監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

「20代前半のようなハリを維持したい」「10年後も今の私のままでいたい」といった感情を持つことは、恥ずかしいことではありません。それでも、人には相談しにくい問題だからこそ、老化防止対策を間違えてしまうことがあります。

肌の老化を招く原因とエイジングケアを検討すべきタイミング、若々しい肌を維持するための対策について、今一度おさらいしましょう。

肌の老化はいつから始まる?年齢は?

老化が顕著になるタイミングは、20代後半あたりです。25歳を過ぎたくらいから、次のようなトラブルに悩む女性が増えてきます。

・ハリがなく、たるみが目立つ
・ニキビがなかなか治らない
・乾燥しやすく、暗くくすんだ色に見える
・シミやそばかすが見られる
・毛穴の開きや黒ずみが見られる

30代後半になると、本格的なエイジングケアを検討する女性が増えます。ほうれい線や毛穴の開き、シミが悪化し、見た目年齢の変化がひどく気になるタイミングです。40代に入ると、ホルモンバランスの変化による肌トラブルが起こり、心身ともに不安定となる時期があります。更年期を過ぎると不安定な状態は落ち着きますが、トラブルが減ることはありません。

ここで述べた年齢は、あくまでも目安です。お手入れ不足や生活習慣によって、20代前半から老化サインが目立ち始める女性もいます。

肌が老化する原因5個

そもそもなぜ肌が老化するのかを考えたことはありますか。考えられる原因は、大きく5つあげられます。

1. 紫外線

肌老化の約8割は、紫外線によるものといわれています。専門的な用語では「光老化」と呼ばれる現象です。

紫外線は、UVA・UVBに分類できます。UVAは、波長が長く、肌内部の真皮層まで届いてしまう種類です。UVAによるダメージが蓄積すると、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンの構造が崩れ、シワやたるみが生じます。波長が短いUVBは、真皮までは到達しません。メラノサイトを活性化し、メラニン色素の生成を促すことにより、シミを作ってしまいます。

2. 乾燥

次に、肌の乾燥です。肌のうるおいを維持するためには、皮脂・細胞間脂質・天然保湿因子(NMF)が必要です。加齢によって皮脂分泌量が低下したり、細胞間脂質・天然保湿因子が不足したりすると、乾燥トラブルが目立ってきます。

うるおいを失った肌は弾力がなく、外部刺激に対する抵抗力が弱るため、炎症やかさつき、たるみといったトラブルを起こしがちです。乾燥から肌を守るために過剰な皮脂が分泌され、毛穴の詰まりやベタつきが気になり始める女性もいます。皮脂分泌量が少なくても多くても、健康な肌とはいえません。相反する症状のようですが、どちらも同じエイジングサインにあたります。

3. 酸化

紫外線や喫煙、ストレスが重なると、活性酸素が増加します。活性酸素が細胞を攻撃することによって、コラーゲンを産み出す働きが弱まることがシワやたるみの原因です。活性酸素は、メラノサイトも攻撃します。攻撃されたメラノサイトがメラニン色素を産み出すと、黒ずみやシミが増えてしまう原因です。

4. 菲薄(ひはく)化

菲薄(ひはく)化とは、真皮層のコラーゲン・エラスチン量が減少し、薄くなる現象のことをいいます。菲薄化の原因は、加齢による女性ホルモンの減少です。女性ホルモンは、線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンを産み出す働きを担っています。真皮層は、肌の土台になる部分。基礎が崩れてしまうと、シワやたるみができやすく、肌年齢を悪化させます。

5. 糖化

糖化とは、過剰に摂取した糖質がタンパク質と結びつき、茶色になることをいいます。小麦粉・牛乳・卵を混ぜてホットケーキを焼くときに、茶色の焦げ目がつく現象と同じことが肌で起こるということです。黄くすみは、糖化によって生じるエイジングサインの代表選手。肌以外の場所に糖化の影響が生じると、生活習慣病や老化リスクが高まるともいわれています。

さて、いかがでしょうか。1つでも当てはまる原因があれば、エイジングケアを始めるべきかもしれません。ここからは、スキンケア・食べ物・生活習慣とカテゴリーに分類し、エイジングケア方法を紹介します。

肌の老化防止対策3個【スキンケア】

スキンケアのポイントは、紫外線対策と保湿です。菲薄化した肌に対しては、肌再生成分を含む基礎化粧品も検討できます。

1. 紫外線対策を怠らない

老化予防の第一歩は、日々の紫外線対策です。日差しの強い夏場はもちろん、春や秋のうっかり日焼けにも注意しましょう。日焼け止めを選ぶときに注目したい数値は、SPFとPAです。

SPF:
シミの原因となるUVBに対する働きを数値化した指標です。何も塗らない状態と比較して、どのくらいの時間だけUVBをブロックできるかを示しています。

PA:
シワやたるみの原因となるUVAをどのくらいブロックできるかを数値化した指標です。「+」から「++++」まで4種類のマークがあって、「+」マークが多いほど高い防御力が期待されます。

散歩や買い物くらいしか外出しない日であれば、SPF20・PA + + 以下 とマイルドな日焼け止めがおすすめです。ランニングやウォーキングなど、短時間の屋外活動を伴う日には、SPF20から30・PA + + からPA + + + と、中程度の日焼け止めを選択します。マリンスポーツや山歩きなど、本格的な屋外活動を伴う日には、SPF40から50・PA + + からPA + + + + と強いものを使いましょう。

2. エイジングケア基礎化粧品で保湿する

年齢肌が気になり始めた年代の女性にとっては、保湿ケアが欠かせません。保湿成分配合のエイジングケア化粧品を使い、水分と油分のバランスを整えます。保湿成分の代表例は、次のものです。

セラミド:
細胞と細胞の隙間を埋め、肌の水分維持力を補うための成分です。セラミド不足の肌にうるおいを補充したとしても、すぐに蒸発してしまい、想い通りの変化を得られません。セラミドを増大させる力に注目した成分「ライスパワーエキス」との組み合わせもおすすめです。

コラーゲン:
紫外線や乾燥により減少したコラーゲンを補うことで、バリア機能を強化できます。乾燥による毛穴の開きや弾力不足が気になる人にも、おすすめできる成分です。

ヒアルロン酸:
保水力が高く、1gで6Lもの水分を蓄える力を持っています。ヒアルロン酸の入った化粧水や美容液を活用することによって、一時的にうるおった状態となりますが持続力はありません。毎日のスキンケアで、こまめな補給が推奨されます。

リピジュア:
ヒアルロン酸の2倍の保水力を持つともいわれる優秀な成分です。細胞間脂質と同じ構造で作られることから肌との親和性が高く、かさつきを和らげる働きが期待されます。

アミノ酸:
天然保湿因子(NMF)やコラーゲン、エラスチンに含まれるアミノ酸を補充することによって、バリア機能を強化できます。ホルモンバランスの乱れから生じるゆらぎ肌・季節性の肌トラブル対策におすすめしたい成分です。

3. 成長因子化粧品でお手入れする

すでにエイジングサインが増えてきた年代の女性なら、成長因子(グロースファクター)化粧品を検討できます。

成長因子とは、細胞が生まれ変わり、増えるときに働いてくれるタンパク質の総称です。美肌に関係する成長因子は、EGF・FGF・IGF・TGFの4種類。これらが配合された基礎化粧品によるお手入れを続けることによって、若い頃のようなハリ・ツヤのある肌への変化を期待できます。

成長因子はもともと、医療分野における活用を前提に研究・開発されてきた成分です。グロースファクター美容液・EGF配合コスメなどのうたい文句でエイジングケア化粧品への応用が進み、市販品も見られるようになってきました。ほかの商品と比較して値が張るものが多く、気軽に挑戦できる商品とはいえませんが、本質的な肌質改善を目指す人にはおすすめです。

肌の老化防止対策3個【食べ物】

食習慣のポイントは、栄養バランスの整った食事が基本です。1日3回・規則正しく食べることで血糖値が安定し、身体の老化を防いでくれます。この基本は守ったうえで、意識的に摂りたい食べ物は以下3つです。

1. 発酵食品でうるおい対策

日本人にはなじみの深い発酵食品は、世界に誇るスーパーフード。肌の代謝に欠かせない酵素を含み、美しく健康な肌への生まれ変わりを助けてくれます。

発酵食品を効率的に摂取するコツは、2種類以上の組み合わせで食べることです。納豆×キムチ・チーズ×味噌など、異なる菌を原料にしている食材同士を組み合わせることにより、美容・健康メリットが大きくなります。

2. フィトケミカル食材で酸化を防止

野菜やハーブに含まれるフィトケミカルは、身体の酸化を防いでくれます。免疫力を高める働きも期待され、注目が集まりつつある成分です。

フィトケミカルとは、紫外線や昆虫などの外敵から自分自身を守るため、作り出す成分のことをいいます。紫外線を浴びると生じる活性酸素を中和する働き・害虫に対する抗菌作用など、植物が生き抜くためには欠かせない働きを担っています。

フィトケミカルを効率的に摂取する方法は、赤・緑・黄・紫と色鮮やかな野菜をとることです。トマトやパプリカの赤、ほうれん草やピーマンの緑、カボチャの黄、ナスやシソの紫と鮮やかな色をした食材をバランスよく摂取することが酸化予防に役立ちます。

3. ロカボ食品に置き換えて糖質オフ

白いご飯や食パンをロカボ食品に置き換えるだけで、糖質の摂取量を減らせます。たとえば、こんな置き換えメニューを試してみるのはいかがでしょうか。

豆腐ライス:
水切りした豆腐を細かく砕き、フライパンで炒めるだけです。炒める間に出た水分は取り除き、ポロポロの状態になったらできあがり。ご飯と同じように、炒飯やカレーライスの材料としても使えます。

カリフラワーライス:
カリフラワーをみじん切りするだけの簡単な置き換え食です。青臭さが気になる場合は、電子レンジで1分くらい加熱しましょう。カリフラワーライスの糖質量は、白米の20分の1以下です。お腹いっぱい食べながらエイジングケアしたい人にはおすすめできます。

おから蒸しパン:
おからパウダーは、小麦粉の置き換えとして活用できます。蒸しパンはもちろん、パンケーキや焼きドーナッツ、クッキーも、おからパウダーによる置き換えが可能です。

自炊する時間がない人は、コンビニやスーパーの糖質オフ食品を活用しましょう。飲食店でも、糖質オフメニューを扱うお店が増えています。炭水化物をゼロにするなど過剰な制限は禁物ですが、適度な糖質カットであれば、美肌作りにプラスです。いろいろな糖質オフ食品を試し、お気に入りの商品を探してみましょう。

肌の老化防止対策2個【生活習慣】

生活習慣のポイントは、成長ホルモン分泌を促すことです。成長ホルモンには、新しい肌への生まれ変わりをサポートし、健康な状態を作る働きが期待されます。別名「若返りホルモン」とも呼ばれるほど、エイジングケアとの関わりは深く、女性にとっては欠かせない存在です。成長ホルモン分泌を促すためには、次の対策を検討できます。

1. 睡眠の質を高める

成長ホルモン分泌を促すためには、寝入りばなの2〜3時間が重要です。この時間帯にぐっすり熟睡できているほど、成長ホルモンが出やすく、肌トラブルの修復力も高まります。

ベッドの中でスマホやタブレットを見ていたり、考え事をしていたりすると、なかなか眠りにつくことができません。寝室には電子機器を持ち込まず、ストレッチをしたりヒーリングミュージックを聞いたりと、リラックスして過ごしましょう。寝る直前に食事を摂ったりきつい運動をしたりすることでも、睡眠の質が低下します。寝る時間から逆算し、1日のスケジュールを考えましょう。

2. 自律神経を整える

自律神経が乱れていると、睡眠の質が低下します。寝る時間になっても交換神経から副交感神経への切り替えがうまくいかず、寝付きが悪くなるためです。自律神経の乱れは、心身の不調にもつながります。心が弱っているときには、肌荒れやくすみも起こりやすくなりますよね。これらの理由から、エイジングケアを行ううえでは、自律神経を整える習慣が大切です。

自律神経を整えるためには、次のような対策が検討されます。

・過剰な残業を避け、オン・オフのメリハリをつける
・夢中になれる趣味を持つ
・休みの日の寝だめを避け、規則正しい生活を送る
・起床後に熱いシャワーを浴びて、交感神経のスイッチを入れる
・適度な運動で筋肉の緊張をほぐす

自律神経を整えることにより、ホルモンバランスが安定し、肌トラブルが起こりにくくなるケースもあります。「私は今、疲れている」「人間関係のストレスで心が辛い」など、心の声に耳を傾け、無理がない生活を始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

老化防止対策を続けることによって、自分と向き合う習慣ができ、心身ともに明るく楽しい生活を実現できるメリットもあります。この記事で紹介した食事や生活習慣の切り替えは、生活習慣病予防にも有効です。

いつまでも健康で美しい女性であるためにも、今の自分にできる老化防止対策を試してみましょう。