や飲酒、ストレスなどによりビタミンCの消費量が多い人は、100mgでは不足します。生の果物や野菜を毎日摂取し、過剰な皮脂を抑制しましょう。

5. 良質なタンパク質を毎日食べる

肌や髪、血液の原料となるタンパク質は、美肌作りに欠かせない栄養素です。肉や魚、卵、大豆食品といった良質なタンパク質食材を毎食摂取し、健やかな肌への生まれ変わりを助けることが皮脂抑制の近道と考えられます。

日本人女性はタンパク質不足の傾向があると言われるため、バリア機能の低下や皮脂の過剰分泌を起こしやすい状況です。メインのおかずを省略せず、適量摂取を守って下さい。

顔の皮脂を抑える改善対策方法3個[日常生活]

最後に、日常生活の改善による皮脂対策を紹介します。皮脂の抑制だけではなく、エイジングトラブルの予防や美肌作りに貢献する対策であるため、できることから実践しましょう。

1. 体内時計を整える

まず、体内時計を整えて、バリア機能の正常化を促すことです。近年の研究で、健やかな肌を維持するためには、体内時計の正常な機能が大切であることが分かってきました。夜更かしや休日の寝坊、睡眠不足などによって体内時計が乱れると、バリア機能が低下し、皮脂分泌過剰を招くリスクがあります。

よって、顔の皮脂のコントロールを行うためには、毎日決まった時間に就寝し、質の高い睡眠を取ることが大切です。起床後は、意識的に朝日を浴び、体内時計をリセットしましょう。

2. リラックスする時間を作る

精神的なストレスを感じた時の皮脂分泌量は、通常時の約1.7倍と言われます。そもそもストレスを感じる状況を避けることができれば理想的ではあるものの、現実的な対策とは言えません。

職場の同僚や親戚、近所の人など、多くの人と関わるほど、意見の食い違いが生じる場面は多く、ストレスを完璧に回避することは難しいもの。ヨガやストレッチ、カラオケなど、自分なりの趣味を持ち、リラックスする時間を作りましょう。

3. 低刺激コスメを使う

前述のように、過剰な皮脂分泌は、外部刺激に対する防御反応が一因です。肌に対して負担の大きいファンデーション、パウダーを乗せると、余計に刺激を感じてしまい、過剰な皮脂分泌につながるリスクがあります。使用コスメの原料を今一度見直し、低刺激コスメに切り替えましょう。

まとめ

顔の皮脂の分泌過剰を招く原因、落とし方や改善対策を紹介しました。改善対策を実践しても、数日や1週間で肌質が変わるわけではないため、継続的な対策が必要です。今の時点で行う対策が「1年後や5年後、10年後の肌を変える」と考え、地道な努力を続けましょう。