監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

「肌のターンオーバーを整える」「肌のターンオーバーを促進する」という言葉を化粧品やスキンアイテムに書いてあるのをよく見かけます。しかし実際にターンオーバーとは何が起こっており、乱れるとどうなるかということはあまり知られていません。

今回は肌のターンオーバーとはなにか、そしてターンオーバーを整えるための方法をご紹介します。

スキンケアだけでなく、食事や運動など様々な方法を解説していますので、ぜひ取り入れてみてください。

肌のターンオーバーとは?

肌のターンオーバーとは、新しい細胞が生まれて剥がれていくまでの代謝のことです。

肌の元になる細胞は表皮の一番深いところにある「基底層」というところで作られます。「基底層」の細胞分裂によって新しく生まれた細胞は表面に向かって徐々に上昇していきます。

新しい細胞が表面の近くになると、核がなくなり「角質細胞」となります。そして、角質層で肌の表面を守ったあと、順次「角片(かくへん)」となって自然に剥がれ落ちていくのです。

基底層で細胞が生まれて、剥がれ落ちていくことをターンオーバーと言います。ターンオーバーの周期がきちんと保たれていると、コンディションが整った肌を常に保つことができます。

しかし、何らかの原因によってターンオーバーが乱れてしまうと角質が剥がれ落ちずに角質層が厚くなったり、透明感が失われて、くすみが目立つ肌になったりします。また、角質層が薄くなってしまい、肌のバリア機能が低下するという場合も。美肌を保つためにはターンオーバーを整えることが必須です。

肌のターンオーバーが乱れる原因

ターンオーバーが乱れる原因は主に3つです。どれかひとつがターンオーバーの乱れを生むわけではなく、これらの原因が複雑に絡んでいるのが一般的です。

◯加齢
まずは加齢です。歳を重ねることによって細胞のエネルギーが減少し、ターンオーバーのサイクルも遅くなります。理想のターンオーバーの周期は28日ですが、実際は30代を超えると45日以上かかっていると言われています。

◯紫外線によるダメージ
紫外線は肌の奥までダメージを与え、本来の働きを邪魔してしまいます。紫外線は肌の老化を促進するため、実年齢以上にターンオーバーを遅くする可能性もあります。

◯水分・栄養不足
偏った食生活やスキンケア不足もターンオーバーを乱れさせる原因です。水分や栄養が少ない状態では、正常なターンオーバーを行うことができません。毎日の生活習慣がターンオーバーを守る鍵なのです。

肌のターンオーバー促進方法5個[スキンケア]

ターンオーバーを促進するためのスキンケア方法を紹介しましょう。

1. 紫外線対策

紫外線のダメージは日焼けすること以外にたくさんの悪影響があります。紫外線のダメージは表皮だけではなく真皮にも届くと考えられており、新しく生まれる肌細胞にも異常が出るおそれがあるのです。

肌へのダメージをおさえ、ターンオーバーの周期を正常に保つためにも毎日の紫外線対策は欠かせません。外出する際は必ず日焼け止めを塗ったり、日傘を使って紫外線対策をしましょう。

注意しなければならないのは、晴れている日だけではなく曇りの日も紫外線は対策が必要だということです。曇っていても紫外線は地上に届いています。晴れ間がのぞく日であれば、雲に日光が乱反射するため晴れの日よりも紫外線の量が多くなることもあるのです。

日焼け止めに限らず、帽子や日傘など簡単に使えるアイテムも用意して紫外線対策を徹底しましょう。

2. 毎日の洗顔

正しい洗顔を行うことで、不要な角質を取り除き、角質層の水分を守ることができます。洗顔で落とす汚れは、主に汗や皮脂などの自然と出てくる汚れです。この汚れをしっかり取ることで、肌のターンオーバーをスムーズにします。

不要な角質を取ることが大切ですが、決してゴシゴシと擦ってはいけません。必要な角質まで擦り落としてしまい、かえってターンオーバーの周期を乱してしまいます。肌の上で泡を動かして汚れを吸着させるようにしましょう。

そのために洗顔料をしっかり泡立てて、指が触れなくても汚れを洗い流せるようにするのがポイントです。

3. 正しいクレンジング

メイク汚れが肌に残ったままになっていると、肌の状態が整わずターンオーバーが遅れてしまいます。メイクをした日は必ずクレンジングを行うようにしましょう。

クレンジングも洗顔と同様、肌をできるだけこすらずに落とすことが大切です。そのためにメイクに合った洗浄力のクレンジング剤を選ぶようにしましょう。しっかりしたメイクをする人はオイルやジェルがおすすめです。ファンデーションなどは使わず、日焼け止めとパウダーのみというようなナチュラルメイクの方はミルククレンジングの洗浄力でも十分でしょう。

マスカラやリップなどの落としにくいメイクにはリムーバーを使うのも効果的です。肌に負担にならずきちんと汚れを落とせるように、メイクに合ったメイク落としの工夫が必要です。

また、汚れを落とすためにクレンジング剤を長時間肌においてしまうのは逆効果です。肌に必要な皮脂まで洗い流して、乾燥を促進してしまいます。30秒ほどで構いませんから、手早く確実に汚れを落としましょう。

4. 優しい角質ケア

優しい角質ケアはターンオーバーの正常化を助けます。古い角質を取り除き、新しい肌が表面に出やすい状態を作るためです。

クレンジングのついでに角質ケアをできるものや、化粧水の浸透力を上げる拭き取り化粧水など角質ケアアイテムの種類も様々です。自分のスキンケア習慣に取り入れやすいものを選びましょう。

ただし、やりすぎは禁物。週に1回から月に1回が理想です。ピーリングアイテムに書いてある使い方を必ず守って行うようにしましょう。

5. しっかりとした保湿

角質層はターンオーバーによってできた角質と、その間を満たす水分や脂質でできています。水分が少ないと角質が剥がれにくくなり、角質層が厚くなってしまう原因になります。毎日の保湿をしっかりと行い、角質層を安定したものにしなければなりません。

保湿の基本は化粧水と乳液です。どちらも欠かすことができません。オイリー肌なことや時間短縮を理由に乳液を使わないという人も見られますが、基本的に乳液やクリームは必須です。

化粧水でうるおいを補給しただけでは蒸発しやすく、かえって肌の水分を失ってしまうこともあります。うるおい補給をしたあとは肌に水分をとどめるために必ず乳液やクリームを使って保湿をしましょう。

肌のターンオーバー促進方法3個[食べ物]

1. タンパク質をしっかりとる

タンパク質は肌を作るために必須の栄養です。肌だけではなく、髪や爪、もちろん臓器などにも使われます。身体も肌も良いコンディションを保つためには良質なタンパク質を毎日摂取することが大切です。

良質なタンパク質を含む食材というのはアミノ酸スコアで測ることができます。タンパク質は9種類の必須アミノ酸がすべて揃っていなければ、うまく機能しません。アミノ酸スコアは100に近い数値の食べ物ほど、必須アミノ酸が十分に揃っていることを示しています。アミノ酸スコアの高い食材としては、鶏肉や卵、牛乳などがあげられます。

タンパク質を取るために脂質や糖質なども一緒に取りすぎないように注意が必要です。アミノ酸スコアの高い食品を組み合わせたり、調理法を工夫するなどして上手に摂取しましょう。

2. 血流をサラサラに保つ

ターンオーバーをするためには十分な酸素と栄養が供給されなければなりません。ドロドロの血液だとうまく肌まで運ぶ事ができず、栄養不足や酸素不足の状態になってしまいます。

血液をサラサラの状態に保つためには、糖質や脂質を抑えることが大切。揚げ物やお菓子は必要最低限にしましょう。

サラサラの血液にするために酢や柑橘類に含まれているクエン酸、野菜や果物に多く含まれるビタミンBやビタミンEもおすすめです。納豆に含まれるナットウキナーゼや玉ねぎのアリシンなどもいいでしょう。青魚のEPAも血栓を予防する作用があります。様々な食材をバランス良く食べて、サラサラの血液を維持しましょう。

3. 便秘にならない食事

便秘もターンオーバーの乱れに関わります。腸に便が溜まった状態だと、老廃物や細胞にとって有害な物質を再吸収してしまいます。吸収されたものは血液に溶けて全身をめぐるため、できるだけ早く排泄しなければなりません。

肌は汗や皮脂によって体の中の悪いものを外に出す機能があり、ターンオーバーよりも排泄を優先してしまいます。毎日のお通じがよりよい肌を守るために大切なのです。

食物繊維をしっかり摂取し、便秘を改善することが肌のターンオーバー促進に繋がります。

食物繊維には水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維があります。不溶性の植物繊維は便のかさを増し、水溶性の食物繊維は腸の状態を整え便をやわらかくします。どちらの食物繊維もバランス良くとって、腸の環境を整えましょう。

肌のターンオーバー促進方法7個[ビタミン・サプリ]

1. ビタミンA

ビタミンAは不足すると角質層が厚くなってしまう栄養です。毎日十分に取ることによって、角質を程よい厚さに保ってくれます。

ただしビタミンAは長期に渡る大量摂取によって頭痛などの過剰症を発症する恐れがあります。一日の目安量を守って摂取するようにしましょう。

2. ビタミンB2

ビタミンB2は肌の新陳代謝を活発にしてくれる栄養です。細胞の成長に大きく関わっており、新しく生まれる肌細胞が健やかに育つために欠かせません。また、肌の再生にも関与しているため、ダメージを修復するためにも必要になります。

3. ビタミンC

ビタミンCは美肌のために良い効果がいくつもあります。中でも注目すべきは紫外線のダメージを修復してくれる効果でしょう。

日焼けによって乱れた皮膚の組織を修復し、もとに戻すためにビタミンCは使われます。水に溶けやすく、身体に蓄積できない栄養なのでぜひ毎日摂取しましょう。

4. ビタミンE

ビタミンEは血行を促進し、ターンオーバーを整えてくれます。抗酸化作用がとても強く、肌の細胞の老化を防いでくれる働きも特徴的です。ビタミンCと一緒に摂取することで相乗効果が働き、抗酸化力が高まることも報告されています。

5. プロテイン

正常なターンオーバーを行うためにプロテインを摂取しましょう。日本人はタンパク質不足の傾向にあり、意識して取る必要があります。

プロテインを朝食として摂取すれば、吸収がよく朝ごはんもしっかり取りやすいので一石二鳥。毎日の習慣にすることで手軽にタンパク質を補いましょう。

6. 亜鉛

亜鉛はミネラルの中でも細胞の分裂や再生に使われるため、ターンオーバーに必須の栄養です。特に多い食材としては牡蠣やアワビなどがあげられ、日常的には少し食べづらいかもしれません。

牛肉や卵、ナッツ類もバランス良く食べながら、サプリなどをうまく活用して補うといいでしょう。

7. クエン酸

クエン酸は身体のエネルギーを作るための代謝に必要な栄養です。クエン酸を使った代謝が滞ると細胞に十分なエネルギーが行かなくなってしまいます。

摂取することも効果的ですが、クエン酸を使ったスキンケアアイテムにはピーリング効果も。自分の肌に合った使い方をすることで、効果的にターンオーバーを促進することができます。

肌のターンオーバー促進方法2個[運動]

1. 顔のトレーニング

顔の筋肉を動かすことで血流を良くすることができます。特に口を動かすと多くの顔の筋肉を使うことができます。

大げさに「あ」「い」「う」「え」「お」と口を動かしたり、舌をぐるりと大きく回すといいでしょう。とても簡単にできるので、スキマ時間に気軽に行えるはずです。

2. 1日15分の運動

適度な運動をすることで、新しい肌を生み出す線維芽細胞の働きが活発になります。きついトレーニングをする必要はなく、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行うようにしましょう。

しっかり腕を振って歩くだけでも、筋肉が動くのでおすすめです。運動の際には水分を取りながら行うようにしましょう。

まとめ

ターンオーバーの仕組みと、促進する方法をご紹介しました。ターンオーバーの遅れは誰の肌にも起こることです。しかし、スキンケアや生活習慣を整えることのよって、遅れによるトラブルを防ぐことができます。

ここで紹介したすべての対策方法を一度に行うことは難しいかもしれません。自分の肌の状態を見ながら、できるものを取り入れていきましょう。毎日の丁寧なケア習慣が、年齢に負けない肌を作ります。