
「ターンオーバーが早い、遅いはどのように見分ければよいか」が分からず、自分に合うお手入れ方法を決めかねてはいませんか。また、ターンオーバーが早い(もしくは遅い)場合は、どのように改善すればよいでしょうか。
この記事では、ターンオーバーの意味と、早いか遅いかの見分け方を解説します。自分に合うお手入れ方法を見つけて、美しい肌を作りたい人はぜひ、参考にしてください。
ターンオーバーとは?
ターンオーバーとは、新しい肌細胞が作られて古いものと入れ替わることを指します。理想的なターンオーバー周期は約28日〜30日といわれていて、ターンオーバーが早いことも遅いことも問題です。
以下の表は、一般的な女性の年代別・ターンオーバー周期の目安を示します。20代は理想的なターンオーバー周期の28日に近く、肌の状態を良好に維持しやすいタイミングです。30代や40代、50代ではターンオーバーの遅い女性が増加します。
◎一般的な女性のターンオーバー周期の目安
10代:約20日
20代:約28日
30代:約40日
40代:約55日
50代:約75日
ただし、「ターンオーバーが早いか遅いか」を左右する要素は、年齢のみではありません。「30代だから、ターンオーバーが遅いはず」などと短絡的に考えて、対処方法を決めることは避けてください。
ターンオーバーの仕組み
ターンオーバーの流れを分解すると、3個のステップに分けられます。ステップ1〜3を繰り返してターンオーバーが行われ、私たちの肌は、常に生まれ変わっているのです。
STEP(1)新しい肌細胞が生まれる
基底層(表皮のもっとも下にある層)の母細胞から新しい肌細胞が作られます。
STEP(2)基底層から角質層まで押し上げられる
基底層で作られた肌細胞が細胞分裂を繰り返し、成長しながら角質層(表皮のもっとも上にある層)まで押し上げられて、保湿や外部刺激に対するバリアなどの役目を果たします。
STEP(3)役目を終えた肌細胞として、剥がれ落ちる
保湿や外部刺激に対するバリアなどの役目を終えた肌細胞が、垢として剥がれ落ちます。
年齢を重ねるごとにターンオーバーが遅くなる理由は、母細胞がエネルギー不足になって、新しい肌細胞が作られにくくなるためです。すると、役目を終えた肌細胞が肌表面に滞留し、さまざまな肌トラブルを引き起こします。
ターンオーバーが早いか遅いかの見分け方5個
ターンオーバーが早いか遅いかを正確に調べるためには、専門的な試験を受けなくてはなりません。早いか遅いかを自分自身で簡易的に見分けるためには、以下のような基準を参考にしてください。
1. シミができやすいか、できにくいか
まず、シミができやすいか・できにくいかということです。ターンオーバーが早い場合はメラニンを含んだ細胞が下から上に押し上げられて、自然に排出されますので、シミがなかなかできません。ターンオーバーが遅いとメラニンを含んだ細胞が滞留するため、色素沈着を起こし、シミができてしまいます。
シミにもいろいろな色がありますが、濃い茶色や黒色のシミは比較的肌の表面近くにできている色素沈着にあたり、ターンオーバーを促すことで改善を図ることが可能です。
灰色や青色のシミは肌の深い部分にできているシミですから、セルフケアでは対処できないケースが多く、皮膚科への相談も検討されます。
2. 外部刺激に対して敏感か、敏感でないか
次に、外部刺激に対して敏感に反応するか・しないかです。わずかな刺激に対しても敏感に反応し、肌が赤くなったりヒリヒリしたりする人は、ターンオーバーが早いかもしれません。
ターンオーバーが早いと肌細胞が十分に育たないまま上に押し上げられてしまいますので、外部刺激に対する抵抗力が十分に備わらず、敏感気味に傾きます。
ただし、ターンオーバーが遅いことで肌が乾燥し、外部刺激に対して敏感に傾くケースもありますので、他の要素もふまえた上で判断する方法がおすすめです。
3. 肌のごわつきが気になるか、気にならないか
肌のごわつきを招く原因の一つには、ターンオーバーの遅れがあげられます。ターンオーバーが遅いと古い肌細胞がいつまでも表面に滞留し、角質層が厚くなることにより、ごわつきやくすみなどのトラブルが気になりがちです。
くすみとは、肌全体から明るさやツヤが失われて、くもって見えるトラブルを意味します。くすんだ肌からは透明感を感じにくく、お疲れ顔や老け顔に見られてしまう要因です。
ターンオーバーが遅いことで起こるくすみ・ごわつきは、肌細胞の入れ替わりを意識的に促すことで、改善が見込まれます。遅くなったターンオーバーを意識的に早めて、トラブルの目立たない状態を作ってあげるイメージです。
4. ニキビ跡や傷がすぐに治るか、治らないか
次に、ニキビ跡や傷がすぐに治るか、治らないかということです。ターンオーバーが遅いと肌細胞の入れ変わりがスムーズに進まず、
できてしまったニキビ跡や傷などがなかなかきれいに消えません。ここでいう「ニキビ跡」とは、ニキビの炎症によって生じた色素沈着やクレーター状の凹みのことを指します。
いずれのニキビ跡もターンオーバーが遅いと治りにくく、肌の滑らかさを損なってしまう原因です。
5. 毛穴トラブルが気になるか、気にならないか
ターンオーバーが早く、きちんと成長しないまま押し上げられた肌細胞は、適切に剥がれる力を持ちません。適切に剥がれ落ちることができなかった肌細胞が毛穴に詰まると、角栓などのトラブルを悪化させます。
ただし、ターンオーバーが遅いことで肌が潤い不足を起こし、過剰な皮脂が分泌されることもまた、毛穴トラブルの一因です。
「なぜ、毛穴トラブルが起こったか」に焦点をあてて原因を推測し、ターンオーバーが早いか遅いかを判断する際のヒントを得ましょう。
ターンオーバーが早い・遅い時の改善方法5個
ターンオーバーが早い・遅いと感じた時には、適切なスキンケアの実践や生活習慣の見直しにより、肌細胞の入れ替わりサイクルを正常化する必要があります。ターンオーバーが早い・遅い時の改善方法5個を知り、理想的な状態を目指しましょう。
1. 【ターンオーバーが早い時】過剰な洗顔や頻繁な角質ケアを控える
過剰な洗顔や頻繁な角質ケアは、ターンオーバーを早くする一因です。以下のようなスキンケアを控えることで、ターンオーバー周期を正常化しましょう。
・1日2回を超える回数、洗顔する
・洗顔中にゴシゴシと強くこする
・洗浄力の強すぎる洗顔料を使用する
・汚れがきちんと落ちるように、時間をかけて洗顔する
・週1〜2回を超える回数、ピーリングジェルやスクラブ洗顔料、酵素洗顔料を使用する
正しい洗顔の回数は、朝・夜の1日あたり2回です。2回を超える回数洗顔したりゴシゴシ強くこすったりすることは、まだ剥がれ落ちる必要のない肌細胞を取り除き、ターンオーバーを早めてしまうリスクがあります。
ピーリングジェルやスクラブ洗顔料、酵素洗顔料など角質ケアアイテムの使用頻度は、商品に特別な指定がない限り、週1〜2回が限度です。角質ケアアイテムは「使用するほど、肌によい」というわけではないことを理解し、適切な頻度に留めましょう。
2. 【ターンオーバーが遅い時】定期的な角質ケアで肌の入れ替わりを促進する
ターンオーバーが遅い時には、日々の洗顔・クレンジングを正しい手順で行うことが必要です。日々の洗顔・クレンジングを正しく実践してもごわつき、くすみが解消できない場合には定期的に角質ケアし、肌の入れ替わりを促進します。
角質ケアに使用できるアイテムにはいろいろな種類がありますので、肌質に合うものを選択しましょう。
◎定期的な角質ケアに使用できるアイテム
・ピーリングジェル
・ゴマージュ
・スクラブ洗顔料
・酵素洗顔料
ピーリングジェルやゴマージュなどに苦手意識を持つ人は、角質ケア美容液や保湿成分配合の拭き取り化粧水を使用するとよいでしょう。
拭き取り化粧水を使用する場合は強くこずらず、不要な肌細胞のみをふやかして取り除きます。肌が弱っているときにはお手入れを休み、過剰な負担をかけないように注意しましょう。
3. 【ターンオーバーが早い時・遅い時】十分に保湿する
肌の乾燥は、ターンオーバーを必要以上に早くしたり遅くしたりする原因です。洗顔後は速やかに化粧水をなじませて、不足している水分を補充しましょう。化粧水を付ける際には、以下の手順を守ることがおすすめです。
◎正しい化粧水の付け方
【1】500円玉大程度の化粧水を手のひらに出す。
【2】両方の手の平で化粧水を挟み込み、体温で温める。
【3】顔全体を包み込むように両手をあてて、化粧水をなじませる。
【4】目元や口元は、指の腹でパッティングするようになじませる。
【5】両方の手の平で顔全体を包み込み、ハンドプレスで浸透を促す。
化粧水を付けた後は必要に応じて美容液をなじませて、乳液やクリームで仕上げます。美容液は、気になるトラブルに応じて、必要な栄養素を補う目的で活用する基礎化粧品です。
肌の乾燥がとくに気になるときには保湿美容液を選択し、潤い不足を解消しましょう。乳液やクリームを付ける際には「顔の内側から外側へ」の動きを守り、優しい力でなじませることが大切です。
化粧水同様、目元や口元など乾燥しやすい部位には重ね付けし、重点的な対策を行う方法も検討されます。
なお、化粧水や乳液、クリームを過剰な量使用する「保湿しすぎ」も肌の調子を不安定にする要因です。
保湿しすぎのお手入れを続けることで肌細胞が自ら剥がれ落ちる作用が弱ってしまい、ターンオーバーが早い・遅い状況を悪化させるケースがあります。新しい化粧水や乳液、クリームを使用する際には必ず適量を確認し、過不足なく保湿しましょう。
4. 【ターンオーバーが早い時・遅い時】日焼け止めを毎日使う
紫外線を浴びた肌は、ターンオーバーが早くなります。紫外線刺激の蓄積によって肌の基礎力が低下するとターンオーバーが遅くなることがありますので、日焼け止めを毎日塗ってください。
ただし、強すぎる日焼け止めは肌に対する負担が大きく、日常使いに不向きです。ターンオーバーを正常化するためには、活動内容に応じた強さの日焼け止めを何個か用意し、当日の予定に合わせて使い分けます。
◎日焼け止めの強さの目安
SPF15〜30、PA+〜++ | 近所に出掛けたり通勤、通学したりと、日常的な活動のみの日に適した強さ。 |
SPF30〜50、PA++〜+++ | 屋外スポーツを楽しんだりウォーキングしたりと、ややアクティブに動く日に適した強さ。 |
SPF50+、PA++〜++++ | マリンスポーツやハイキングなどを楽しみ、アクティブに動く日に適した強さ。 |
日焼け止めによる肌の負担を最小限に抑えるためには、低刺激タイプの商品を活用する方法もおすすめです。敏感肌用の日焼け止めには刺激成分を含まない商品が目立ちますから、自分の肌の状態に合うものを使ってください。
5. 【ターンオーバーが早い時・遅い時】生活習慣を見直す
日々の生活習慣は、ターンオーバーを正常に維持するための大切な要素です。睡眠習慣や食生活、心の健康状態などを見直すことで、ターンオーバーを正常化しましょう。
◎睡眠習慣
毎日決まった時間に就寝して起床する、規則正しい睡眠リズムに改善します。成長ホルモンが多く分泌される寝入りばなにぐっすりと眠れるように、就寝前のカフェイン摂取を控えたり寝室の環境を整えたりすることも大切です。就寝前のスマホやPC操作は睡眠の質を低下させますので、控えてください。
◎食生活
ビタミン・ミネラル豊富な野菜や果物と動物性タンパク質・植物性タンパク質を含む食べ物、良質な油など、健康な肌を維持するために必要なものを過不足なく摂取します。良質な油とは、悪玉コレステロールを減らす働きが期待される油です。青魚に含まれる油分やエゴマ油、アマニ油などが、良質な油の代表例にあたります。
◎心の健康状態
過剰なストレスによって自律神経のバランスが崩れると、ターンオーバーにも影響します。ストレスを実感する前にリフレッシュする習慣を作り、心を健康に維持しましょう。
睡眠不足や過剰なダイエットによるエネルギー不足も、心の健康状態を悪化させることがあります。おいしいものをバランスよく食べて、よく眠る理想的な生活を普段から意識することが大切です。
まとめ
ターンオーバーが早いか遅いかを見分けるためには、シミのできやすさやニキビ跡の治りやすさ、ごわつきや毛穴トラブルが気になるかなどの基準が参考になります。
ターンオーバーが早い場合も遅い場合も、肌の状態に応じたスキンケアを実践したり生活習慣を見直したりする対処をとり、理想的な状態に戻すことが大切です。この記事の内容を参考に自分に必要な対処法を見極めて、ターンオーバーを正常化しましょう。