監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

皮膚の上には200万匹程度ものダニがいて、異常繁殖することで肌荒れを引き起こすリスクがあります。ダニよる肌荒れは一般的なケアで対処することが難しく、皮膚科の受診が必要です。

この記事では、「毛穴にダニがいたらどうしよう」と不安を感じる人に向けて、ダニによる肌荒れの特徴や正しい毛穴ケア方法を解説します。ダニによる肌荒れや毛穴トラブルに悩まない理想の肌を作るためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

顔の毛穴にいるダニとは?

そもそもダニとは、ダニ目・節足動物の総称です。顔の毛穴にいるダニは、皮脂腺の浅い部分に寄生する「デモデクスフォリキュロラム」・皮脂腺の内部に寄生する「デモデクスブレビス」の2種類。

2種類のダニは俗称で「顔ダニ」「ニキビダニ」とも呼ばれ、ペットの身体につく「イエダニ」や食料品につく「ホコリダニ」とはまったく異なる生き物です。

顔ダニは、生まれたばかりの赤ちゃんを除き、ほぼすべての人に見られるともいわれます。皮膚科でも「常在菌の一種」とみなされるものですので、いること自体が問題ではありません。むしろ、顔ダニが全くいないことの方が不自然な状態。

「きちんと洗顔しているから、顔ダニとは無関係」「毛穴にダニがいるはずはない」というわけではないことを覚えておくとよいでしょう。

顔ダニは退治すべき?

「ダニ=悪者」というイメージがあるからか、顔ダニに対して過剰な拒否反応を示す人も見られます。しかし、顔ダニはもともと、人間の余計な皮脂を食べてくれる存在です。

顔ダニを必要以上に退治すると油分・水分のバランスが崩れて、トラブルを招くリスクがあります。

そもそも顔ダニは常在菌の一種とみなされるものであることは、前述した通りです。肌の常在菌を完璧に除去できないことと同様、顔ダニをすべて退治し、いない状態にすることはできません。

ただし、顔ダニが必要以上に繁殖して悪影響を与えるときには、皮膚科を受診し、専門治療を受けることも検討されます。治療といっても顔ダニをすべて退治するわけではなく、正常な量まで間引きするイメージです。

では、どのようなときに顔ダニが異常繁殖するのでしょうか。顔ダニが異常繁殖して毛穴に悪影響を及ぼすシチュエーションの具体例は、以下で詳しく解説します。

ダニが毛穴に悪影響を与えるとき

顔ダニの異常繁殖は、何らかの原因によって皮脂腺の活動が活発化し、エサが増えてしまったときに起こりがちです。

皮脂腺の活動が活発化するシチュエーションには、以下のような内容があげられます。

・慢性的なストレスを抱える状況
・生活リズムが乱れて、自律神経のバランスが不安定になった状況
・脂質や糖質の多い食事が続いているとき
・スキンケア不足によって、肌が乾燥しているとき

上記のような原因によって異常繁殖した顔ダニの死骸や抜け殻、フンが毛穴に詰まると衛生状態が悪化し、難治性のニキビを招いてしまうことがあります。

顔ダニに対するアレルギー反応として、かゆみや赤みが生じるケースも見られますので、注意しましょう。ニキビやかゆみ、赤みなどのトラブルが顔ダニによるものであるかは、皮膚科の医師でなければ分かりません。

安易な自己判断によって症状を悪化させることのないように、なるべく早い段階で、皮膚科にかかるとよいでしょう。

正しい毛穴ケア方法7個

毛穴に詰まった汚れは顔ダニのエサになりやすく、異常繁殖を招いてしまう一因です。正しい毛穴ケア方法を覚えることで顔ダニの異常繁殖を防ぎ、肌トラブルを予防しましょう。

以下では、日常的に実践できる毛穴ケア方法や定期的に行いたい集中ケアのやり方を解説します。

1. 帰宅後すぐにメイクを落とす

メイクしたまま過ごす時間が長いほど肌に負担をかけやすく、毛穴の詰まりを悪化させるリスクがあります。帰宅後すぐにメイクを落とし、肌の負担を極力軽減してください。クレンジングは、メイクの濃さや肌質に応じたものを選択します。

主なクレンジングの種類とメイクの濃さ、肌質の対応表は、以下のような内容です。

クレンジングオイルメイクを落とす力が強い反面、肌に負担をかけやすいタイプのクレンジング。濃いメイクした日のみ使用するクレンジングにおすすめです。
クレンジングバーム固形のバームを体温で溶かし、使用するタイプのクレンジング。メイクを落とす力は比較的強いうえ、クレンジング後にしっとり感じる商品が多く、クレンジングオイルに苦手意識を持つ人におすすめです。
クレンジングクリームメイクを落とす力・肌に対する負担のバランスがよいタイプのクレンジング。肌質を問わずに使用しやすいタイプにあたります。
ミルククレンジングメイクを落とす力はマイルドですが、肌に負担をかけにくいタイプのクレンジング。ナチュラルメイク派の人や肌の乾燥が気になる人におすすめです。
水クレンジングコットンにしみ込ませて使用するタイプのクレンジング。クレンジングにかける時間を短縮できるかわりに摩擦刺激を与えやすく、肌荒れが気になるときには不向きです。

水クレンジングのように「こすって落とす」タイプのクレンジングはバリア機能を低下させ、肌荒れしやすい状態を作ってしまうリスクがあります。

バリア機能が低下すると顔ダニに対するアレルギー反応を起こすリスクも高まりますから、日常使いに不向きです。

その他の種類のクレンジングを使用する場合にもゴシゴシこする方法は避け、優しい力でなじませましょう。クレンジングをなじませた後はぬるま湯で十分にすすぎ、きれいに汚れを落としてください。

2. 朝・夜2回の泡洗顔を正しく行う

毛穴をきれいに維持するための洗顔は、朝・夜の1日2回が適切です。以下の手順に従って泡洗顔を実践し、毛穴の詰まりを防ぎましょう。

【1】ハンドソープで手を洗う。
【2】体温より低い温度のぬるま湯で顔全体を予洗いする。
【3】洗顔料を手のひらもしくは泡立てネットに出し、十分に泡立てる。
【4】毛穴トラブルの気になる部位に泡を乗せ、洗顔する。
【5】目元や口元など、乾燥しやすい部位に泡を乗せ、洗顔する。
【6】体温より低い温度のぬるま湯で十分にすすぐ。
【7】清潔なタオルを使用し、水分を吸収させる。

洗顔料を十分に泡立てることで汚れを落とす力が強まり、毛穴の詰まりを防止できます。泡立てネットなど便利なアイテムを活用し、手のひらを逆さにしても落ちないくらいの濃密泡を作りましょう。

3. 十分に保湿する

洗顔後は速やかに保湿を行い、水分・油分のバランスを整えます。適量の化粧水を手のひらに出し、両手で挟み込むようにして温めた後、顔全体へなじませましょう。

パシャパシャと叩き込むようにつけたりゴシゴシこすったりする付け方は肌に負担をかけますから、優しい力で進めてください。乾燥による毛穴の開きが気になる部位には少量の化粧水を重ね付けし、重点的に保湿する方法もおすすめです。

化粧水の後には乳液やクリームなど油分を含む基礎化粧品を重ね、保湿成分や水分を閉じ込めます。「ベタつきが気になるから」と油分を含む基礎化粧品を省略することは、毛穴ケアのよくある間違いの1つ。適度な油分を与えることで肌の状態が整い、過剰な皮脂の分泌を防げます。

4. 蒸しタオルパックで集中ケアする

毛穴の詰まりがひどいときには蒸しタオルパックを行い、蓄積汚れを落とすことが選択肢です。

以下の手順に従って洗顔前にパックして、毛穴を大きく開かせることで、汚れをごっそり落とします。

【1】洗面器に45℃程度のお湯をため、タオルを浸してよく絞る。
【2】毛穴の気になる部分もしくは顔全体にタオルを乗せる。
【3】2分から3分程度パックする。
【4】タオルを外し、普段通りに洗顔する。

蒸しタオルパックには顔の血行をよくしてターンオーバーを促す働きも期待されます。ターンオーバーを促してあげると蓄積汚れの排出がスムーズに進み、毛穴の詰まりを起こしにくい状態を作ることが可能です。

なお、蒸しタオルパックの頻度は、週に1回から2回が1つの目安。毎日実践することは避け、定期的に実践する集中ケアとして継続しましょう。

5. 酵素洗顔料やクレイパックを活用する

「蒸しタオルパックに挑戦しても毛穴の詰まりがよくならない」という人は、酵素洗顔料やクレイパックを活用しましょう。

酵素洗顔料とは、酵素の力で皮脂や古い角質を分解し、取り除くタイプのケア商品です。クレイパックは、天然泥の吸着力を利用し、毛穴に詰まった汚れを除去するタイプのケア商品にあたります。

酵素洗顔料もクレイパックもお手入れの目的は同様ですから、併用する方法は避けてください。肌質に合う集中ケア商品を定期的に活用し、蓄積汚れを取り除きましょう。

6. 自己流の毛穴ケアをやめる

毛穴ケア方法として一般的に知られる手法の中には肌に対する負担が大きく、トラブルを招くものが多くあります。毛穴をきれいに維持するためには、

以下のようなお手入れを控えましょう。

・剥がすタイプの毛穴パックを頻繁に使う。
・角栓を指で押し出す。
・スクラブ入りの洗顔料を毎日使う。
・洗顔ブラシでゴシゴシ洗う。
・毛抜きやピンセットで角栓を引き抜く。
・冷水洗顔で開いた毛穴を引き締める。
・市販の軟膏でパックする。

上記のようなお手入れを続けると、赤みや炎症、ニキビなどを招いてしまう恐れがあります。肌に対する負担の大きいお手入れを続けることは、バリア機能の低下を招き、顔ダニの異常繁殖を引き起こす原因の1つ。毛穴をきれいに維持し、顔ダニによるトラブルを防ぐためにも卒業しましょう。

7. UVケアを怠らない

紫外線を日常的に浴びた肌は自分自身を守るための反応として、角質を厚くします。専門的な用語では「角質肥厚」と呼ばれる症状で、肌のごわつき・ざらつき・毛穴の詰まりにつながる要素。

毛穴をきれいに維持するためには適切な強さの日焼け止めを毎日使用し、紫外線によるダメージを最小限に食い止めましょう。

SPF15〜30、PA+〜++通勤・通学や近所の散歩など、日常生活を送る日に適した強さ。
SPF30〜50、PA++〜+++屋外スポーツやジョギング、ウォーキングなど一定時間の屋外活動を行う日に適した強さ。
SPF50+、PA++〜++++マリンレジャーやハイキングなど、炎天下で長時間活動する日に適した強さ。

上記の表からも分かるように、日焼け止めは「強いものほど望ましい」というわけではありません。「紫外線がこわいから、SPF50の日焼け止めを毎日使う」などというUVケアは誤った対策です。上記の表を念頭に適切な強さのものを選び、毎日のUVケアを万全に行ってください。


まとめ

毛穴に寄生するダニの種類と症状、正しい毛穴ケア方法を紹介しました。正しい毛穴ケアを実践し、きれいな状態を維持することが、顔ダニの異常繁殖を防ぐコツです。