監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

痛みを伴うことが多く、なかなか治ってくれないしこりニキビ。「針で潰してよいか」「少しでも早く治すためには、どうすればよいか」などの疑問を抱え、悩んではいませんか。

この記事では、しこりニキビの症状・メカニズム・治し方を分かりやすく解説します。ひどいニキビに悩み、改善策を探す人はぜひ参考にしてください。

しこりニキビとは?

しこりニキビとは、ニキビができた部位の周りに炎症が広がって、大きく腫れた状態です。しこりニキビに触れると痛みや硬い膨らみを感じることが多くあります。

しこりニキビとよく似たトラブルに「粉瘤」がありますが、しこりニキビの場合、どれほど炎症が悪化しても数ミリ程度の大きさです。数センチまで腫れ上がったできものは「粉瘤」が疑われます。しこりニキビと粉瘤は、以下のような観点でも見分けることが可能です。

しこりニキビは、ニキビの最終段階ともいえる重症化したトラブルです。しこりニキビができてしまうと炎症が修まった後も、肌のひきつれ・ケロイド状の痕が残ることが多くあります。

しこりニキビができる過程

しこりニキビは、ある日突然できるわけではありません。以下のような過程を踏んで白ニキビ・黒ニキビが作られて、赤ニキビ・黄ニキビへと悪化し、最終段階であるしこりニキビができてしまいます。

第1段階:毛穴に角質、皮脂が詰まる

肌の乾燥や誤ったスキンケア、生活習慣などの影響でターンオーバーが滞ると古い角質・皮脂などが毛穴に詰まってしまいます。毛穴内部に詰まったものの影響で開口部が狭くなりますが、肉眼で確認できるニキビは見られません。

第2段階:白ニキビ、黒ニキビができる

毛穴の詰まりがひどくなると、ニキビの赤ちゃんである「コメド(面ぽう)」が作られます。コメドが作られて白くポツポツ見える状態が「白ニキビ」です。できてしまったコメドが毛穴の入り口を塞いでしまうと、余計に詰まりがひどくなって、どんどんニキビが悪化します。

白ニキビの表面が空気に触れて酸化した状態が、黒いポツポツが目立つ「黒」ニキビです。白ニキビ・黒ニキビの段階では炎症を伴うことが少なく、ひどい痛みは感じません。

第3段階:赤ニキビ、黄ニキビができる

毛穴に詰まった皮脂や古い角質は、アクネ菌の好物です。好物を食べたアクネ菌が活発に活動し、増殖すると、赤ニキビができてしまいます。赤ニキビは、炎症を伴い、痛みを感じることも多い状態です。

赤ニキビからさらに症状が進行すると、アクネ菌などを倒すために働いてくれた白血球・その残骸が毛穴内部にパンパンにたまり、黄ニキビができてしまいます。

第4段階:しこりニキビができる

毛穴内部の炎症がひどくなるとアクネ菌のみではなく、ブドウ球菌も増殖します。アクネ菌やブドウ球菌の活動によって毛穴の壁が破壊されると、ニキビの周りにまで炎症が広がり、しこりニキビができるのです。

しこりニキビになるほどトラブルが悪化すると、真皮層までダメージが及ぶことも多くあります。一度破壊された真皮細胞は再生するまでに一定の時間がかかりますから、凹み・赤み・シミのような色素沈着が残り、なかなかきれいに治りません。

しこりニキビを針で刺して潰すのはNG?

しこりニキビを治すため、針で刺して潰す人も中にはいます。しかし、しこりニキビを針で刺して潰しても、きれいに中身を取り除けません。

皮脂や古い角質をきれいに取り除くことができなければニキビが再びできてしまう、悪循環に陥りがちです。

しこりニキビを潰す際に細菌が入り込み、症状の悪化を招いてしまうこともあります。「極力早く、きれいにニキビを治したい」という人は、針で刺して潰すことは避けてください。

しこりニキビの治し方

できてしまったしこりニキビは、皮膚科・美容皮膚科で治すことがおすすめです。皮膚科・美容皮膚科では、飲み薬・塗り薬・レーザー治療などを通して、しこりニキビの改善を目指します。

◯飲み薬
抗菌剤やビタミン剤などを服用し、炎症を抑えたり皮脂量を調整したりする治療。皮膚科によっては、漢方薬・ホルモン剤を処方されることもあります。

◯塗り薬
毛穴の詰まりを取り除く「アダパレンゲル」、アクネ菌を減少させる抗菌剤などを使用する治療です。

◯レーザー治療
化膿しているニキビにレーザーを照射し、詰まった皮脂・古い角質・膿などを出す治療。中に詰まったものを取り出すことでニキビの治りが早くなり、ニキビ痕の残るリスクを最小限に抑えることも可能です。

しこりニキビの治療メニューの中には保険適用外のものもあります。保険適用外の治療には一定の費用がかかりますから、医師とよく相談し、自分自身の予算に合う治療の進め方を決めてください。

しこりニキビのスキンケア方法4個

しこりニキビを悪化させないためには、メイク落としと洗顔できれいに汚れを落とすこと・ノンコメドジェニックの基礎化粧品で十分に保湿することが大切です。

以下では、しこりニキビのスキンケア方法をより詳しく解説します。

1. 低刺激のクレンジングでメイクを落とす

しこりニキビが目立つときには、メイクをお休みすることが理想です。どうしてもメイクしなくてはならない日には低刺激のクレンジングを使用して、きれいに汚れを落としましょう。

クレンジングシートなどこすって落とすタイプの商品は肌に対して摩擦刺激を与えやすく、しこりニキビを悪化させるリスクがあります。

しこりニキビができているときには、クレンジングミルク・クレンジングクリームなど、すすいで落とすタイプの商品を使ってください。

2. 朝・夜の1日2回正しい方法で洗顔する

「しこりニキビを治すため」と頻繁に洗顔すると、かえって肌に負担をかけて、症状を長引かせるリスクがあります。朝・夜の1日2回、正しい方法で洗顔して、きれいに汚れを落としてください。

しこりニキビができているときの洗顔は、以下の手順で進めます。

【1】ハンドソープで手を洗う
【2】体温より低い温度のぬるま湯で、顔全体を予洗いする
【3】よく泡立てた洗顔料を顔に乗せて、転がすように洗う
【4】体温より低い温度のぬるま湯で、十分にすすぐ
【5】清潔なタオルに、顔の水分を吸収させる

しこりニキビのできている場所をゴシゴシこすると、中の膿が飛び出して、トラブルを広げてしまうリスクがあります。しこりニキビのできている場所はとくに優しく、肌に負担をかけないように洗顔しましょう。

3. ノンコメドジェニックの基礎化粧品で保湿する

「ニキビを悪化させないように」と洗顔後の保湿を控えると、肌がひどく乾燥し、症状を進行させるリスクがあります。しこりニキビができているときにはノンコメドジェニックの基礎化粧品を使用して、十分に保湿しましょう。

しこりニキビを保湿する際のポイントは、以下2点です。

【1】基礎化粧品の使用量を守る
基礎化粧品の使用量が不足すると、十分な保湿を行えません。商品記載の使用量を今一度確認し、適量を優しくなじませて、水分・油分を補充しましょう。

基礎化粧品をなじませた後には顔全体をハンドプレスし、内部への浸透を促します。ハンドプレスする際に摩擦刺激を与えてしまう行為は逆効果ですから、あくまで優しく、両手をそっと顔の表面に添えてください。

【2】乳液・クリームを省略しない
しこりニキビができているときも基本的には、乳液もしくはクリームが必要です。化粧水のみでは水分がすぐに蒸発してしまいますから、乳液もしくはクリームで適度な油分を補ってください。

ただし、あまりにもこってりとしたクリームを使用すると、ニキビが悪化することもあります。肌質に合う質感の乳液もしくはクリームを選択し、お手入れに活用しましょう。

4. スクラブ洗顔料の使用は控える

しこりニキビを治すためには肌を清潔に維持することが大切とはいえ、スクラブ洗顔料など刺激の強いアイテムを使うことは、積極的におすすめしません。

スクラブによってしこりニキビが潰れてしまうとトラブルを周囲に広げ、治りを遅くしてしまうリスクがあります。

スクラブ洗顔料などの角質ケア商品は主に、ニキビ予防目的で活用されるアイテムです。すでに進行してしまったニキビには逆効果となるリスクがありますので、注意しましょう。

しこりニキビを作らせない方法4個

しこりニキビを作らせないためには、肌のターンオーバーを正常に保ち、毛穴の詰まりを防ぐことが大切です。できてしまったニキビをしこりニキビに変えないためには、トラブルのある部分に極力触れず、刺激を与えないようにすることも求められます。

具体的には以下のような対策を意識して、しこりニキビを予防しましょう。

1. 睡眠リズムを整える

肌のターンオーバーは、睡眠中に活発化します。寝不足はターンオーバーが通常以上に早くなったり遅くなったりする原因ですから、規則正しい睡眠リズムに切り替えましょう。

また、寝不足の日が続くと交感神経が優位になって、皮脂分泌量が増加するケースがあります。皮脂分泌量が必要以上に増えることは、ニキビの悪化を招いてしまう原因の一つ。

ニキビができているときはもちろん普段から過剰な夜更かしを控え、深夜0時をまわるまでにはベッドに入る習慣をつけてください。

2. ホルモンバランスを整える

ホルモンバランスが乱れると過剰な皮脂が分泌されたり、ターンオーバー周期が不安定になったりすることで、しこりニキビができてしまうことがあります。

しこりニキビを作らせないためには以下のような対策をとり、ホルモンバランスを整えましょう。

・過剰なダイエットをやめる
・ストレスを溜め込まず、発散する
・深呼吸して、自律神経を整える
・適度な運動によって、自律神経の働きを活発化する
・ドキドキする映画、ドラマを見る

ドキドキする映画やドラマを見ることは、心によい刺激を与えて、ホルモンバランスを整えることに貢献します。「心が疲れている」と感じたときこそ、自宅でゆっくり過ごす時間を確保し、ホルモンバランスの乱れを解消しましょう。

3. 食習慣を改善する

毎日3食の食事の中でさまざまな栄養素をバランスよくとることは、ニキビ予防の基本です。とくに以下のような栄養素は、しこりニキビを防ぐことに貢献します。

◯タンパク質
肌細胞やコラーゲンの原料となってターンオーバーを助けてくれる栄養素。肉類、魚類、大豆食品などに含まれます。

◯ビタミンB2
皮脂量をコントロールしてくれる栄養素。納豆、レバー、チーズ、焼き海苔などに含まれます。

◯ビタミンB6
ターンオーバー周期の乱れを解消するために必要な栄養素。青魚、バナナ、肉類などに含まれます。

◯ビタミンA
ターンオーバーを促し、新しい肌への生まれ変わりを助けてくれる栄養素。緑黄色野菜、レバー、チーズ、卵などに含まれます。

◯ビタミンC
ストレスによるバリア機能の低下を防いだりコラーゲンの生成を促したりする栄養素。柑橘類、イチゴ、キウイ、赤ピーマン、芽キャベツなどに含まれます。

チョコレート・ケーキなど糖分の多い食べ物、動物性脂肪の多い食べ物をとりすぎると皮脂の原料を増やしてしまい、毛穴の詰まりにつながるリスクがあります。「絶対に食べてはいけない」というわけではありませんが、ニキビが気になるときには、頻度をコントロールしてください。

4. ニキビのできている場所を触らない

できてしまったニキビが気になり、指や手で触れてしまうと、症状の進行を招くリスクがあります。ニキビができている場所は極力触れず、安静にしておくことが、滑らかな美肌を作るコツです。

指や手で触れる行為以外には、頬杖をつく習慣や保湿の際のコットンの繊維がニキビに対して刺激を与えて、症状の進行を招いてしまうことがあります。

ニキビができているときには手で優しく保湿して、極力刺激を与えないスキンケアを実践しましょう。

まとめ

しこりニキビを治したい人に向けて、正しい治療方法とスキンケアポイントを解説しました。しこりニキビはニキビの最終段階ともいえる重症トラブルであるため、「針で潰す」など自己流の対処をとることは、できる限り避けましょう。

しこりニキビをきれいに治すためには、皮膚科・美容皮膚科への相談がおすすめです。専門家のサポートを受けつつ、正しいセルフケアによってニキビの悪化を防ぎ、滑らかな状態を目指してください。