監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

「フィットネスジムやサウナ、半身浴で汗をかき、老廃物を排出することがニキビによい」という声がある一方、「汗によってニキビが悪化」という声もあります。

情報収集すればするほど「結局、汗をかいたほうがよいのか、かかないほうがよいのかが分からない」といった迷いを生じる人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、汗とニキビの関係と正しいスキンケア方法について解説します。

ニキビは汗をかいたほうがいい?悪化する?

「よい汗」をかくことは一般的に、ニキビを治すための有効な対策といわれます。よい汗とは、水のようにサラサラとした質感ですぐに蒸発する汗です。

よい汗は、適度な運動や正しい方法でサウナに入ったときに出て、肌をしっとり潤わせる働きを担います。

反対に「悪い汗」をかくことは一般的に、ニキビを悪化させるリスクがあるといわれますので、肌トラブルが気になる人は注意しましょう。

悪い汗の特徴は、暑さやマスクの蒸れなどを原因に発生し、ベタベタと肌にまとわりつくような質感であることです。嫌な臭いが気になるケースも多く、肌トラブルを招いてしまうリスクがあります。

なお、よい汗にしても悪い汗にしても、かいた後のスキンケアを怠ることはニキビを増やす原因です。正しい対処方法を徹底することにより、肌の状態を健やかに維持しましょう。

汗をかくことのメリット

よい汗をかくことのメリットは、乾燥肌に水分・油分を補って、バリア機能を高めることができる点です。

よい汗は角質層に対する水分補給を行えて、肌の状態を整えることに貢献します。よい汗をかくときには毛穴から適度な油分もでますから、肌表面に皮脂膜が広まり、刺激に対する抵抗力を高めることも可能です。

さらに、よい汗をかくことには、以下のようなメリットも期待されます。

・体内の余計な水分を排出し、むくみを改善・予防する。
・体内の余計な老廃物、毒素を排出する。
・代謝を向上させて、酸素や栄養素の巡りをよくする。

よい汗を頻繁にかくことは、全身の代謝を高めてくれます。結果として余計な水分・老廃物が排出されやすい状態を作ることが可能です。

すっきりとしたフェイスラインを目指せて、美肌作りも助けてくれます。しかも費用は0円です。「費用を極力かけず、美肌になりたい」という人は、よい汗をかき、理想の状態を目指してください。

汗をかいたあとに放置はNG?

「よい汗をかくことが大切」とはいえ、汗をかいた後の適切なお手入れは必要です。汗をかいたあとにそのまま放置してしまうと、ニキビやあせも、かゆみといったトラブルを引き起こすリスクがあります。

◯ニキビ
汗が蒸発する際にうるおいを維持するために必要な水分を取り去り、乾燥による大人ニキビを悪化させるリスクがあります。悪い汗に含まれる塩分、尿素が肌内部に入り込み、細菌の繁殖を招くリスクがあることも、ニキビにつながる要因です。

◯あせも
悪い汗を放置すると汗腺の出口が詰まってしまい、あせもを招くリスクがあります。肘の内側や首筋、脇の下など肌と肌が接触し、蒸れやすい部位はとくにあせもができやすいので注意しましょう。

◯かゆみ
バリア機能が低下した肌は汗に対して過敏な反応を示し、かゆさを感じることがあります。無意識のうちにかきむしってしまうと傷ができ、炎症が起こるリスクもありますから、こまめに汗を拭き取りましょう。

汗をかいたときの正しい対処方法4個

ニキビやあせも、かゆみといったトラブルを防ぐためにはかいた汗を放置せず、正しい対処を行うことが大切です。以下では汗をかいたときの正しい対処方法4個を解説します

1. 濡れたタオルですぐに拭き取る

まず、汗をかいたら速やかに、濡れたタオルで拭き取ることです。乾いたタオルで汗を拭くとうるおいを維持するために必要な水分まで取り去るリスクがありますから、濡れたタオルを使用しましょう。

また、濡れたタオルを使用することには、以下のようなメリットも期待されます。

【1】汗の臭いを予防できる
濡れたタオルは肌の雑菌、皮脂を取り去る力が強く、体臭予防に貢献します。顔汗による嫌な臭いやベタつきが気になる人こそ、濡れタオルを使用しましょう。

【2】肌表面のクールダウンに役立つ
濡れタオルで肌を拭くと、表面が湿ります。湿った肌が乾く際の気化熱で表面温度が低下するため、クールダウンに貢献。熱中症が気になる時期の暑さ対策にも一役買います。

濡れたタオルを何度も使い回すことはよくないため、何枚かストックし、持ち歩く方法がおすすめです。濡れたままバッグにしまったりポケットに入れたりすることも避け、衛生面に配慮して、スキンケアに活用しましょう。

2. 顔用の汗拭きシートを活用する

何枚ものタオルを持ち歩くことを面倒に感じる人は、汗拭きシートを活用しましょう。汗拭きシートとひと口にいってもさまざまな商品がありますが、ニキビ対策として活用できるアイテムは「顔用」の表記があるもの。ボディ用の汗拭きシートを顔に使うと刺激が強いケースも多いので、ご注意ください。

その他、汗拭きシートを選ぶ際には、以下の点にも注目しましょう。

【1】アルコール、エタノールフリーであること
アルコール・エタノール配合の汗拭きシートは刺激が強く、ニキビの悪化を招いてしまうリスクがあります。肌荒れ対策として活用する場合は刺激成分不使用の商品を選択し、優しい力で使ってください。

【2】メイクの上から使用できるものであること
メイクの上から使用できる汗拭きシートは、通勤やレジャーのお供に活躍します。メイクの上から使用することを前提に開発された商品には皮脂やメイク崩れを吸収できるものも多く、ベタつきやヨレ対策にも活躍。小鼻など細かい部分はシートを小さく折り畳み、角を使用して汚れをとると、顔全体を清潔に維持できます。

3. スキンケアシートを活用する

「汗拭きシートを頻繁に使用すると、肌荒れする」という人は、スキンケアシートを活用しましょう。スキンケアシートとは、抗炎症成分・保湿成分などが配合された汗拭きシートのことです。

メーカーによっては別の名称で発売されるケースもありますので、セラミドなどの保湿成分・グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分配合であることに注目し、商品を選択しましょう。

なお、スキンケアシートとはいえゴシゴシこする拭き方や頻繁に使用する使い方を続けると、肌トラブルを招いてしまうリスクがあります。ニキビのできやすい肌質の人はとくに刺激を抑えた使い方で、スキンケアシートを使用しましょう。

4. 帰宅後に水洗いする

最後に、洗顔料ではなく、水洗いすることです。汗が気になりムズムズする肌をそのまま放置することは、かゆみやニキビを悪化させるリスクがあります。

しかし、洗顔料で1日に何度も洗顔することは乾燥によるバリア機能の低下を招く一因。「ムズムズかゆい」と感じる場合は水のみで洗顔し、乾いた汗を流してください。

水洗いする代わりに水が主成分のフェイスミストを吹きかけ、優しく拭き取る方法もおすすめです。拭き取る際には強くこすらず、柔らかいタオルを使用して、おさえるように拭いてください。

暑い時のスキンケア対策4個

春から夏にかけては気温が徐々に上昇し、汗ばむ日も増加します。この時期のスキンケア対策が分からず、肌の不調に悩む人も多いのではないでしょうか。

そこで、以下では、気温が上がり始める時期に適したスキンケア対策を紹介します。

1. 1日2回の洗顔を正しく行う

まず、朝・夜2回の泡洗顔で顔の汚れをきれいに落とし、清潔に維持することです。暑い時期には寝汗をかくことも多く、起床直後の肌は汚れた状態。ぬるま湯のみでは汚れがきちんと落ちませんので、洗顔料を使用して、泡洗顔を行ってください。

◎暑い時期の洗顔手順

【1】ハンドソープで手を洗い、顔全体をぬるま湯で予洗いする。
【2】十分な量の洗顔料を手のひらに出し、空気・ぬるま湯と混ぜながら泡立てる。
【3】べたつきやすい部位から順番に泡を乗せ、小さな円を描くようなイメージで指の先を動かしながら、洗顔する。
【4】目元や口元などデリケートな部位を優しく洗う。
【5】ぬるま湯で十分にすすぎ、清潔なタオルで水分を拭き取る。

朝も夜も、基本の洗顔手順は同様です。洗顔料の泡立てが足りなかったりすすぎが不十分だったりすると汚れが残ってしまい、ニキビやベタつき、毛穴トラブルなどが生じがち。上記の手順を念頭とした丁寧な洗顔を実践し、肌の調子を整えましょう。

2. 保湿ケアでバリア機能を強化する

べたつきを感じやすい春・夏でも、保湿ケアを欠かすことはできません。洗顔後は速やかに化粧水をなじませ、失われた水分を補いましょう。

◎化粧水の正しい付け方

【1】メーカー指定量の化粧水を手のひらに出す。
【2】両手で挟み込むように化粧水を温める。
【3】顔の内側から外側方向に向かって、化粧水をなじませる。
【4】顔全体を包み込むように手の平を添え、ハンドプレスで浸透を促す。

化粧水で潤いを補った後は、乳液もしくはクリームを使用します。より積極的に保湿ケアを行う場合は乳液もしくはクリームの前に美容液をプラスして、高保湿成分を入れ込みましょう。

「ニキビが気になるから」「ベタつきが苦手だから」といった理由で乳液やクリームを省略することは、肌トラブルの悪化を招く原因です。

「さっぱりタイプ」を選択したりサラサラとしたテクスチャーの乳液・クリームを活用したりすることで、適度な油分を補って、刺激に対する抵抗力を養います。

3. 日中のつなぎ保湿を行う

エアコンのきいた室内はひどく乾燥することが多く、インナードライが進行するケースもあります。日中に肌のかさつき、突っ張りを感じたときは、放置せずに、ミスト化粧水と保湿成分の入ったオイルや化粧水を併用して対策しましょう。

ミスト化粧水を選ぶ際のポイントは、以下2点です。

【1】ワンプッシュでしっかり潤うものを選ぶ
ミスト化粧水は少量吹きかけ、使用するアイテムですから、アミノ酸やヒアルロン酸、グリセリンなどの保湿成分を含むものがおすすめ。保湿成分が成分表示のなるべく前に記載されているほど潤いやすく、乾燥対策に活用しやすいアイテムです。

【2】粒子が細かいものを選ぶ
細かい粒子のアイテムほどメイク崩れを起こしにくく、仕事の休憩時間に重宝します。テスターを試す際には、肌に対するなじみのよさやべたつきにくさも確認しましょう。

その他には、スティックタイプの美容液や保湿バームの活用も考えられます。

保湿バームを使用する場合は、乾燥が気になるところにのみ薄く塗る方法がおすすめです。顔全体に塗ってしまうとメイク崩れを起こすリスクが高まりますから、ご注意ください。

4. UVケアを怠らない

5月から8月までの期間はUVA・UVBともに増加し、日焼けしやすい時期といえます。汗をかいたら日焼け止めを塗り直す・日傘やサングラスを着用するなど、UVケアを万全に行うことで肌トラブルの悪化を防いでください。

使用する日焼け止めの強さの目安は、以下の表の通りです。

◎日焼け止めの強さの目安

SPF15〜30、PA+〜++通勤、通学や買い物など、日常シーンに適した強さ。
SPF30〜50、PA++〜+++ウォーキングやランニング、テニスなど、やや長めの屋外活動に適した強さ。
SPF50+、PA++〜++++マリンレジャーや登山など、炎天下で長時間活動する日に適した強さ。

汗によって敏感に傾いた肌は紫外線刺激を受けやすくなりますので、普段以上にUVケアを丁寧に行い、弱った部分を守る対策が不可欠です。外出する日はもちろん1日自宅にいるときでもUVケアを徹底し、更なる乾燥・バリア機能の低下を防いでください。

まとめ

この記事では、汗とニキビの関係および汗をかいた後・暑い時期に適したスキンケアのポイントを解説しました。

よい汗をたくさんかくことは肌をしっとり潤わせ、ニキビのできにくい状態に導く行為に該当します。ただし、かいた汗を放置したり冬と同じスキンケアを続けたりすることは、ニキビなどのトラブルを招いてしまう原因です。

汗をかいた後のスキンケアまできちんと行い、しっとりとして艶のある理想の肌を目指してください。