監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

「最近、運動できていない」と感じたときにニキビが気になり、はっとした経験はありませんか。そのとき、「ニキビは運動不足で悪化するのか?」といった疑問を感じた人もいることでしょう。

この記事では、ニキビと運動の関係および運動中や運動後のスキンケア方法を解説します。生活習慣の見直しで肌質改善を図る際のヒントとして、ぜひ参考にしてください。

ニキビは運動と関係する?

大人ニキビは、運動や生活リズムの乱れ、睡眠不足など誤った生活習慣の蓄積によって悪化します。慢性的な運動不足ももちろん、大人ニキビと関係の深い要素の1つです。

ただ、「適度な運動を継続すれば、必ずニキビが治る」というものではありません。適切なスキンケアの実践や食事、睡眠習慣の見直しなど、さまざまな対策と合わせて実践することが大人ニキビを改善させるための近道。

適度な運動は大人ニキビの悪化を防ぐために推奨される対策の1つに過ぎず、即座に変化の見られるものではないことを頭に入れておきましょう。

ニキビは運動不足で悪化?改善?

慢性的な運動不足は皮脂による毛穴の目立ちやエイジング毛穴を招きやすく、ニキビリスクを高めるともいわれます。慢性的な運動不足はニキビを悪化させるリスクがあるということです。

ただし、ニキビ対策として運動習慣を始める場合、「つらい」と感じるほど激しいメニューに取り組む必要はありません。急に激しい運動を始めたりハードな筋トレに挑戦したりすることは心身に過剰な負担をかけ、ストレスを増大させるリスクがあるためです。

心身の過剰なストレスは男性ホルモン優位の状態を作り、皮脂分泌量を増加させるリスクがあります。また、運動後や運動中のスキンケアを適切に行うこともまた、ニキビ対策として運動習慣を始める際の重要なポイントです。

運動後のスキンケア方法や運動中のスキンケアの注意点については、後ほど詳しく解説します。

運動がニキビに効果的な理由5個

適度な運動を続けることにはメリットが非常に多く、ニキビ改善を後押しするといわれます。適度な運動を続けることがニキビ改善を後押しする理由を知り、生活習慣を見直す際のヒントとしてください。

1. 全身の代謝が高まる

適度な運動は全身の代謝を高め、酸素や血液、リンパの流れをよくします。酸素や血液、リンパの流れがよくなることはいずれも肌のターンオーバーを促し、毛穴の詰まりや角栓を防ぐための重要な要素です。

代謝の高い状態を維持することがニキビのできにくく、トラブルを起こしにくい肌を作ることに貢献します。

2. 心身のストレスを解消できる

適度に身体を動かすことは気分の落ち込みを和らげ、心身のリラックスを促します[FN2] 。大人ニキビはストレスが原因で生じることも多いもの。

適度な運動習慣を作り、意識的にリラックスすることにより、トラブル改善を後押しできるケースがあります。

リラックス目的で運動する際の目安は、1日あたり20分・「すっきりした」と思える程度の負荷がおすすめ。あまりにもハードな運動に挑戦するとかえってストレスを溜め込んでしまいますので、やり過ぎない程度に留めることが大切です。

3. よい汗によってバリア機能を強化できる

適度な運動を続けることで出る汗はサラサラとした質感で、嫌な臭いの少ない「よい汗」です。よい汗をかくことには肌に対する水分補給として機能し、うるおいあふれる状態へ導く働きが期待されます。

十分な水分は、バリア機能を正常に維持するために欠かせない要素の1つ。バリア機能を正常化することで刺激に対する抵抗力が高まり、大人ニキビのできにくい肌を作ることに貢献します。

4. 適度な油分を顔全体に広げ、乾燥肌の進行を予防できる

よい汗をかく際には、毛穴から適度な油分が出てきます。適度な油分が顔全体に広がることは皮脂膜が薄くなった状態を解消し、乾燥による毛穴の開きや過剰な皮脂の分泌を抑制することに貢献。

結果として、水分・油分のバランスが整い、ニキビのできにくい肌への生まれ変わりを後押しできます。

5. 睡眠の質が高まる

適度な運動によって体温を上げたり心地よい疲労を感じたりすることで、睡眠の質が高まります。質のよい睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、肌トラブルの修復を進める、美肌作りの必須要素。

毎日決まった時間に就寝し、ぐっすり眠ることによって自律神経のバランスが整うと、ニキビの治りを助けることにも貢献します。

なお、睡眠の質を高める目的で運動を始める場合は、就寝直前のタイミングを避けてください。就寝直前にランニングやウォーキングに出掛けると交感神経が高まり、質のよい睡眠を妨げるリスクがあります。

理想をいえば、夕方から就寝3時間前までの間に運動することが、睡眠の質を高める近道です。その時間帯に合わせることが難しい場合はライフスタイルに応じ、適した時間帯を検討しましょう。

運動後のスキンケア方法4個

運動後のスキンケアを怠ると、ニキビが増える・かゆみや炎症を起こしてしまうといった肌トラブルを生じがちです。そこで、以下では、運動後に実践したいスキンケア方法を解説します。

1. クレンジング・洗顔で汚れを落とす

大量の汗をかき、メイクの崩れた状態を放置することは、肌にとっての負担です。運動後は速やかにクレンジング・洗顔を行い、汚れをきれいに落としてください。

ただし、理想をいえば、1日あたりの洗顔回数は朝・夜2回が理想です。運動後のクレンジング・洗顔を加えることで乾燥をひどく感じる場合はダブル洗顔不要のクレンジング・肌に負担をかけにくい洗顔料を上手に使用し、バリア機能の低下を防いでください。

2. 拭き取りシートを活用する

自宅から離れた場所で運動した場合など、どうしてもクレンジング・洗顔ができないときには、汗拭きシートを活用しましょう。汗拭きシートを使用する場合はゴシゴシこすらず、優しく拭き取ることがとても大切。摩擦刺激を極力与えないように配慮しながら、優しくお手入れしてください。

ニキビの悪化を防ぐための拭き取りシートを選ぶ際のポイントは、以下2点です。

【1】低刺激の拭き取りシートを選択する
アルコールや香料、合成着色料、パラペンといった刺激成分の含まれる拭き取りシートは、バリア機能の低下を招き、ニキビの悪化を招いてしまうリスクがあります。成分表示を確認し、刺激成分を含まない拭き取りシートであれば、比較的安心です。

【2】拭き取りシートの質にこだわる
かたい素材や薄すぎる仕様の拭き取りシートは摩擦刺激を与えやすく、大人ニキビのできやすい肌質に不向きです。「天然コットン100%」「厚手タイプ」といった表記の見られる拭き取りシートは、比較的安心して使用できます。

より簡易的に良質な拭き取りシートを見分けるためのポイントとして、敏感肌や乾燥肌、ニキビ肌対策用の基礎化粧品を扱うメーカーの商品を選ぶことも一案です。やや値の張る商品も見られますが、刺激をおさえたものが多く、摩擦刺激を最小限に留めたお手入れを実現できます。

3. 化粧水や乳液(クリーム)で保湿する

クレンジング・洗顔後は速やかに保湿を行い、水分・油分のバランスを整えます。化粧水をつける際のポイントは、メーカー指定の使用量を守り、十分な水分補給を行うことです。

大人ニキビのできやすい肌質の人はコットンを刺激と感じるリスクがありますから、手でゆっくりなじませる方法がおすすめ。手の平で顔全体を包むように沿わせ、少しずつ入れ込みます。

化粧水のみで終わらず、乳液もしくはクリームを重ね、適度な油分を補うことも大切なポイントです。べたつきが気になる人は「さっぱりタイプ」の乳液を使用し、油分の調整を行ってください。

4. オールインワンジェル(ゲル)を活用する

化粧水・乳液(クリーム)を持ち歩くことを面倒に感じる人は、オールインワンジェル(ゲル)を活用しましょう。

オールインワンジェルとは、化粧水や美容液、乳液やクリームなどの役割をすべてこなし、時短ケアを実現できるアイテムです。ニキビの悪化を防ぐためには以下のような基準からアイテム選びを行い、運動後のお手入れに取り入れましょう。

【1】豊富な保湿成分を含むこと
オールインワンゲルの主な役割は保湿ですから、セラミドやアミノ酸、ヒアルロン酸やグリセリンといった成分を含むものを選択しましょう。化粧水や美容液でヒリヒリとした刺激を感じやすい人はトライアルサイズから購入し、肌との相性を確かめてから、正規サイズを購入すると安心です。

【2】刺激成分を含まないこと
アルコールや着色料、香料などの成分はバリア機能の低下した肌に刺激を与え、大人ニキビの悪化を招いてしまうリスクがあります。「敏感肌用」「低刺激用」といった記載の見られるアイテムは拒否反応を起こしにくく、大人ニキビのできやすい肌質でも、比較的安心です。

とくに大人ニキビが気になるときには、グリチルリチン酸2Kやアラントインといった抗炎症作用の期待される成分を含むものを活用してもよいでしょう。

紫外線刺激によるシミ、そばかすが気になるときには、ビタミンC誘導体やカモミラET、トラネキサム酸といった美白成分配合のアイテムがおすすめ。気になるトラブルに応じたオールインワンジェルを活用し、運動後のスキンケアを抜かりなく行ってください。

運動中のスキンケアの注意点4個

運動中の何気ない行為が原因でニキビが悪化するケースもあります。以下の注意点を守り、運動中の肌トラブルを防止しましょう。

1. 紫外線対策を万全に行う

ウォーキングやランニングなど屋外で運動する際には、紫外線対策が必須です。SPF30〜50、PA++〜+++の日焼け止めを顔や腕、足に塗り、紫外線トラブルを防ぎます。

日焼け止めを使用するのみではなく、飲むタイプのサプリメントを併用する方法もおすすめです。屋外スポーツ用のサングラスやランニングキャップ、アームカバーを併用し、万全の対策を施すこともよいでしょう。

また、紫外線によるニキビ悪化防ぐためには、早朝や夕方など日焼けしにくい時間に運動する方法も一案です。具体的には、早朝に運動する人は7時前・夕方は16時以降がおすすめの時間帯。10時から14時(冬場は13時)は日焼けしやすい時間帯にあたりますので、ご注意ください。

2. できる限りすっぴんで運動する

運動中に体温が上がると普段以上に毛穴が開き、メイク汚れが入り込みやすい状態に傾きます。メイク汚れが入り込んだ毛穴に雑菌が付着するとニキビを招くリスクが高まりますから、できる限りすっぴんで運動し、肌トラブルを防いでください。

「どうしてもメイクしたまま運動したい」という人は、ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を使用しましょう。ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品とは、コメド(ニキビの赤ちゃん)のできにくさに関するテストを行い、一定の基準を満たして発売された商品です。

「すべての人にニキビができない」という保証はありませんが、一般的な化粧品と比較して肌トラブルリスクが低く、ニキビを繰り返しやすい肌質の女性におすすめです。

3. ロングヘアはすっきりまとめる

汗によってふやけた肌は敏感な状態です。汗の付着した髪の毛が付着することを刺激に感じ、かゆみや大人ニキビ、赤みといったトラブルを招いてしまうリスクがあります。

運動中の肌トラブルを防ぐためには、髪をすっきりゴムでまとめ、顔にかからないように配慮します。前髪はヘアバンドやヘアピンで上にあげ、額に付着しないように注意しましょう。

4. なるべく顔には触らない

手に付着した雑菌、汗が顔に付着し、大人ニキビを悪化させるケースもあります。運動中は極力顔に触らずに、雑菌の付着を防ぎましょう。

汗をそのまま放置するとぬぐいたくなりますから、清潔なタオルで優しく押さえ、こまめに拭き取る習慣をつけましょう。

ゴシゴシこする方法は肌にとって負担ですので、あくまで優しく、タオルに汗を吸収させるイメージで拭いてください。

まとめ

ニキビを始めとする肌トラブルを防ぐためには適度な運動によって全身の代謝を高め、バリア機能の強化を図る習慣が大切です。生

活習慣改善による肌の変化はすぐに実感できるケースばかりではないからこそ継続的な努力を続け、理想の状態を目指すことが求められます。

「そういえば、最近身体を動かしていない」と感じた人は、今こそまさに運動を始めるチャンス。ウォーキングやサイクリングなど負荷の軽い運動から身体を動かす習慣を作り、ニキビに悩まないきれいな肌を目指してはいかがでしょうか。