監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

SNSや書籍など各種メディアでまことしやかに主張される美容法が、洗顔後に何もつけないお手入れです。「何もつけない美容法を続けて、肌の調子が整った」という声がある一方、「肌荒れがひどくなった」という声も見られ、本当はどちらがよいかで迷う人もいることでしょう。

この記事では、何もつけない美容法の効果と注意点を解説します。肌質別の王道的なスキンケア方法も解説しますので、自分に合うお手入れを探す際のヒントに活用ください。

洗顔後にスキンケアを何もしない効果は?

肌に限らず、私たちの身体にとって要らないものを出すことは、よいものを蓄えるために大切なこと。洗顔後にスキンケアを何もしないことによって、要らないものの排泄がスムーズに進み、新しい肌細胞への生まれ変わりを促すことができるといわれます。

また、スキンケアを何もしないことによって摩擦刺激を与える頻度を減らせる点も一般的にいわれるメリットの1つ。摩擦刺激によるバリア機能の低下を防ぎ、肌トラブルを予防できるといわれます。

ただし、基礎化粧品を何もつけない美容法は、王道的なお手入れとは言えません。スキンケアを何もつけない美容法に挑戦することで、以下のような反応が生じるケースも見られます。

・毛穴の開きや角栓、黒ずみが悪化する
・肌のかさつき、つっぱりが悪化する
・ニキビが増える
・肌が硬くなったりごわつきを感じたりする

スキンケアを何もつけない美容法に対して否定的な見方をする専門家も、少なからず存在します。自分自身にとって本当に望ましい美容法であるかをよく考え、挑戦するかどうかを決めてください。

洗顔後は乾燥や肌荒れに注意?

洗顔後は一時的にバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れしやすい状態に傾きます。洗顔によって皮脂膜やNMF(天然保湿因子)といったバリア機能の構成要素が流されてしまうためです。

バリア機能は、水分の流出を防いだり化学物質や微生物の侵入を防いだりする、肌にとっては欠かせない機能といえます。バリア機能が低下すると肌が乾燥したり炎症を起こしたりといったトラブルを起こしがち。

洗顔後の速やかな保湿は、適度な水分や油分を肌に与え、低下したバリア機能を補完する意味合いを持ちます。

この行為を止めてしまうことが基礎化粧品を何もつけない美容法ですが、バリア機能の低下した状態を長時間放置しなければなりませんから、現状以上に乾燥が進行したり肌荒れが悪化したりするリスクを伴うことは当然ですよね。

もともと肌が強い人であれば試してみてもいいでしょう。ただ、乾燥や肌荒れが気になる人は安易に挑戦することを避け、基本に沿ったスキンケアをまずは実践してください。

洗顔後の肌質別のスキンケア方法

では、基本に沿ったスキンケアは、どのように行えばよいのでしょうか。肌質別の基本のスキンケア方法をおさらいし、肌トラブルに悩まない理想的な状態を目指しましょう。

脂性肌

脂性肌は皮脂量・水分量ともに多く、毛穴の開きや肌のごわるき、テカリなどのトラブルを生じやすい肌質です。脂性肌のクレンジング・洗顔・保湿ケアのポイントは、以下の表を参照してください。

クレンジング「脂性肌だから」といって洗浄力が不必要に強いクレンジングを選択する必要はありません。メイクの濃さに合わせ、自分自身にとって望ましい種類を活用しましょう。クレンジングオイルやクレンジングミルク、クリームクレンジングを活用する場合はきちんと乳化を行うことで、ベタつきを軽減できます。
洗顔脂性肌の洗顔は、皮脂分泌量の多いTゾーンから洗い始めて、余計な皮脂を落とします。「ベタつきが気になるから」とゴシゴシこする洗顔方法はNG。十分に泡立てた洗顔料を使用し、優しく汚れを取り除きます。
保湿ケアビタミンCやビタミンC誘導体、ライスパワーNo.6配合の化粧水や美容液を活用し、皮脂量のコントロールに努めましょう。化粧水や美容液をつけた後には軽い質感の乳液やクリームを塗り、適度な油分を補います。乳液やクリームをストレスに感じる場合はより軽い質感のジェルを使用し、保湿成分・潤いを閉じ込めましょう。

乾燥肌

乾燥肌は皮脂量・水分量ともに少なく、肌トラブルを起こしやすい状態です。クレンジング・洗顔ともに刺激の少ないものを使用し、弱った肌をいたわりながら、1日の汚れを取り除きます。

すすぎに使用するお湯の温度が高すぎると乾燥を悪化させますので、体温より低い温度のぬるま湯を使うことも大切です。適温のぬるま湯を両手ですくい、パシャパシャと優しくすすいでください。

その他、乾燥肌のスキンケアのポイントは、以下2点です。

【1】保湿力の高い基礎化粧品を活用する
コラーゲンやヒアルロン酸、セラミドなど保湿力の高い成分配合の化粧水や美容液を活用し、肌の潤いを補充します。ライスパワーNo.11のように水分保持機能を改善させる成分配合の化粧水や美容液も、乾燥肌におすすめです。

【2】乾燥が気になる部位に重ね付けする
乾燥肌のスキンケアではメーカー指定の量を使うことが最低条件。乾燥をとくに感じる部位に対しては少量を重ね付けし、顔全体を十分に保湿しましょう。

重ね付けしてもなお乾燥を感じる場合は、基礎化粧品を見直しましょう。より保湿力の高いものへ切り替えると、肌の調子が落ち着くこともあります。

混合肌

混合肌は、皮脂量が多いにも関わらず水分量が少ない肌質です。Tゾーンはテカりや毛穴トラブルが気になり、目元や口元は乾燥を感じるなど、部位によって肌の状態が異なる肌質にも該当します。

混合肌のクレンジング・洗顔・保湿ケアのポイントは、以下の表の通りです。

クレンジング肌に刺激を与えにくいクリームクレンジングがおすすめ。クリームクレンジングをまず使用し、「メイクを落とす力が物足りなく感じるようならクレンジングオイルに切り替える」といったように調整しましょう。
洗顔「かさつきをとくに感じる部位はぬるま湯で洗い流す程度に留める」「ベタつきの感じる部位を重点的に洗う」といったように、肌の状態に応じた調整が必要です。
保湿ケア化粧水で十分に潤いを補充し、乳液もしくはクリームで蓋をします。過剰な皮脂が気になる部位は油分の少ないジェルを使用し、乾燥しやすい部位には乳液やクリームを重ね付けするといった調整を行うこともよいでしょう。

過剰な皮脂の気になる部位までこってりとしたクリームを使用すると、ニキビの悪化を招いてしまうリスクがあります。部位ごとの肌の状態をきちんと見極め、適切な基礎化粧品を使ってください。

普通肌

普通肌は皮脂量と水分量のバランスが望ましく、理想的な状態です。スキンケアの基本に則り、丁寧にお手入れすることで、理想的な状態を維持しましょう。

クレンジングメイクの濃さに応じた種類のクレンジングを正しい方法で使用します。濃いメイクをした日にはクレンジングオイルやクレンジングバーム、普段使いにはクレンジングミルクやクリームクレンジングといったように複数種類のクレンジングを使い分ける方法もおすすめです。
洗顔朝・夜の1日2回、洗顔料を使用する泡洗顔を実践します。洗顔に時間をかけすぎることは水分・油分のバランスが崩れてしまう原因ですから、丁寧かつスピーディーに進めてください。
保湿ケアメーカー指定量の化粧水を顔全体になじませ、乳液もしくはクリームで蓋をします。いずれの基礎化粧品も使用量が少ないと十分な保湿ができませんから、メーカー指定の量を確認し、正しくお手入れしてください。

朝のスキンケアでは、日焼け止めなどによるUVケアも欠かせません。紫外線の強い春・夏シーズンのみではなく365日体制で日焼け止めを活用し、肌トラブルを予防しましょう。

ニキビ肌は洗顔後に何もつけない?

大人ニキビは主に乾燥によって過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌が繁殖して、炎症を起こすことで生じます。洗顔後に何もつけないスキンケアではなく、以下のポイントを意識したお手入れによって、肌の調子を整えましょう。

・皮脂分泌量のコントロール
・毛穴の詰まりの解消
・アクネ菌の抑制

皮脂分泌量をコントロールするためには、十分な保湿ケアが不可欠です。保湿成分と合わせてビタミンCやビタミンC誘導体の配合された基礎化粧品を活用することでも、皮脂分泌量を落ち着かせることができます。

毛穴の詰まりを解消するためには、日々の泡洗顔を適切に行うこと・定期的な角質ケアを行うことが選択肢です。

アクネ菌を抑制するためには、サリチル酸など抗菌性分・殺菌成分の含まれる基礎化粧品を活用できます。炎症が気になる時には、グリチルリチン酸2Kなど抗炎症成分の配合された基礎化粧品を使うことが選択肢です。

いずれにしても、「何もつけないことによって、ニキビ肌が落ち着く」という保証はありません。ニキビの状態に応じた基礎化粧品を正しく使用し、トラブル解消を目指してください。

目立つ毛穴は洗顔後に何もつけない?

毛穴の開きや黒ずみ、たるみ毛穴は肌の乾燥やスキンケアの誤り、生活習慣の問題などによって悪化するトラブルです。何もつけないスキンケアを実践すると肌の乾燥が悪化し、毛穴をより目立たせてしまうリスクがあります。

目立つ毛穴を解消するためには、大人ニキビ対策同様、十分な保湿が不可欠です。セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸といった保湿力の高い成分配合の基礎化粧品を活用し、肌の状態を整えてあげることで、解消できるケースがあります。

目立つ毛穴を解消するためには酵素洗顔やピーリングといった角質ケアを行うことも一案ですが、過剰なお手入れは禁物。

「週に1回」など適度な頻度に留め、乾燥肌の進行を防ぎましょう。基礎化粧品を何もつけない美容法では過剰な角質ケアもやめますので、一時的に毛穴トラブルが落ち着いたように感じるケースはあります。

ただし、過剰な角質ケアによる肌の負担を軽減するためには、頻度を減らすもしくは低刺激の商品に切り替えることで十分ですよね。基礎化粧品による保湿ケアまで辞めるメリットはあるのかをよく考え、結論を出してください。

皮むけ・粉吹き肌は洗顔後に何もつけない?

皮むけや粉吹き肌はターンオーバー周期の乱れによって未成熟の角質が増加し、バリア機能が低下することにより、起こってしまうトラブルです。

いわば、乾燥肌がさらに悪化し、重度の潤い不足を起こすことで起こってしまうトラブルの1つ。何もつけないスキンケアでは乾燥がさらに進み、皮むけや粉ふき肌の悪化を招くリスクがあります。

皮むけや粉吹き肌を改善するためには、皮膚科で処方を受けられるヘパリン類似物質配合の保湿剤を使うことが選択肢です。皮膚科に行く時間がない場合は、市販のヘパリン類似物質配合ローションやクリームを活用する方法がおすすめ。

市販のローション・クリームは、ドラッグストアなどで購入できます。使い方が不安な人は薬剤師に相談し、塗るタイミングや使用量を確認しましょう。

ヘパリン類似物質以外では、セラミドやNMF(細胞間脂質)を含む化粧水や美容液を活用し、バリア機能を強化するお手入れが選択肢です。適切な基礎化粧品を正しく使い、皮むけや粉吹き肌の解消を目指しましょう。

まとめ

洗顔後に何もつけない美容法を続けることで期待される肌の変化と注意点、肌質や気になるトラブル別・おすすめスキンケア方法を解説しました。何もつけない美容法に限ったことではないものの、流行りのお手入れに挑戦する場合には、必要性をよく考えてから始めることが大切です。

自己流のお手入れに挑戦し、肌荒れが悪化しても、「なかったこと」にはできません。お手入れの目的や自分自身の肌の状態をふまえ、本当に意味のあるスキンケアを続けることが、理想の肌を作るコツです。