監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

高価な化粧品や時間をかけてスキンケアをしていても、なぜか肌トラブルが減らないと悩みを抱える方が多いようです。その原因は、ターンオーバーの乱れのせいかもしれません。

では、ターンオーバーが乱れることで、肌にどんな影響があるのでしょうか。

ここでは肌のターンオーバーとは何なのか、周期や年齢別の特徴、正常化する方法を解説します。ぜひ参考に、ニキビや肌荒れの少ない健やかな肌を目指しましょう。

肌のターンオーバーとは?

肌のターンオーバーとは

まずは、肌のターンオーバーとは何なのかを詳しく見ていきましょう。肌のターンオーバーとは、簡潔にいうと「表皮が生まれること」です。古いものから新しいものに変わることから、肌の新陳代謝とも呼ばれています。

以下は、ターンオーバーの一連の流れです。
(1)基底層(きていそう)で細胞が生成される
(2)約14日間で細胞が角質層へ届く
(3)さらに14日間で垢となって剥がれ落ちる

表皮の最下層にある基底層では、基底細胞が分裂することで新しい細胞が作られます。やがて有棘層(ゆうきょくそう)から顆粒層(かりゅうそう)へと、約2週間を経て細胞は次々に形を変えながら角質層へと到達するのです。

さらに角質層では、皮膚を保護するために約2週間とどまり、役目を終えると垢になって角質が剥がれていきます。ターンオーバーが正常に働くことで、健やかな肌を保っているのです。

肌のターンオーバーの周期は何日?

年齢や部位によっても、ターンオーバーの周期は異なります。顔全体の部位を平均すると約28日間なので、約28日が理想的だといわれているのです。実際にはさまざまな研究結果があり、数値にバラツキもあります。

若く健康的な肌ではターンオーバーが約30日前後で正常に働いているため、健やかな肌を保っているのです。しかし、年齢を重ねるにつれて、徐々にターンオーバーの周期に遅れがでてきます。

では、「早ければよいのでは」と思われますが、ターンオーバーの周期は早すぎても遅すぎてもいけません。同じ人でも、加齢や季節、体調によっても肌のターンオーバー周期は変化します。

肌と同様に、内臓や骨、筋肉など、体のさまざまな部位で新陳代謝が行われ、体の健康を保っているのです。

年齢別のターンオーバーの特徴は?

次に、年齢ごとにターンオーバー働きは異なるのでしょうか。加齢とともにターンオーバーの特徴も変化するので、各年齢別にチェックしておきましょう。

10代のターンオーバーの特徴

10代では通常よりも少し早いサイクルでターンオーバーが行われています。皮脂の分泌が盛んで、乾燥に悩むことは少ない肌状態です。しかし、過度な洗顔や生活習慣の乱れなどでターンオーバーが乱れて、ニキビや肌荒れの原因になることもあります。

20代のターンオーバーの特徴

20代の健康的な肌では、潤いやツヤ、ハリのある状態を保ち、ターンオーバーサイクルは30日前後と正常に働いています。しかし、何らかの原因でバリア機能が低下した肌では、乾燥や肌荒れを生じやすくなります。

30代のターンオーバーの特徴

肌の変化が気になり始める30代では、ターンオーバーの周期も徐々に遅くなります。ターンオーバーが遅れることで、20代よりも余分な角質が皮膚に溜まりやすくなり、肌のザラつきや白い角栓などの肌トラブルが増える傾向です。

40代のターンオーバーの特徴

40代では年々ターンオーバーの周期が遅くなり、乾燥小じわやくすみも気になり始めます。気づかないうちにシミや肝斑ができていることもあります。

50代のターンオーバーの特徴

50代では肌の潤いやハリ、弾力も低下して、シワやたるみを生じやすくなります。ターンオーバーの遅れにより角質が厚くなり、ゴワつきやザラつきを感じやすくなる時期です。

60代のターンオーバーの特徴

60代では28日サイクルを基準にすると、約1.5倍から2倍の遅れが目立ちます。さまざまな古い角質が肌に停滞することで、シミやシワ、たるみ、くすみなどを生じやすくなる状態です。

注意:年齢別のターンオーバー周期は目安です。季節や体調、肌の状態によっても個人差があります。

肌のターンオーバーが乱れると起こること

それでは、肌のターンオーバーの乱れはどのような不調を招くのでしょうか。健康な肌では正常にターンオーバーが働いて古い角質を排出しますが、何らかの原因で周期が遅れると上手く剥がれ落ちずに肌表面に蓄積するのです。

反対に、周期が早すぎると細胞が未成熟な状態で肌表面に出てきてしまいます。本来であれば、ターンオーバーを行う過程で生成されるはずの天然保湿因子(NMF)が少量しか作られず、潤い不足の角層細胞ができてしまうのです。

以下では、ターンオーバーが乱れることで起こりやすいトラブルを挙げています。

・角栓の形成
・シミ
・ニキビ
・乾燥
・角質肥厚
・毛穴詰まり
・皮脂の過剰分泌
・肌荒れ
など

肌のターンオーバーが乱れると、同時にバリア機能が低下しやすくなり、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりなどの肌トラブルにつながります。結果的に肌荒れやニキビなど、悩みの種になることもあるので、健やかな状態を保つことがベストです。

肌のターンオーバーが乱れる原因5個

次に、肌のターンオーバーの乱れはなぜ起こるのでしょうか。原因を把握することで、肌トラブルを未然に防いでキレイな肌をキープできます。

1. 日焼け

紫外線によって日焼け(サンバーン:皮膚が赤くなること)をすると、早く回復させようと肌のターンオーバーサイクルが早まります。ターンオーバーサイクルが早くなると、潤い不足のまま未熟な角質細胞が肌表面にでてきてしまうのです。

結果的に潤いが足りない状態なので、肌は乾燥してハリや弾力も失われます。特に炎天下でのスポーツやレジャーは、極端にダメージを受けてしまうため注意が必要です。また、乾燥した肌は潤った肌と比べ、日焼けしやすい傾向があります。

2. 加齢

年齢を重ねるにつれて基底細胞自体の働きが低下するため、加齢とともにターンオーバーサイクルは遅くなります。表皮の構成は上から順番に、角層、顆粒層、有棘層、基底層です。

基底層は新しい角化細胞を生成する場所で、生み出された基底細胞は分裂します。やがて新しい細胞が有棘細胞、顆粒細胞へと約2週間かけて変化していく仕組みです。

加齢は止められませんが、ターンオーバーを促して実年齢より若々しい肌へ導くことはできます。年齢のせいだと諦めず、生き生きとした肌を目指しましょう。

3. 食生活

偏食による栄養不足は、肌のターンオーバーを乱す原因です。栄養バランスの偏った食生活では、ターンオーバーサイクルは上手く働きません。表皮の最下層にある基底細胞に十分な栄養が届かなければ、順調に代謝ができなくなります。

また、食事だけではなく、飲み物にも注意が必要です。暑いからと冷たい飲み物ばかりを飲んでいると、血行が悪くなり肌に十分な栄養を肌に送れません。食事にばかり目がいきがちですが、体の60%は水分なので水分補給も重要です。

4. 生活習慣

運動不足や睡眠不足、便秘などの生活習慣の乱れは、肌のターンオーバーにも影響を与えます。以下はターンオーバーの乱れの原因となる生活習慣です。

・運動不足
・睡眠不足
・便秘
・喫煙
・ストレス
など

とくに就寝中は、肌内部で新しい細胞を古い細胞と置き換える大切な時間です。肌のターンオーバーは、食事で摂った栄養を体の隅々まで行き渡り、細胞に酸素と栄養を届けることで行われます。

また便秘が続くと、腸内で消化する働きが低下し、肌に十分な栄養が行き渡らなくなるのです。

そして、運動不足は血行不良を招き、体自体の新陳代謝を低下させてしまいます。食事と同様に、生活習慣を整えることは美肌を育てるうえで欠かせません。

5. 間違ったスキンケア

洗顔やピーリング、ピールオフパック(貼って剥がすタイプ)のしすぎなどの間違ったスキンケアは、ターンオーバーの乱れの原因につながります。

以下は、ターンオーバーを乱す間違ったスキンケアです。
・摩擦
・保湿不足
・過度な洗顔やクレンジング
・適切でない化粧品の使用
・紫外線対策不足

とくに過度な洗顔は年齢に関わらず、ターンオーバーサイクルを早める傾向です。ピーリングやピールオフタイプも、物理的に皮膚を剥がすので使用ルールは守らなければなりません。

肌のターンオーバーを正常化する方法7個

最後に、肌のターンオーバーの働きを正常にする方法を解説します。ターンオーバーの乱れを整えるには、肌の内側と外側からケアすることが必要です。ぜひ参考に、繰り返す肌トラブルを防いで、潤いとハリのある美肌を保ちましょう。

1. 季節に関わらず紫外線対策を行う

紫外線対策は、ターンオーバーを整えるためだけでなく、肌全般のトラブルを防ぐためにも重要です。日焼けをすることで肌内部がダメージを受けて、乾燥や肌荒れを起こしやすくなります。

「若いからまだ大丈夫」と紫外線対策をサボっていてはいけません。10年後や20年後の肌のことを考えて、季節に関わらず紫外線対策を徹底しましょう。

肌には日焼け止めを塗り、長時間の外出時には2~3時間ごとに塗り直します。UVカット効果のあるサングラスや帽子、日傘、衣類などを使用すると、紫外線防御効果がより高まるのでおすすめです。乾燥した肌は紫外線の影響を受けやすくなるため、朝も夜もきちんと保湿をしましょう。

2. 十分な保湿を心掛ける

肌の水分量が10%をきると、肌は乾燥してターンオーバーも乱れやすくなります。十分な保湿を心掛けて、肌の潤いを保ちましょう。

日中は化粧水、美容液、乳液、夜はクリームを加えて保湿ケアを行います。乾燥により角質肥厚が起こっている場合には、ブースター美容液などで化粧水の浸透を高めると良いでしょう。

化粧品の他にも、肌の状態に合わせてシートマスクや美顔器の温スチームなどを活用すると乾燥対策に効果的です。

3. 美容液等で肌の乾燥を防ぐ

健康な肌では10~20%の水分を維持していますが、10%未満になると乾燥して代謝が正常に進まなくなります。

美容液の役割は乾燥した肌の代謝をサポートしながら、円滑に代謝が行えるように促すことです。ターンオーバーを正常にするには、乾燥から肌を守るケアが重要となります。

肌トラブルを防ぐためにも、毎日のお手入れに美容液をプラスしてみてはいかがでしょうか。30代以降ではエイジングケア化粧品を使い、年齢に合わせたお手入れを開始しましょう。

4. 正しい洗顔方法を身につける

ターンオーバーを乱さないために、正しい洗顔方法を見ておきましょう。まずは肌表面にある皮脂やホコリなどの汚れをしっかり落とします。

以下は、基本となる洗顔方法の手順です。
・手を洗う
・軽くぬるま湯で顔全体をすすぐ
・洗顔料を用いてたっぷりの泡を作る
・優しく包み込むように顔全体に広げる
・ぬるま湯でしっかりすすぐ
・清潔なタオルで水気を取る

皮脂の多い部位から少ない部位へと広げるのがポイントです。時間差をつけることで、脂っぽい部位の皮脂をしっかり落とし、テカリを防ぎます。

肌のゴワつきやザラつきが気になる場合には、酵素洗顔やピーリングを用いて古い角質を除去しましょう。

5. 豊富な栄養と水分を補給する

肌のターンオーバーを整えて潤いとツヤのある肌へ導くには、食生活にも気を付けなければなりません。

ビタミンAやビタミンB5(パントテン酸)などを中心に、ミネラルや良質なタンパク質を摂ることが大切です。食事だけで十分な栄養を摂れない場合は、サプリメントで補いましょう。

そして、潤いのある肌を保つには、水分補給が必要です。体全体の水分量が減ると、肌は乾燥しやすくなり、紫外線の影響も受けやすくなります。

ミネラルウォーターや麦茶など、ミネラルを豊富に含んだ飲料がおすすめです。効率よく肌に栄養を届けるためにも、冷たい飲み物は避け、常温かホットで飲むようにします。

肌のターンオーバーを促す食べ物や飲み物をプラスして、年齢に負けない美肌を内面から作りましょう。

6. 質のよい睡眠をとる

ターンオーバーの働きを正常化するには、良質な睡眠をとることが重要なポイントです。十分な睡眠時間をとっていても眠りが浅ければ、熟睡できていないことになります。

以下は、より質のよい睡眠へ促す方法です。
・夜のカフェインは控える
・就寝前はブルーライトの画面を見ない
・寝るときは全ての照明をオフにする
・ぬるま湯で10分程度の入浴をする
・アロマなどを活用してリラックスできる環境を作る
・体を冷やさない

照明は全て消すほうがよいですが、真っ暗で不安になるときは、暗めのミニライトなどを活用してください。明かりを消すと、眠りを促すメラトニンの分泌量も増加するため、深い眠りにつきやすくなります。どれを実践するにしても、心地よいと思うものを続けることが大切です。

7. 適度な運動をする

美しい肌へ導くには、健康的な体づくりが大切です。普段運動をしていない人にとって運動は敷居が高く、抵抗のある方も多いでしょう。そういった人は激しい運動ではなく、適度に軽い運動を続けることが大事です。

基礎代謝が高まり、血行を促すため、冷えの改善やストレスの解消につながります。血行が良くなれば、肌にも酸素や栄養を効率よく届けられるのです。

週に2回を目安にして、ウォーキングやヨガなどの適度な運動を行いましょう。中でも自宅でマットをひくだけで行えるヨガは、面倒くさがりの方でも気軽にできます。

現代ではPC仕事が増えて、不眠症や冷え、肩こりなどに悩みを抱える方が多い傾向です。適度な運動をすれば、体も心も軽くなって肌が生き生きと輝いてみえるでしょう。

まとめ

今回は肌のターンオーバーの意味や周期、正常化する方法を解説しました。ターンオーバーが乱れるとバリア機能も低下するため、さまざまな肌トラブルを誘発します。

生き生きとした健やかな肌を保つには、食事のバランスと生活習慣を整えることが何より重要なポイントです。そしてターンオーバーサイクルの促進をサポートするために、年齢に合わせたスキンケアやこまめな紫外線対策を忘れずに行いましょう。