
大量の膿が溜まって膨れ上がった黄ニキビ。「潰した方がよいのか、潰さずに治すことができるのか」と迷ううちに悪化し、痛々しい状態に陥るケースも存在します。
この記事は、黄ニキビの原因と正しい対処方法を解説する内容です。今まさに黄ニキビに悩む女性はもちろん、いざトラブルが生じた時のために正しい対処方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
黄ニキビの膿が出てきた…潰れた…
黄ニキビは、ニキビの中でも重症度が高く、きれいに治すことが難しいトラブルです。鼻の下やフェイスラインにいつのまにかできてしまって、痛みやかゆみがひどく気になる…。中央に膿が透けて見えて、端から見ても痛々しい…。このような状態を知りながら耐えることは、ひどい苦痛を伴います。
さらに、黄ニキビは、知らないうちに潰れてしまって、血や膿が出てくることも多いトラブルです。破裂したニキビに対してどのような処置をすればよいのかが分からず、悩む女性は多いもの。
ようやく治った後にクレーター状のニキビ跡ができてしまうと、泣きたい気持ちになるものです。いつまでも終わらないニキビループに陥り、到るところに凹凸が残ってしまう人もいます。
黄ニキビとは?
黄ニキビの原因・対処方法を紹介する大前提として、黄ニキビとはどのような症状であるかを改めて整理しましょう。
黄ニキビとは、炎症を伴い、化膿したニキビのことです。
ニキビの初期段階は、毛穴が詰まってポツポツ見える白ニキビ。その後、表面が空気に触れて酸化した黒ニキビ・炎症を伴う赤ニキビへと進行します。
黄ニキビは、赤ニキビの炎症がさらに悪化し、膿を持った状態です。とくにひどい黄ニキビはニキビ跡を残してしまうリスクが高く、なるべく早い段階で、適切な対処が必要です。
黄ニキビの原因
黄ニキビの直接的な原因は、毛穴に詰まった皮脂や古い角質、汚れなどをエサとして繁殖したアクネ菌です。アクネ菌と戦った白血球の死骸が黄ニキビに見られる黄白色の膿の正体。
あまりにも大量の膿ができてしまうとニキビが破れ、自然に膿が出てしまいます。自然に膿がでることは、専門的な用語で「自壊(じかい)」と呼ばれる現象です。
さらに話を突き詰めると、皮脂や古い角質、汚れが毛穴に詰まること・白ニキビや黒ニキビの段階で適切なケアを行わなかったことなどもまた、黄ニキビの原因に該当します。
生活習慣の乱れやホルモンバランスの変化、肌の乾燥などによって過剰な皮脂が分泌されると、毛穴の詰まりが悪化し、白ニキビができてしまいます。白ニキビ・黒ニキビの段階で適切なケアを行い、ニキビを解消してあげれば、黄ニキビはできません。
白ニキビ・黒ニキビに対するケアを怠ったり誤った対処で症状を悪化させたりすると、黄ニキビのできるリスクが高まります。
ニキビの種類
ここで、ニキビの種類をおさらいしましょう。ニキビの主な種類と特徴は、以下の表の通りです。
微小面ぽう(マイクロコメド) | ニキビの前段階にあたる症状。毛穴の出口が狭まったり過剰な皮脂が分泌されたりすることで、汚れが溜まった状態です。 |
白ニキビ(白色面ぽう) | 毛穴内部に皮脂などが詰まりはじめて、白いポツポツが見られる症状。炎症は見られず、痛みや腫れを伴いません。 |
黒ニキビ(黒色面ぽう) | 汚れの蓄積などを受けて毛穴の出口が開き、空気に触れた部分が黒く変色する症状。シミやほくろ程度の大きさの黒いポツポツが見られるものの、炎症は伴いません。 |
赤ニキビ(炎症性ざ痣) | 毛穴に詰まった汚れをエサにアクネ菌が繁殖し、炎症を起こした状態。炎症がひどくなると、痛みやかゆみを感じることもあります。 |
黄ニキビ(膿疱) | さらに激しい炎症を起こし、真皮内に膿が溜まった症状。アクネ菌によって毛包(毛根を包む袋状の皮膚組織)の壁が壊され、炎症を招く物質が周囲に広がることもあります。 |
上の表でも分かる通り、黄ニキビはニキビの最終段階にあたるもの。適切な対処を検討し、できる限り早く、きれいにニキビを治しましょう。
黄ニキビが治る過程
黄ニキビをなるべく触らず、安静にしておくと、自然に膿が排出されます。ニキビの表面に針を使って穴を開けたり指でニキビを潰したりする必要はありません。
なるべく刺激を与えずに安静にすることで、自然に膿が出たり潰れたりするタイミングを待ちましょう。
膿が排出された後は、ターンオーバー周期に従い、新しい肌への生まれ変わりが進みます。ターンオーバーがスムーズに進むように、以下のような対策を取り入れると、肌の生まれ代わりを助けることが可能です。
・タンパク質やビタミンA、ビタミンB2を意識的に摂取する。
・早寝早起き習慣で、睡眠リズムを整える。
・ストレスを溜めすぎない。
膿が出た後にかさぶたができることもありますが、無理に爪で剥がす方法はハイリスク。なるべくいじらず、自然に剥がれるまでの期間、安静に過ごしましょう。
できたかさぶたを無理に剥がすとニキビ跡が残りやすく、クレーター状の凹凸や色素沈着を招いてしまうリスクがあります。指に付着した細菌がニキビの中に入り込み、二次感染を起こすケースもありますから、「いじらない・触らない」を守ってください。
黄ニキビの対処方法・スキンケア方法6個
着ニキビをなるべく早く治すためには、炎症を抑える薬の使用や自然治癒を助けるスキンケアが必要です。以下では、黄ニキビの早期改善を目指すための対処方法6個をご紹介します。
1. 朝・夜2回の洗顔を正しく行う
まず、朝・夜2回の頻度で正しい洗顔を行うことです。よく泡立てた洗顔料を使用し、泡のクッションを利用して、なでるように洗いましょう。
黄ニキビのできた部分はとくに優しく、「触れるか触れないか」程度の強さに留めることが大切です。ピンポイントで念入りに洗う方法は、黄ニキビに刺激を与えるリスクが高く、積極的におすすめしません。
その他、以下のような洗顔方法も、黄ニキビの悪化を招くリスクがあります。
【1】スクラブ入りの洗顔料を使用する
スクラブ入りの洗顔料や酵素洗顔料は、主に白ニキビ・黒ニキビ対策用のアイテムです。赤ニキビ・黄ニキビといった炎症を伴うニキビの目立つときには、できる限り控えましょう。
【2】体温よりも熱いお湯を使用する
すすぎに使うお湯の温度は、体温より低い程度が適切です。熱いお湯を使用すると肌の乾燥を悪化させ、ニキビの増加を招くリスクを伴いますから、適切な温度に調整しましょう。
【3】ぬるま湯のみで洗顔する
ぬるま湯のみの洗顔では、顔の汚れがきれいに落ちず、新たなニキビを招いてしまうリスクがあります。低刺激の洗顔料を選択し、正しい洗い方を守ることで肌の負担を和らげることができますから、目的もなしにぬるま湯洗顔を試すことは避けてください。
黄ニキビ解消を助ける洗顔は、「洗いすぎず・洗わなすぎず」という適度な洗い方を守ることが大切です。スクラグ入りの洗顔料や酵素洗顔料の使用・ぬるま湯のみの洗顔といったNGケアを卒業し、朝・夜2回の正しい洗顔を続けることで、肌を清潔に保ってください。
2. 帰宅後すぐにメイクを落とす
メイクをしたまま過ごす時間が長いほど、黄ニキビの悪化リスクは高まります。帰宅後すぐにメイクを落とし、肌の負担を軽減しましょう。
使用するクレンジングはミルクタイプ、ジェルタイプといった摩擦刺激を与えにくいものがおすすめ。黄ニキビの目立つ部位はとくに優しくクレンジングをなじませ、十分にすすいでください。
この基本を守った上で、アイメイク・リップメイクといった落としにくいメイクには、ポイントメイクリムーバーを併用しましょう。ポイントメイクリムーバーを使用するタイミングは、顔全体のメイク落としを行う前です。落としにくいメイクを先に取り除くことで、ゴシゴシこすらず、優しい洗顔によってもきれいに汚れを落とせます。
3. 保湿ケアを怠らない
「ニキビ=脂性肌」というイメージを持つ人も多いのですが、大人ニキビの場合は異なります。乾燥によって大人ニキビが生じるケースは多く、十分な保湿ケアが不可欠です。
保湿ケアには、ノンコメドジェニック処方の保湿化粧品を使用します。保湿化粧品にもいろいろな種類がありますが、化粧水・乳液、クリームと複数種類を順番に使うことが正しい保湿のポイントです。乳液やクリームによって適度な油分を与えることが、過剰な皮脂分泌を防ぎ、ニキビのできにくい肌への生まれ変わりを助けてくれます。
4. 皮膚科・美容皮膚科に相談する
黄ニキビをなるべく早く治すためには、皮膚科や美容皮膚科の受診がおすすめです。皮膚科や美容皮膚科では、以下のような治療を組み合わせ、黄ニキビに対処します。
外用薬 | 抗生剤(細菌の繁殖を抑える薬)や炎症を和らげる軟膏、毛穴の詰まりを解消する薬などが処方されます。一般的には洗顔後の清潔な肌に塗る薬が目立ちますが、医師や薬剤師の説明に従い、正しい方法で使用しましょう。 |
内服薬 | 抗生剤や炎症を抑える薬などが処方されます。抗生剤は自己判断で中断せず、炎症が治まるまで飲み続けることが大切。ニキビの原因によっては、ホルモンバランスを整える薬・漢方薬などが処方されるケースもあります。 |
面ぽう圧出 | 「面ぽう圧出器」という医療用の道具を使用し、毛穴に詰まった膿や汚れを押し出します。 |
皮膚科や美容皮膚科では「黄ニキビを治して終わり」というわけではなく、マイクロコメドを作らせないための治療が検討されるケースもあります。ニキビ治療のゴールを医師とよく相談し、肌質改善を目指しましょう。
5. 市販薬を使用する
皮膚科や美容皮膚科にかかる時間がないときには、市販薬を活用することも選択肢です。以下のような成分の含まれる市販薬は、黄ニキビ対策に活用できます。
抗炎症成分 | グリチルレチン酸ステアリル、アラントインなど、ニキビや肌荒れを抑える成分。 |
抗菌成分 | イソプロピルメチルフェノール、レゾルシンなど、アクネ菌の繁殖を防ぐ成分。 |
市販薬を使用して様子を見る期間は、2週間は目安です。2週間以上使用しても炎症が治まらなかったりニキビが悪化したりする場合は、皮膚科や美容皮膚科を受診しましょう。
なるべく早い段階で医師の診断をあおぐことが、黄ニキビをきれいに治すためのポイント。「ニキビ程度で病院に行くことは恥ずかしい」と考えず、早めの受診をおすすめします。
6. 紫外線対策を怠らない
紫外線は活性酸素を発生させて、黄ニキビの悪化を招く一因です。大量の紫外線を浴びた肌は皮脂の過剰分泌を起こしやすく、角質肥厚によって、新しいニキビができてしまうリスクもあります。
適切な強さの日焼け止めを塗ることはもちろん、以下のような対策によって、ニキビの悪化や増加を防ぎましょう。
・日傘やUVカットパーカーを活用する。
・サングラスを着用する。
・2時間から3時間置きに日焼け止めを塗り直す。
・紫外線カットカーテンを活用する。
日常的に使用する日焼け止めの強さは、SPF15〜30、PA+〜++程度が適切です。強すぎる日焼け止めを毎日使うと肌に大きな負担をかけ、黄ニキビの治りを悪くするリスクがあります。
強すぎる日焼け止めを日常使いすることも、紫外線対策を怠ることも、黄ニキビの解消を目指すための正しい対処といえません。異なる強さの日焼け止めをストックし、その日予定に応じた使い分けを行ってください。
まとめ
黄ニキビの原因と症状、できる限り早く治すための対処方法やスキンケアの注意点を解説しました。皮膚科や美容皮膚科にかかったり正しいスキンケアを実践したりすることで、ニキビ跡を残すことなく、きれいな肌を目指せます。
この記事の内容を参考に適切な対処を施し、ニキビに悩まされることのない、理想の美肌を実現しましょう。