監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

膿を持つニキビを「少しでも早く治したい」と考えて、潰してしまった経験を持つ人も多いでしょう。重症化したニキビを潰すと中の膿が飛び散ったり、大量の血が出たりして、「本当にこれでよいのか」と不安になってしまいますよね。

この記事では、ニキビを潰したときに飛び散るものの正体や血が出る理由を解説します。炎症を持つニキビの正しい対処法を知り、滑らかな美肌を手に入れたい人はぜひ参考にしてください。

ニキビを潰すと飛び散る・血が出る理由は?

ニキビの中には、皮脂などをエサに繁殖したアクネ菌・アクネ菌を退治するために集まった白血球やその死骸がパンパンに詰まっています。

ニキビを潰すと中身の出口ができますので、水風船に穴をあけたときのように、勢いよく飛び出すのです。

また、膿を持つほどまでに悪化したニキビでは毛穴内部の炎症が進行し、毛細血管を傷つけてしまうことで、内出血していることがあります。この状態のときにニキビを潰すと大量に血が出ることがありますから、注意しましょう。

ニキビができる過程

膿を持つニキビは、ある日突然できるわけではありません。ニキビの初期段階は、毛穴の周りの角質が厚くなって柔軟性が失われて、汚れを溜め込みやすくなることです。

毛穴内部に皮脂や古い角質が溜まり、白いポツポツの見える状態が「白ニキビ」にあたります。白ニキビを放置すると詰まった皮脂が酸化して、「黒ニキビ」ができるのです。

白ニキビ・黒ニキビは炎症を伴わないニキビですので、一般的には、ひどい痛み・かゆさを感じません。この段階で早期治療を進めることが、ニキビをきれいに治すコツです。

白ニキビ・黒ニキビを放置すると毛穴内部にアクネ菌が繁殖し、炎症反応が起こります。炎症反応によって赤く腫れた状態に見えるニキビが「赤ニキビ」です。さらに症状が進行すると、膿を持つ「黄ニキビ」になってしまいます。

黄ニキビは、アクネ菌のみではなく、ブドウ球菌の繁殖も見られることが多いトラブル。アクネ菌とブドウ球菌の両方が繁殖しているニキビは広範囲に及びやすく、ニキビ痕の残るリスクも高いといえます。

ニキビができる原因3個

ニキビができる主な原因は、皮脂の過剰分泌・ターンオーバー周期の乱れ・ホルモンバランスの影響です。以下では、それぞれの原因について、より詳しく解説します。

1. 皮脂の過剰分泌

過剰なストレスや誤ったスキンケアの影響などによって過剰な皮脂が分泌されると皮脂腺から必要以上の皮脂が分泌されて、毛穴の詰まりを招きます。

過剰な皮脂が気になってゴシゴシこする洗顔や頻繁な角質ケアを続けると摩擦刺激によって肌が弱り、ニキビを悪化させるケースもありますから、注意しましょう。

とくに大人の女性の場合、皮膚表面はベタついているにも関わらず内部的には乾燥が進んでいる「インナードライ」になることが多くあります。

正しいスキンケアを実践したり生活習慣を見直したりすることで水分・油分のバランスを整えて、ニキビのできにくい状態を作りましょう。

2. ターンオーバー周期の乱れ

私たちの肌はターンオーバーを繰り返し、健やかな状態を維持しています。ターンオーバー周期が必要以上に早くなったり遅くなったりすることは毛穴を詰まらせ、ニキビができる原因です。

ターンオーバー周期の乱れを招く原因としては、睡眠不足・過剰なストレス・慢性的な運動不足などがあげられます。睡眠不足が続いたり過剰なストレスを抱えていたりすることは自律神経を乱れさせて、ターンオーバー周期の乱れを招く原因です。

慢性的な運動不足は血行不良を招き、全身の代謝が衰えることでターンオーバー周期の乱れにつながる恐れがあります。

3. ホルモンバランスの影響

生理前にできるニキビは、ホルモンバランスの影響が疑われます。生理前は卵胞ホルモンが減少して黄体ホルモン優位になりやすいタイミングです。

黄体ホルモンは過剰な皮脂を分泌させる「男性ホルモン」と似た働きを持ちますから、毛穴が詰まりやすくなることで、ニキビができることがあります。

また、生理前は心のバランスを崩しやすい時期です。心のバランスを崩すと肌の調子も不安定になりやすく、ニキビの悪化を招いてしまうケースがあります。

ニキビの正しい対処法7個

できてしまったニキビを治すためには、正しい対処をとることが必要です。以下では、できてしまったニキビを潰さずに、きれいに治すための対処法を解説します。

1. できたニキビを刺激しない

ニキビができると気になって、指でいじる人もいます。しかし、手にはたくさんの雑菌がついていますから、安易に触れることはハイリスクです。できたニキビは極力触らず、過剰な刺激を与えないように気をつけましょう。

額にニキビができているときには前髪をあげて、髪の毛が触れないようにすることも大切です。顎にニキビができているときには頬杖をつく癖をやめて、肌への負担を軽減しましょう。

当然ながら、腫れ上がったニキビを自己判断で潰したり中身を押し出したりする行為も、肌に負担をかけてしまう要素といえます。ニキビを潰す治療は原則的に、皮膚科・美容皮膚科で行うことがセオリー。

自分自身で無理に潰すと炎症を悪化させて、トラブルを繰り返すことがあります。ニキビを潰したい願望はぐっとこらえて、極力刺激しないように注意しましょう。

2. 帰宅後すぐにメイクを落とす

メイクによって毛穴を塞いでいる時間が長いほど、肌にとっては負担です。帰宅後すぐにメイクを落として、肌の負担を和らげましょう。

使用するクレンジングは、極力肌をこすらずにメイク汚れを落とせるタイプを選択します。シートタイプや水クレンジングなど、こすって落とすタイプのクレンジングは避けた方がよいでしょう。

「ニキビができているときはクレンジングオイルを避けるべき」と考える人もいますが、「メイク汚れを落としきれないことの方が問題」という説もあります。

落としきれなかったメイク汚れは、毛穴の詰まりを悪化させる原因のひとつ。ニキビをきれいに治すためには、メイクの濃さに応じた種類のクレンジングを使用し、きちんと汚れを落としましょう。

3. 朝と夜の1日2回、洗顔料で洗顔する

クレンジングのみでは、顔に付着した汚れを落としきれないことがあります。朝の洗顔を、ぬるま湯のみで行う方法にしても同様です。ニキビが気になるときこそ朝と夜の1日2回、洗顔料を使用して、きれいに汚れを落としましょう。

◎ニキビができているときの洗顔方法

【1】洗顔料を手にとり、十分に泡立てる
【2】Tゾーンなどベタつきを感じやすい部位を中心として、優しく丁寧に洗顔する
【3】体温より低い温度のぬるま湯で十分にすすぐ
【4】清潔なタオルで顔をおさえるように水分を拭き取る

洗顔料が顔に残ってしまうと、ニキビの悪化を招いてしまうことがあります。髪の生え際や顔の中のくぼんだ部分にすすぎ残しのないことを確認してから、洗顔を終えてください。

4. ニキビ肌に適した基礎化粧品で保湿する

洗顔後は乾燥を防ぐため、化粧水・乳液・クリームなどによって保湿します。保湿に使用する基礎化粧品は、ニキビ肌に適した成分を含むものがおすすめです。

具体的には、以下のような成分を含む基礎化粧品を選択するとよいでしょう。

◯サリチル酸
アクネ菌を殺菌してくれる成分。肌を柔らかくして、毛穴の詰まりを予防する働きも期待されます。

◯グリチルリチン酸
消炎作用によってニキビの悪化を防いでくれる成分。肌への刺激が比較的マイルドで、敏感肌のお手入れにもおすすめの成分です。

◯ビタミンC誘導体
アクネ菌の栄養源となる皮脂を抑えてくれる成分。美白作用も期待されますので、ニキビ痕を防ぎたい人にもおすすめです。

◯ビタミンA
ターンオーバーを促して、肌を柔らかくほぐす働きが期待される成分。コラーゲンやエラスチンの産出を後押しする働きも持ちますので、開き毛穴・たるみ毛穴が気になる人にもおすすめです。

上記の他、セラミド・レシチンなどの高保湿成分が配合されているものも、ニキビ肌に適しています。「ニキビ肌に適した基礎化粧品」とひと口にいってもさまざまな質感・配合成分の商品がありますから、自分に合うものを探し、継続的に使用しましょう。

5. 低刺激の日焼け止めを毎日塗る

紫外線刺激はニキビの炎症を悪化させて、症状の進行を招くリスクがあります。低刺激の日焼け止めを毎日塗って、ニキビの悪化を防いでください。

敏感肌用に作られた日焼け止めには低刺激の商品が多く、ニキビ対策におすすめです。「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカル」などの表記がある日焼け止めも比較的肌に対する負担が軽く、弱った肌をいたわりながら、紫外線刺激を防げます。

日焼け止めを塗る際のポイントは、以下2点です。

【1】使用量を守る
日焼け止めの量が足りないと、商品に記載されている紫外線カット効果を発揮できないことがあります。使い始める前にメーカー規定の使用量を確認し、十分な量を塗ってください。

【2】日焼けしやすい部分に重ね塗りする
額・鼻・顎など顔の中の高い部分は紫外線刺激を受けやすい傾向があります。額などは汗によって日焼け止めが落ちやすい部分にもあたりますから、顔全体に塗った後、重ね付けがおすすめです。

6. 皮膚科・美容皮膚科で治療する

炎症を伴うニキビを極力早く治すためには、皮膚科・美容皮膚科で治療しましょう。皮膚科・美容皮膚科で行う治療は健康保険の適用されるもの・されないものに分けられます。

◎健康保険の適用されるニキビ治療

・塗り薬:ディフェリンなどピーリングのような作用のある薬、ベピオゲルなど抗菌作用もある薬の中から症状に合うものが処方されます。

・飲み薬:ミノマイシンなどの抗菌薬(抗生物質)、漢方薬、サプリメントの中から症状に合うものが処方されます。

・面ぽう圧出:面ぽう圧出器を使用してニキビの中身を押し出し、症状の早期改善を図る治療です。

◎健康保険の適用されないニキビ治療の主なもの

・ケミカルピーリング:サリチル酸などのピーリング剤を肌に塗り、毛穴の詰まりを取り除く治療です。

・光治療:LEDによってブルーライトを照射し、アクネ菌を殺菌したり炎症を抑えたりする治療です。アミノレブリン酸という薬剤を皮膚に塗ってから特殊な光を照射する「光線力学療法」も、光治療に含まれます。

・レーザー治療:できてしまったニキビ痕を治したり赤ニキビの炎症を鎮めたりするために検討される治療です。特殊なレーザー光を肌に照射し、気になるトラブルの改善を目指します。

皮膚科や美容皮膚科ではまず問診によってニキビの原因や進行度合いを確かめて、目指すゴールや予算に応じた治療メニューを決めることが一般的です。治療を進めるにあたって不安なことは何でも医師に相談し、専門家と二人三脚でニキビの改善を目指しましょう。

7. 市販薬を使用する

どうしても皮膚科・美容皮膚科に行く時間がないときには、炎症を抑えたりアクネ菌を殺菌したりする成分の含まれる市販薬を使用する方法が一案です。

炎症を抑える働きを持つ成分の代表格は、イブプロフェンピコノール。アクネ菌を殺菌する成分の代表格はイソプロピルメチルフェノール・レゾルシンです。

まだ重症化していないニキビへの対処法としては、イオウ・サリチル酸など角質軟化成分の含まれる市販薬を使用する方法もあります。

ニキビの市販薬を使用する期間の目安は、1週間から2週間です。この期間、市販薬を使用しても症状の改善が見られない場合には、皮膚科・美容皮膚科を受診すると安心でしょう。市販薬で改善が見られないトラブルは、毛包炎・脂漏性皮膚炎など、よく似た他の皮膚疾患であるケースもあります。

そのため、自己判断でニキビの市販薬の使用を継続する方法はハイリスク。専門家の診断をふまえたうえで、トラブルの早期改善を図ってください。

ニキビを潰した後のケア方法

ニキビを潰してしまった後はまず清潔なティッシュやガーゼを使用して、膿や血を拭き取ります。その後、市販の消毒液を使用して、ニキビのできている部分を消毒しましょう。

消毒後には病院で処方してもらった塗り薬を塗り、自然に治るまで、そっとしておく方法が正解です。刺激を感じないようであれば、塗り薬の上から絆創膏などを張り、トラブルのある部分を保護することもよいでしょう。

まとめ

膿を持つニキビ・赤く腫れ上がったニキビを極力早く治したい人のために、正しい対処法を解説しました。重症化したニキビをきれいに治すためには、皮膚科・美容皮膚科にかかり、専門家とともに治療する方法がおすすめです。

どうしても皮膚科・美容皮膚科に行けない場合は抗炎症成分・殺菌成分などの含まれる市販薬を使用し、症状の改善を図ってください。

そして、ニキビを潰してしまったときには、正しい方法でケアすることが大切です。この記事で紹介した内容を参考に、ニキビを繰り返さない理想の肌を作ってください。