監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

乳液やクリームなどの保湿化粧品には、「エモリエント効果」のある成分が配合されています。ときにモイスチャー効果とも呼ばれており、肌や髪を健やかに保つために欠かせません。

スクワランやワセリンなどの油性成分が一般的ですが、果たしてどんな種類があるのでしょうか。

そこで今回は、化粧品のエモリエント効果と成分や種類について詳しく解説します。加えて、エモリメントと保湿の違いや、美肌に導くスキンケア方法も合わせて説明します。化粧品の保湿効果を高めて、乾燥知らずの潤い美肌に導きましょう。

エモリエント効果とは?

エモリエント効果とは「角層の水分蒸発を防ぎ、潤いと柔らかさをキープする」働きのことです。

理想とする皮膚のエモリエント剤は、肌表面に皮脂膜を形成する皮脂です。

以下は皮脂に含まれる成分です。
・ワックスエステル
・トリグリセリド
・スクワレン

皮脂は水分を逃さず潤いを保つ働きをするため、バリア機能を保持するために欠かせません。しかし、何らかの原因で皮脂が減ると、角層の水分も蒸発してバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れの原因になります。

そこで活躍するのが、乳液やクリームなどのエモリエント効果のある化粧品です。化粧品では人工的な皮脂膜を張って肌を守るために、角層の水分を逃さない親油性成分が使用されています。

よく知られているエモリエント成分は、閉塞作用と柔軟作用のあるワセリンやスクワランです。角層の水分が肌の外へ流出するのを防ぎ、肌を柔らかく保つために配合されます。

そのまま使用するよりも、乳化させて美容液や乳液、クリームに配合するのが一般的です。オイルとペーストを混ぜることで化粧品の浸透を高めたり、通常より多い量を配合して保護膜を形成したりと、化粧品による肌への作用を向上するために用いられます。

エモリエントと保湿の違い

次に、エモリエントと保湿の違いは何なのでしょうか?

エモリエントの役割は「肌表面に膜を張ることで水分を閉じ込めて潤いと柔らかさを保つ」ことに対して、保湿の役割は「潤いを与えて健やかな肌を保つ」です。

エモリエントには、保湿剤で補った潤いを閉じ込める役割があります。ただ肌に水分を与えるだけでは、時間が経つにつれてどんどん蒸発して、柔軟性も失われるのです。肌の柔軟性が失われると、ゴワつきやカサカサなどの肌トラブルを招きかねません。

次に、保湿剤とエモリエント剤の違いをチェックしておきましょう。
・エモリエント剤…柔軟性と潤い感を与える油性成分など
・保湿剤…吸湿性の高い水溶性の物質

水溶性成分と油性成分だけでは分離してしまうので、多くの化粧品に界面活性剤が使用されています。

以下の表に、保湿剤とエモリエント剤に含まれる代表的な成分をまとめています。

種類代表的な成分
閉塞剤・柔軟剤(エモリエント)ワセリン・スクワラン・シア油・馬油など
保湿剤(モイスチャライザー)尿素・ヘパリン類似物質・ヒアルロン酸・コラーゲン・グリセリンなど

基礎化粧品には、さまざまな水溶性成分や油性成分などがバランス良く配合されています。乾燥肌のケアでは、ヘパリン類似物質などの保湿剤で肌を整え、ワセリンなどのエモリエント効果のある閉塞(へいそく)剤で覆って肌の潤いを守ります。

保湿剤だけでは水分の蒸発を抑えにくいため、エモリエント剤が上手に配合されているのです。

エモリエント剤の成分と種類

ここからは、エモリエント剤の成分と種類について見ていきましょう。以下は、主にエモリエント剤を配合している化粧品です。

・メイク落とし
・乳液
・クリーム
・シートパック
・ハンドクリーム
・ヘアトリートメントなど

化粧品に配合される種類は、主に油脂や炭化水素、高級アルコールなどです。以下には、一般的に使用されるエモリエント剤の成分と種類をまとめています。

種類主な成分
油脂(動物性/植物性)オリーブ果実油・シア油・馬油、アーモンド油など
炭化水素スクワラン・ワセリン・ミネラルオイルなど
高級アルコールセタノール・ステアリルアルコールなど
ロウ(ワックス)(動物性/植物性)キャンデリラロウ・ホホバ種子油・ラノリン・ミツロウなど
エステル油エチルヘキサン酸セチル・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなど
シリコーンジメチコン・シクロペンタシロキサンなど

上記で紹介した成分は、一般的な化粧品に配合されているので、全成分表示をチェックしてみてください。

中でも皮脂の主成分である油脂は、優れたエモリエント効果を発揮します。近年では、自然派志向の方が増えているので、オーガニックの植物性油脂が定評です。

エモリエント成分の形状は固形や液体、ペースト状などです。化粧品の使用感や肌なじみを良くするために、さまざまな組み合わせで工夫が施されています。

美肌のための保湿スキンケア方法7個

ここからは、美肌をサポートする保湿スキンケア方法を解説します。美肌を目指すためには、角層の水分量を保つエモリエント剤を配合した化粧品の使用が重要です。

まずはスキンケアの基本を見直し、美肌を育てる保湿ケアを行いましょう。

1. 十分な量のクレンジング剤でメイクオフ

メイクをしている場合は、肌への摩擦を防ぐために十分な量のクレンジング剤を使用します。肌の上で抵抗なくすべる程度の量が目安です。

クレンジング剤の量が少なければ、摩擦により肌に負担がかかります。力を入れなくても、軽くなじませるだけでメイクを浮かせるクレンジング剤が理想的です。指で落とそうとすると無意識に力が入るので、手のひら全体を使って優しく落としましょう。

ダブル洗顔不要と記載のない場合は、クレンジング後に洗顔を行います。ナチュラルメイクや日焼け止めだけの日も、必ずクレンジング剤を使い、その日のうちにオフしてください。皮脂や汚れの酸化によるシミやくすみ、毛穴詰まりによるニキビができやすくなります。

2. たっぷりの泡で優しく洗顔する

ゴシゴシとこすらず、泡を使って優しく洗うのが洗顔の基本です。事前に手を洗って清潔にし、ぬるま湯で顔を軽くすすいで水気をつけておきます。肌に水分があることで、洗顔料のすべりがよくなります。

泡立てネットで、手のひら全体がいっぱいになるほどの十分な量の泡を作りましょう。皮脂や汚れが気になる部位でも、泡を転がすイメージで優しく洗います。洗顔後は清潔なタオルでポンポンと軽く水気をとれば完了です。

洗顔料選び

肌を健やかに保つためには、洗顔料選びがとても重要です。洗顔料は肌質に合わせて、しっとりやさっぱりなどの使用感の良いものを選びましょう。

以下は肌質に合わせた洗顔料選びの目安です。

肌質洗顔料
乾燥肌油分が多い
保湿成分が多い
脂性肌泡立ちが良い
洗浄料が高い

洗顔料に保湿成分が配合されていても、すすぎの時に洗い流されてしまいます。しかし、セラミドやワセリン、ビーズワックスなどの油分は、肌に残りやすく潤いを保ちやすいです。乾燥肌の方は、エモリエント成分(油分)を配合した洗顔料を使用しましょう。

3. 正しい手順で保湿をする

化粧品の使い方や手順を誤ると、思わぬ肌トラブルを招いたり、肝心の保湿効果が発揮できなかったりすることがあります。そこで、美肌に導くために保湿ケアの正しい手順を見直してみましょう。

スキンケアの手順

洗顔後は必ず化粧水や美容液、乳液などで、水分と油分をバランス良く補って肌を整えます。非常に皮脂の多い方でない限り、肌の潤いを保つために乳液は必要です。

肌質や季節に合った化粧品を選ぶことが重要なポイントとなります。日中は紫外線などのダメージから肌を守り、夜は潤いを与えるケアを行いましょう。

化粧水で水分を補ってから、乳液やクリームなどでフタをして潤いを閉じ込めるのが夜のスキンケアの基本です。エモリエント効果のある化粧品でケアすることで、化粧水や美容液の保湿効果と浸透性がより高められます。

4. 化粧水で角層の水分を補う

洗顔後には肌表面に皮脂がほとんどない状態なので、化粧水で潤いを補給しましょう。そのまま放置すると、角層の水分がどんどん蒸発して過乾燥状態になります。

顔を洗った後はすぐに化粧水をつけて、肌になじませてください。手のひら全体に広げて温めてから、優しく抑えるようにハンドプレスしましょう。温めることで、化粧水の浸透が良くなり、より効率的に潤いを与えられます。

ただし、化粧水の量が少なければ、肌に十分な潤いを届けられません。メーカーの推奨量を守り、適切な量を使用してください。乾燥しやすい目や口の周りは、重ねづけして潤い感を高めましょう。

5. 乳液やクリームでフタをする

化粧水や美容液を塗った後は、エモリエント成分を配合した乳液やクリームで水分の蒸発を防ぎましょう。化粧水をつけただけでは、すぐに水分が蒸発するため、油分を配合した化粧品で早急に保湿をする必要があります。

洗顔後に化粧水→美容液→乳液→クリームの手順で、素早く保湿することが美肌を保つ重要なポイントです。

乳液にはUVカット剤を配合したものがあります。また、さっぱりとしっとりといった使用感の異なるものがあるので、肌質や季節に合わせて選ぶとよいでしょう。クリームは年齢や季節、生活習慣、肌質に合わせて最適なものを使用してください。

6. スペシャルケアを取り入れる

普段のスキンケアにプラスして、肌悩みに応じたスペシャルケアを行いましょう。さらに肌の調子を整えるために、ブースターやパック、マッサージ用化粧品、ピーリングなどがあります。

以下はスペシャルケア化粧品の使用目的です。
・ブースター(導入美容液・化粧水など)…化粧水や美容液の浸透を促す
・シートパック…保湿や肌悩みに対応する
・マッサージ化粧品…血色不良やむくみを改善する
・ピーリング・ゴマージュ…古い角質を除去する

肌の状態によって、おすすめのケアアイテムは異なります。毛穴詰まりやニキビのできやすい肌質であれば、美肌を保つためにピーリング剤も有効です。乾燥肌には、保湿成分やエモリエント成分を配合したブースターやシートパックがおすすめです。

7. 紫外線ダメージから肌を守る

紫外線によるダメージは、角層の水分量を低下させて乾燥肌の原因につながります。美肌を保つためには紫外線ダメージによる乾燥を予防することが大切です。

日中は紫外線から肌を守るために、必ずUVカット効果のある化粧品を使用してください。日焼け止めを塗った上にUVカット剤配合のファンデーションやパウダーを塗ると、紫外線をブロックする効果が高まります。

また、UVカット効果のある日傘や帽子なども紫外線対策に有効です。


まとめ

ここまで、エモリエント効果やエモリエント剤の成分と種類について解説しました。化粧水で水分を補うだけでは、時間とともに水分が逃げていくので、エモリエント剤を配合したクリームなどで潤いを保ちましょう。

美容成分などのさまざまな知識を得ることで、自分の肌に最適な化粧品が見つけやすくなります。美肌のためのスキンケアを参考に、柔らかく潤いのある美肌を目指しましょう。