監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

「薬を使ってもニキビが治らない…」「頬全体が赤くなって、痒みも感じる…」。こういった症状が顔に出ている時、もしかするとニキビダニが悪さをしているかもしれません。

「ニキビダニ」という名前は聞き馴染みがないという方も多いでしょう。しかし私たちにとって、実はとても身近な存在でもあります。

今回はニキビダニの特徴と悪化した時の対処法、さらにはニキビダニによる炎症を予防する方法までご紹介します。

ニキビダニとは?特徴は?目に見える?

ニキビダニとは?特徴は?目に見える?

ニキビダニとは毛穴や皮脂腺に住んでいる微生物です。実は皮膚の常在菌と同じようにほとんどの人の肌に住んでいます。顔全体で200万匹から400万匹ほどいると言われています。

ニキビダニは皮脂や角質をエサにしています。人の皮脂腺は顔面に多く存在しており、ニキビダニも手足や胴体に比べて顔に寄生している数が圧倒的に多いです。そのため「顔ダニ」と呼ばれることもあります。

肌荒れを起こすことで注目を浴びてしまいましたが、本来肌の汚れをキレイにしてくれるものです。

ニキビダニは、顔の汚れを取り除き、肌の状態を弱酸性に保つ役割を果たしてくれます。肌は弱酸性の状態を保つことで、外からの刺激から皮膚を守り、雑菌の繁殖を抑制します。ニキビダニは健康な肌を維持するために必要な役割を担っているのです。

大きさは0.2mmから0.4mmですから、肉眼では見ることができません。検査の時には顕微鏡などを使って確認します。

ニキビダニが悪化する原因

肌を健康に保ってくれるニキビダニですが、繁殖しすぎると抜け殻やフンが毛穴に詰まり、肌荒れを起こす可能性があります。

ニキビダニが過剰に増えてしまう要因として、ステロイドを長期間にわたって使用していることや免疫不全の疾患により肌のバリア機能が低下していることが考えられます。

この場合は疾患の改善が必要になるためスキンケアなどでニキビダニによる肌荒れを防ぐことは難しいでしょう。

しかし普段のスキンケア不足や生活習慣の乱れによってニキビダニが悪化する場合もあります。

・皮脂分泌が多くなる生活習慣
・メイクの落とし忘れ

この2つが主な原因です。

メイク汚れはほとんどが油汚れですから、汚れそのものがニキビダニのエサになってしまいます。他にも毛穴のつまりや古い皮脂を洗い流す時に邪魔になってしまう悪影響が考えられます。

特に気をつけたいのがマスカラです。落としにくいマスカラがクレンジング後も残ってしまい、まぶたの炎症につながってしまいます。

ニキビダニの症状は?赤ら顔?

ニキビダニが増えすぎてしまうと、赤いブツブツができたり肌の広い範囲に赤みが広がるなどの症状が出ます。ニキビとの見分け方が難しいのですが、ニキビ治療を続けてもよくなる兆候がない場合はニキビダニが原因かもしれません。

ニキビのような症状のほかにもひりつき、痒みなどがあります。影響が頭皮の広がると、毛根がダメージを受けてしまうため抜け毛が起こることも確認されています。

ニキビダニが皮脂を食べすぎてしまうため、肌の水分が蒸発しやすくなってしまい乾燥につながることもあります。

肌が乾燥すると古くなった角質が肌に残り、皮脂分泌が過剰になる原因になってしまいます。ですから、乾燥した肌はさらにニキビダニが増えやすい環境を生み出す悪循環になりかねません。

マスカラが残っていると目元に多い皮脂腺でニキビダニが増殖し、まぶたのふちで炎症が起こり赤くなることがあります。目の炎症になったり、毛根が弱るためにまつ毛が抜けやすくなってしまいます。

ニキビダニの治療法

ニキビダニの治療を行うためには、まず皮膚科で検査をしましょう。皮膚の一部を採取し、顕微鏡を使って肌の状態を確認します。通常の状態より2倍以上のニキビダニが確認された場合、ニキビダニによる「毛包虫性ざ瘡」と診断されます。

治療は主に塗り薬で行われます。使われる塗り薬は主に二つあります。一つは角質を柔らかくし、毛穴を広げて乾燥させるイオウを使った外用薬です。もう一つは痒みをおさえる効果と駆虫作用があるクロタミトンを使ったクリームです。

ニキビダニの数を減らす抗生剤を服用する治療法もあります。外用薬と合わせて使うことでより改善が見込めるでしょう。

ニキビダニに使われる薬は、普段の状態の肌には刺激が強い場合があります。自分で判断して使うのではなく、専門家に肌の状態をきちんと確認してもらってから使用を判断してください。

通常のニキビに使われる抗生剤は、ニキビダニの炎症に対しての効果は薄いと考えられています。また、自己判断でステロイドを使用するとニキビダニのエサになるため症状が悪化する可能性があります。

ニキビダニは洗顔で駆除できる?

ニキビダニを洗顔で駆除することは難しいでしょう。

ニキビダニは毛穴や皮脂腺の中に存在します。肌表面の汚れを落とす洗顔が、毛穴の中まで入り込むことはありません。いくら強い洗浄力の洗顔料を使ってもニキビダニに届かなければ意味がないので注意しましょう。

しかし、洗顔をきちんと行うことはニキビダニの繁殖をおさえるために有効です。毎日の洗顔を正しく行うことで、ニキビダニのエサになる過剰な皮脂を落とすことができます。汚れをリセットすることで肌のバランスも崩れにくくなるため、ニキビ肌も本来の働きをすることができます。

ニキビダニは肌バランスが崩れた時に悪さをすることがわかっていますが、どれくらい増えると肌に悪いという目安はわかっていません。ですから、普段から皮脂の分泌が多くなりすぎないような生活を心がけることが大切です。

ニキビダニの予防対策7個

ニキビダニの過剰な繁殖を防ぐためには普段から肌のバランスを整えることが大切です。日頃からできる具体的な予防対策をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1. 洗顔

毎日の汚れをきちんとリセットすることはとても重要です。正しい洗顔をすることによって、汚れによるニキビダニの繁殖を防ぐだけでなく、スキンケアなどに頼りすぎず肌を良い状態に保つ力が強くなります。

肌のタイプは一人一人全く違いますから、自分にあったスキンケアアイテムを見つけるのは難しいかもしれません。ですが、洗顔をきちんと行うことができれば、身体が自然と良い状態に整えてくれます。

洗顔は肌に負担をかけないように優しく行いましょう。泡立つタイプの洗顔料を使う場合は、洗う時に指先を肌の間のクッションになるようにしっかり泡立てることがポイントです。ジェル状の洗顔料の場合はぬり広げる時、指先に力が入らないように注意します。

洗顔料に汚れを吸着させたら、ぬるま湯で手早く洗い流します。手でゴシゴシこすりながら流す必要はありません。手で掬ったぬるま湯を優しく当てるようにしましょう。洗顔料が残っていると肌荒れの原因になりますので、生え際などは入念にすすぎます。

洗いすぎやこすりすぎは禁物です。必要な皮脂や、肌の状態を整えてくれる常在菌まで取ってしまう可能性があります。摩擦による肌へのダメージも無視できません。多くても洗顔は1日2回までにしましょう。

2. クレンジング

肌に残ったメイクはニキビダニの絶好のエサです。メイクをした日は、必ず寝るまでにクレンジングでメイクを落としましょう。

特におでこから鼻にかけてのTゾーンは皮脂腺が多く、ニキビダニが繁殖しやすい部分です。ファンデーションやハイライト、ノーズシャドウ、小鼻の周りにはコンシーラーも使う方も多いでしょう。たくさんのアイテムを使うため、メイクをしたままだと毛穴が詰まった状態になってしまいます。

落とし忘れがないように目元や小鼻周りの細かい凹凸のところも気をつけてクレンジングをしましょう。擦る力でメイクを落とすのではなく、あくまでもクレンジング剤で汚れを浮かせて洗い流すのがポイントです。

3. 目元のケア

まぶたのフチにはマイボーム腺という皮脂の分泌腺があります。まつげの少し奥あたりに多く、涙が乾燥しないように皮脂を分泌しています。この皮脂腺が詰まることでニキビダニが増殖し、目の炎症が起こる場合もあります。

目元はマスカラなど落ちにくいメイクをしている方も多いでしょう。ポイントメイク専用のリムーバーを使って丁寧にメイクオフをする必要があります。

まつげは3層に分かれて生えており、クレンジングなどで落ちたように見えても、実は真ん中の層のまつげには残っているということがとても多いです。しっかり鏡を見ながらメイクオフをするといいでしょう。

またマイボーム腺に皮脂が詰まることを防ぐために、温めてゆるめることも効果的です。ホットタオルなどで目元を温めて、優しく拭き取りましょう。クレンジング後、洗顔をする前に行うと、より汚れを取りやすくなります。

4. 保湿

うるおい不足の肌は、皮脂が多すぎてしまうため、ニキビダニが増えやすい状態になってしまいます。化粧水で水分を補給し、クリームを使って蒸発を防ぐという基本の保湿をしっかり行いましょう。

ニキビダニを予防するためには、オイル成分が少なめのアイテムを使うことがおすすめです。オイル成分は保湿のために重要ですが、多すぎると皮脂分泌のバランスを崩してしまいます。あまりベタベタするものではなく、さらっとしたつけ心地のものを選ぶといいでしょう。

5. 質の良い睡眠

肌のダメージは睡眠中に修復されます。肌を良いバランスに保つために、夜中に分泌される成長ホルモンが自然と回復してくれます。肌を労るためにも十分な睡眠は欠かせません。

また睡眠不足はホルモンバランスを崩す原因になります。睡眠不足になると男性ホルモンの分泌が促進されてしまいます。男性ホルモンは皮脂を分泌する皮脂腺を刺激します。つまり、男性ホルモンが多く分泌されてしまうと皮脂腺の活動も活発になり、皮脂の過剰分泌につながります。

睡眠環境を整えて、質の良い睡眠をとるようにしましょう。寝室はできるだけ寝ることに集中できる環境に整えて、リラックスできる場所にすることが大切です。

睡眠の質を高めるためには、寝る前の行動が鍵になります。内臓を休ませるために、夕食を寝る3時間前までに済ませておくことが理想です。

シャワーや入浴を終えた後はできるだけスマホやパソコンを見ることなく、静かに布団の上で過ごしましょう。人は眠る時に体温が下がります。入浴であたたまった体温が徐々に落ち着く時に眠る体制ができていれば、スムーズに寝やすくなります。

6. バランスの良い食事

朝食・昼食・夕食の三食をしっかり取ることによって肌のコンディションが良くなります。不規則な食事は内臓を疲れさせてしまい、肌に十分な栄養が行き渡らなくなる原因になります。

食事内容のバランスも大切です。糖質や脂質が多すぎると、肌が脂っぽくなってしまいます。また、ビタミンの不足は皮脂の分泌量や角質の増加、肌の免疫力低下につながります。
ビタミンが豊富な野菜、そしてお肉をバランスよく撮り、健やかな肌を目指しましょう。

7. ビタミンを補給する

ビタミンは美肌に欠かせない栄養素として知られています。中でもニキビダニを予防するためにはビタミンB2とビタミンB6の摂取がおすすめです。

ビタミンB2は食べた脂質を変換して体内に吸収させるために使われます。肌の皮脂分泌にも関わっており、分泌量を調整するために必要になるビタミンです。レバーや卵などに含まれています。

ビタミンB6はタンパク質の分解に使われます。タンパク質は肌細胞を作るための原料になる栄養素です。不足するとタンパク質を摂取していてもうまく体内に吸収することができなくなってしまい、健康的な肌細胞を生み出すことができなくなってしまいます。またビタミンB6は肌の免疫機能を維持する働きもあります。免疫力を上げることで炎症が起きにくい肌を作ることができるでしょう。赤身の魚やバナナに多く含まれています。

ビタミンB2もビタミンB6も水によく溶ける水溶性ビタミンですから汗や尿に溶けて排出されやすい栄養です。体内に蓄積することができないため、毎日摂取する必要があります。食事を基本に、サプリメントなどもうまく活用して補うようにしましょう。

まとめ

ニキビダニの特徴と予防方法についてご紹介しました。ニキビダニは悪さをすることもありますが、誰の肌にでも存在しているものです。ですから必要以上に恐れる必要はありません。

肌のコンディションを保つために丁寧なスキンケアを行いつつ、もしも気になるようでしたら皮膚科に行って相談するようにしましょう。