
思春期を過ぎ、大人になってからもニキビに悩む人が増えています。ニキビができやすい人とできない人の違いは何なのでしょうか?
ここでは、大人ニキビの原因とNG習慣、特徴を詳しく解説しています。ニキビができない方法を知って、憧れの美肌に近づきましょう。
ニキビとは?
ニキビとは、尋常性ざ創(じんじょうせいざそう)と呼ばれる皮膚疾患です。
皮脂の過剰分泌や角質肥厚によって毛穴がふさがり、酸素のない環境を好むアクネ菌が繁殖することで起こります。
皮脂の過剰分泌量が急激に増える「思春期ニキビ」と、成人してからも起こる「大人ニキビ」などがあります。
10代の思春期ニキビはTゾーンを中心に、皮脂分泌量の多い場所に現れます。とくに春から夏は、気温の上昇により皮脂量も増えるため、ニキビができやすくなる季節です。
20代以降にみられる大人ニキビは、主に頬や口周りなどの顔の下部に発生します。乾燥肌に多くみられ、バリア機能が低下していることから、ニキビ跡も残りやすいのが特徴です。
大人ニキビの原因5個
次に、大人ニキビができる主な原因を詳しく解説します。原因を知って、自分に合った適切なケアを実践しましょう。
1. 乾燥による角質肥厚
汚れの蓄積や外部刺激によって肌が乾燥すると、毛穴部位の角層が厚くなります。角質肥厚が起こることで、毛穴の出口をふさいでしまい、ニキビの原因になるのです。
ニキビの原因菌であるアクネ菌は、酸素のない密閉環境を好むため、どんどん増えてニキビになります。
初段階は白ニキビですが、面皰内の皮脂が空気に触れて酸化すると、黒ニキビになることもあります。
2. 月経前のホルモンバランスの乱れ
月経前になると、プロゲステロンという黄体ホルモンが分泌されます。プロゲステロンの分泌量は、排卵後から増え始め、生理の1週間前にピークを迎えるのです。
この働きにより、皮脂の分泌量が増えるためニキビの原因になることもあります。
3. 不規則な生活習慣
大人ニキビを誘発するのは、睡眠不足やストレス、便秘などです。睡眠時間が足りていないと、免疫力が低下してニキビもできやすくなります。
また、意外かもしれませんが、便秘もニキビを悪化させる要因の1つです。長期間の便秘によって溜まった便は悪玉菌を増加させ、有害物質を作ります。やがて血液によって運ばれた有害物質は、ニキビや肌荒れとなって肌表面から排出されるのです。
4. 偏った食事
ニキビと食事に直接の因果関係はありませんが、偏った食事はターンオーバーに乱れを生じさせることもあります。ターンオーバーの乱れにより、毛穴に皮脂や角質が溜まりやすくなり、ニキビの原因になるのです。
バランスのよい食事を摂り、ターンオーバーの働きを整えることが大切です。
5. 間違ったスキンケア
美肌のために行っているスキンケアがニキビの発生を招いているかもしれません。以下はニキビを誘発する間違ったスキンケア方法です。
・洗浄力の高い洗顔料を使用する
・時間をかけて洗顔をする
・洗顔料の使用量が多い
・過度な洗顔をする
・高水圧のシャワーを顔にかける
・すすぎが十分でない
・保湿不足
・油分の多い化粧品を使う
洗顔料を使って余分な皮脂をとることはニキビ対策に欠かせません。しかし、肌に必要な皮脂まで洗い流すと、乾燥により角質肥厚が起こり、毛穴も詰まりやすくなります。
高洗浄力の洗顔料を使う、過度な洗顔をする、シャワーを顔にあてるなど、いつの間にか肌に負担がかかる行為をしていることもあるのです。また、洗顔料の洗い残しや油分の多い化粧品の使用は、毛穴を詰まらせる原因となります。
ニキビができない人の特徴7個
ニキビができやすい人とできない人の違いは何なのでしょうか?ここからは、ニキビができない人の特徴を順番に見ていきましょう。
1. 肌に刺激を与えない
ニキビができない人の特徴としては、短時間に適切な方法で洗顔しています。
皮脂の多い部位を中心に、時間をかけてゴシゴシと洗ったり、1日に何度も洗顔したりすると、肌に刺激を与えて乾燥や肌荒れを起こしやすくなります。
なるべく肌に負担がかからないように、短時間で優しく洗うのを心掛けてください。まずは正しい洗顔方法を身につけて、肌に刺激を与えないように顔を洗いましょう。
正しい洗顔方法
以下は、ニキビケアのための洗顔方法です。
目安は1日に2回とし、ニキビ用洗顔料を使いネットで泡立ててたっぷりの泡を作ります。皮脂の多い部位から泡をつけ、乾燥しやすい部位は軽くつけて洗い流しましょう。
過度な洗顔はバリア機能を低下させる原因になるので、脂性肌でも1日に3回を上限にしてください。ニキビ肌用の洗顔ブラシは皮脂をしっかりとれますが、肌に強い刺激を与えかねませんので控えましょう。
2. 自分の肌に合った化粧品を使っている
自分の肌質に合わせて最適な化粧品を使い、バリア機能を働かせることがニキビのできにくい肌を作る秘訣です。しっかり保湿をすることで、バリア機能のある角層が育ちます。
一方で、乾燥による皮脂の過剰分泌が起こっているのに、皮脂が多いことから脂性肌と勘違いして脂性肌用のスキンケアをする人もいます。
間違ったスキンケアでは、余計に肌が乾燥して過剰な皮脂を分泌し、ニキビを作りやすい環境にしてしまいます。肌質診断などで自分の肌質を再度チェックして、すこやかな肌の状態へ導きましょう。
3. 顔を触らないよう意識している
ニキビのない人の共通する特徴は、顔をむやみに触らないことです。顔に化粧品をつける前は手を洗って、清潔な状態でメイクやスキンケアを行っています。
手洗いをしないで顔に触れると、手についた雑菌によりニキビを悪化させてしまうこともあります。髪の毛を束ねたり、前髪をアップしたりして、髪が顔にかからないようにするのもニキビを作らないための秘訣です。
4. 紫外線対策は手を抜かない
紫外線による日焼けは、肌のターンオーバーの乱れを引き起こし、ニキビや肌荒れの原因になります。ニキビができない人は1年を問わず、紫外線対策を徹底しているのです。
ウォータープルーフの日焼け止めは、通常のクレンジングで落としにくいので、使用するときは、長時間の外出や炎天下の環境のみに限定するとよいでしょう。
5. ナチュラルメイクを心掛けている
ニキビのないスベスベ肌を保っている人は、通常のクレンジングで落としやすい化粧品を使い、ナチュラルメイクを心掛けています。コンシーラーなどの密着度の高い化粧品は、毛穴に詰まりやすくなるからです。
パウダーやルースタイプなど、軽いつけ心地のファンデーションでメイクアップを楽しみましょう。
6. 規則正しい生活を送っている
ニキビのない人は、質のよい睡眠をとり、バランスのよい食事をし、便秘対策も手を抜きません。簡単に実践できるものばかりなのでぜひお試しください。
質のよい睡眠をとって十分に体を休ませる
美しい肌を作るのに最も近道になるのが睡眠です。休日に寝だめをするのではなく、毎日平均して十分な睡眠時間を確保しましょう。
睡眠不足が続くと、免疫機能が低下しニキビもできやすくなります。十分な睡眠をとり、体を休めてホルモンバランスを整えることが大切です。
ゆっくりできる入浴や好きな香りのアロマテラピーなどで、ストレスがたまらないようにリラックスできる環境を整えましょう。入浴は38~40℃を目安に、ぬるま湯にゆっくり浸かることで交感神経が活発に働き、リラックス効果が高まります。
以下は質のよい睡眠をとるポイントです。
・38~40℃のぬるま湯で入浴する
・照明は全て消す
・体を冷やさない
・適度な運動をする
・ノンカフェイン飲料を飲む
・携帯は別室または電源をオフにする
上記をぜひ参考に、心地よい睡眠がとれるよう実践してみてください。ヨガやストレッチなどの適度な運動は、自宅で気軽に行えるのでおすすめです。また、就寝前はカモミールティーやホットミルクなど、体を温めるノンカフェイン飲料を飲むとリラックス効果も高まります。
便秘に悩まない
便秘の原因は、主に冷えや食事バランス、運動不足によるものです。日頃から体を冷やさず、バランスのよい食事を送り、適度な運動を行いましょう。
食物繊維をたっぷり含んだ緑黄色野菜を中心に摂り、足りないものはサプリメントで補って便秘にならないよう気をつけましょう。
食事もバランスよく摂る
ビタミンB2とビタミンB6が不足すると、脂質の代謝や脂肪の分解機能が低下して、ニキビの原因になることもあります。
炎症を伴ったニキビは、ビタミンAやβカロチン(ベータカロチン)で予防しましょう。
ビタミン類を豊富に含んだ食べ物を中心に、良質のたんぱく質やミネラルをバランスよく摂り入れることが大切。ニキビのない健康的な肌を作るには、カフェインや糖分、油分などを摂り過ぎないようにするのも重要なポイントです。
7. 毛穴詰まりはピーリングや酵素洗顔で対応
ニキビができない人の特徴として、定期的にピーリングや酵素洗顔で毛穴詰まりをケアしていることも挙げられます。皮脂や角質が毛穴にたまると、毛穴を詰まらせてニキビができやすくなるのです。
クレンジングや洗顔で落ちない汚れは、週に1~2度を目安にピーリングや酵素洗顔できれいに落としましょう。余分な角質を除去すれば、乱れたターンオーバーの周期が整い、正常な働きに戻ります。
部位ごとに詰まりが気になるのであれば、綿棒でピーリング剤を塗るとピンポイントで除去しやすいです。除去した後の肌は乾燥しやすく、刺激に過敏な状態になるので念入りな保湿を心掛けましょう。
ニキビができやすくなるNG習慣5個
ここからは、ニキビができやすい人の習慣をまとめました。どうすればニキビができにくくなるのか、美しい肌を手に入れるためにもぜひ参考にしてください。
1. 間違ったスキンケア
さまざまな間違ったスキンケアがニキビを誘発していることもあります。
過度な洗顔
ニキビ肌のNG習慣は1日に何度も洗顔もすることです。皮脂をきちんと落とすために過度な洗顔や洗浄力の高い洗顔料を使用すると、肌に必要な皮脂まで一緒に流れてしまいます。
ニキビ肌用の低刺激性洗顔料を使い、不要なものはしっかり落とし、必要なものは残しましょう。
適切でないクレンジング剤の使用
使用している化粧品とクレンジングの相性が悪ければ、洗浄不足や洗いすぎになることもあります。洗浄不足は毛穴詰まりを促し、洗いすぎは肌の乾燥を招くこともあります。クレンジングは使用している化粧品に合わせて、適切なものを選びましょう。
以下にクレンジングの種類と落とせるメイクをまとめました。
クレンジングの種類 | 落とせるメイク | 洗浄力 |
---|---|---|
乳液・ジェル | パウダー・ミネラルファンデーション BBクリーム | 弱 |
クリーム | リキッド・エマルジョンファンデーション | 普 |
ふきとり化粧水・シート | 強 | |
オイル | ウォータープルーフの日焼け止め アイライナー・マスカラなど | 強 |
自分の化粧品とクレンジングの相性をチェックしてみてください。乾燥肌の人は、ヒアルロン酸などの美容成分を配合したクレンジング剤を使うと、洗いあがりがしっとりしてツッパリにくくなります。
すすぎ不足
すすぎが不十分だと、洗浄成分が肌に残りニキビもできやすくなります。クレンジングや洗顔料を洗い残さないように、しっかりとすすぎを行うことが大切です。
オイルクレンジングは肌に残りやすいといわれていますが、W洗顔をして洗浄成分がしっかり落ちていればOK。髪の生え際や顎下、耳の付け根は洗い残しやすい部位なので気をつけましょう。
刺激を与える
間違ったスキンケアを続けていると、肌に刺激となりニキビができやすくなります。以下は、ニキビをできやすくなるNGポイントです。
・接着力の高いパック
・粒の大きいスクラブ洗顔
・化粧水のパッティング
・コットンによる擦れ
・水圧の高いシャワーを直接顔にかけるなど
バリア機能が低下した肌には、どれも刺激になるものばかりです。貼って剥がすピールオフパックや大粒のスクラブ洗顔は控えましょう。
コットンを使うと均一に化粧水をつけられますが、摩擦が起こりやすくなるのでたっぷりの量を含ませて優しくプレスするようにつけてください。あらかじめ水をつけ絞ったコットンに化粧水を含ませると節約にもなります。
2. ニキビに触れる
ニキビが気になって髪の毛で顔を隠したり、手で触ったりするのもNGです。人は無意識に肌を触ってしまうので、なるべく触れないように意識してみてください。
一見、きれいに見える手も、目に見えない雑菌がたくさんついています。汚れた手でニキビを触ると、炎症や化膿につながることもあるので注意しましょう。
髪の毛はニキビにかからないように、ヘアピンやヘアゴムなどでまとめてください。マスクを外すときは上下にずらさず、片耳からゴムを外すと肌への刺激をやわらげられます。
3. 自分でニキビを潰す
どんなに器用な人でも、自分でニキビを潰すのはNG行為です。ニキビの面皰内にたまった皮脂を完全に取り除けなければ、雑菌が入り悪化することもあります。ニキビ跡も残りやすくなるので、皮膚科で治療を受けるのが得策です。
皮膚科では、面皰圧出法という技法がニキビ治療に用いられています。皮脂のたまった面皰部分を針で穴を開けて、面皰圧子という器具で取り除く方法です。
爪を立てて自分で潰したり指で押しつぶしたりすると、ニキビ周辺の皮膚組織まで破壊してしまい、ニキビ跡として残ることがあります。
炎症を起こしていない白ニキビや黒ニキビは潰さなくても、ニキビ用の洗顔料や化粧品で改善することもありますので、早めに対策を行いましょう。
4. ファンデーションの厚塗り
ブツブツしたニキビは見た目も悪く、できればメイクで隠したいですよね。隠したい気持ちは十分にわかりますが、コンシーラーやファンデーションの重ね塗りはNGです。クレンジングで完全に落とし切れないと、毛穴詰まりの原因になり、ニキビもできやすくなります。
ニキビの目立ちを隠すには、周りの人がニキビに注目しないメイクを心掛けましょう。最近では新型コロナ対策によって、マスクで顔下部を隠れている場合がほとんどです。もしも、顔上部にできたときはアイメイクを強調するとよいでしょう。
ニキビのある部位は、悪化を防ぐためにニキビ用化粧品やつけ心地の軽い化粧品でメイクアップしてください。
5. 油分の多い化粧品を使う
肌に密着してカバー力に優れたファンデーションは魅力的ですが、油分の配合量が多いため、ニキビ肌には向いていません。アクネ菌は酸素のない密閉状態や、化粧品に含まれる1部の油分を好んで繁殖します。
油分を多く含み、密着性のあるファンデーションは、コンシーラーやエマルジョンファンデーションなどです。
また、スキンケアの最後に使う保湿クリームも油分が多いので、ニキビ肌用やノンコメドジェニックと記載されたものを使用しましょう。
ノンコメドジェニック化粧品は、ニキビを治すのではなく、ニキビを予防するものです。アクネ菌が好む油分を含まず、ニキビの元となるコメド(面皰)を育てにくい油分のみを使用しています。
まとめ
大人ニキビができない人の特徴、できやすい原因やNG習慣を解説してきました。毎日のスキンケアで、ニキビのない美肌を目指すことはできます。ニキビに悩んでいた自分にサヨナラして、羨んでいたスベスベの肌に導きましょう。