
洗顔した後や化粧水をつけた後に、肌がピリピリしたことはありますか?近頃肌がかさつく、皮脂が多くなった、肌荒れしやすくなったというようなことはありませんか?
もしかしたら敏感肌かもしれません。放っておくと症状が悪化する可能性もあり、悪化するほど元の肌に戻すのにも時間がかかってしまいます。
この記事では敏感肌とはどんな肌なのか、乾燥肌との違いを説明しています。また敏感肌診断チェックリストで簡易的に敏感肌であるかどうかのセルフチェックができます。さらに、敏感肌のスキンケア対策についても詳しく解説します。
敏感肌とは?
皮膚には紫外線・空気中のほこり・細菌などの有害な物質から身体を守る働きがあります。この働きを担っているのがバリア機能*です。
バリア機能が何らかの理由で低下すると、ちょっとした刺激に敏感になり、皮膚が赤くなったりヒリヒリ・ピリピリしたり、かゆみを感じたりします。このような肌が敏感肌で、化粧品にかぶれやすくなったり、炎症が悪化しやすくなったりします。
敏感肌になる原因は様々で、乾燥・加齢・アレルギーなどの体質・間違ったスキンケア・生活習慣などが考えられます。敏感肌になるのは顔だけではなく、全身の皮膚にその状態が現れます。
*バリア機能:
バリア機能は肌表面を覆う皮脂と角質層に存在する細胞間脂質と天然保湿因子(NMF)で構成されています。角質層は角質細胞の隙間を埋めるように細胞間脂質が存在し、角質細胞の中にはNMFがあり両者は煉瓦とセメントに例えられています。これらが外部の刺激から肌を守ります。
過脂敏感肌・脂漏性敏感肌とは?
敏感肌というと肌が乾燥しているイメージがあります。しかし皮脂の分泌が多くべたつきやテカリがあって、一見肌が十分うるおっているように見えて敏感肌という人もいます。このような肌を過脂敏感肌または脂漏性敏感肌といいます。
肌が乾燥していると水分の蒸発を防ごうとして皮脂分泌が活発になり、結果として肌にべたつきやテカリが出るのです。肌が持つ防御反応の一つといえます。
皮脂が肌表面を覆っていても、肌内部が乾燥しているのでバリア機能を構成している細胞間脂質とNMFが不足しており、肌を外部刺激から守る本来の機能は低下しているため、刺激に対して敏感になるのです。
敏感肌と乾燥肌の違い
敏感肌と乾燥肌はスキンケアの方法が似ていて、敏感肌用の化粧品は乾燥肌の人に使えますし、その逆も可能なので、敏感肌と乾燥肌の境界が曖昧になりがちです。
敏感肌は肌の乾燥も原因の一つになっていることは説明しました。乾燥の他には加齢・アレルギーなどの体質・間違ったスキンケア・生活習慣なども敏感肌になる原因に含まれます。
つまり、乾燥肌とは、乾燥した肌のことをいい、敏感肌とは乾燥やアレルギーなどいくつかの原因によって刺激に対して敏感になっている肌のことをいいます。
敏感肌だからといって必ずしも乾燥肌であるとは限らないのですが、両タイプの肌質を持っていることが多いです。これは乾燥から肌を守るバリア機能が、外部の刺激からも肌を守る働きをしているためです。
敏感肌の症状
敏感肌は、紫外線や空気中のほこり・花粉などが肌に触れるだけで赤くなり、かゆみや炎症を起こしたり、チクチク・ヒリヒリしたりします。
肌は乾燥してカサカサになっていることが多く、乾燥による小じわや肌荒れ、毛穴の開きや毛穴詰まりを起こしやすく、ニキビにもなりやすいです。
洗顔料・化粧水・乳液やクリームなどを塗るとしみることがあり、刺激の強い化粧品は使えないことが多いです。
化粧品以外では、髪や洋服の襟やスカーフなどが顔や首などの肌に触れると、材質によってはかぶれることがあります。摩擦にも弱いので、タオルで強く擦ると肌が赤くなります。
かゆみを感じることが多いため、掻いてしまうと傷になり、細菌感染して傷が酷くなることもあります。肌の新陳代謝がうまく行っていないことが多く、傷の治りが遅いのも特徴です。
敏感肌の診断チェックリスト
もしかして私も敏感肌?と思ったら、次の質問にあてはまるかをチェックしてみましょう。
(1)肌にかゆみを感じることが多い。
(2)洗顔後、肌がヒリヒリすることがある。
(3)季節の変わり目になると、肌が荒れる。
(4)保湿しても肌が乾燥しがち。
(5)化粧品でかぶれや肌荒れを起こしたことが何度もあった。
(6)紫外線を浴びると肌が荒れやすい。
(7)肌がガサガサ。
(8)肌のキメが粗い。
(9)湿疹ができやすい。
(10)洋服の素材によっては肌がチクチクする。
(11)肌がテカる。
(12)ニキビができやすい。
(13)毛穴のひらきが目立つ。
(14)毛穴が詰まりやすい。
(15)化粧崩れしやすい
1から10まで4つ以上当てはまると敏感肌の可能性が高いです。さらに加えて11から15までに当てはまる項目がある場合には、過脂敏感肌・脂漏性敏感肌の可能性があります。
敏感肌のスキンケア対策7個
刺激に対して敏感な肌のお手入れは、とても気を使います。しかしコツをつかんで慣れてしまえば特に難しいことはありません。自分の敏感肌の特徴を理解して、しっかりとスキンケアをすることで肌荒れなどのトラブルを防ぎ、トラブルがあったとしても深刻化するのを防ぐことができます。
これから敏感肌のスキンケア対策を紹介します。
1. 手早くクレンジングする
メイクは帰宅後できるだけ早めに落とします。肌のタイプには個人差がありメイクの濃さも人様々なので、自分に合うメイク落としを選びましょう。
肌にやさしいメイク落としであっても、クレンジング剤は肌に負担をかけるものなので、できるだけ手早く行なうことが肝心です。クレンジング剤が肌に接触する時間が短いほうが、肌には良いのです。
ただし、クレンジングで落としきれなかったメイクが肌に残るのも良くないので、そこはクレンジング力と使用時間との兼ね合いになります。
今自分にとって理想的なメイク落としがあるのなら良いのですが、これから理想のメイク落としを見つける人は、メイクを落とす力とメイク落としにかかる時間を考慮して評価してください。
肌にやさしい成分ばかりであっても、メイク落としに時間をかけるのは得策ではありません。このことを考えて、メイクを選ぶときには落としやすいものを選ぶのも一つの方法です。
2. 肌にやさしい洗顔を心掛ける
洗顔は肌を健康で美しく保つために大事なスキンケアの一つですが、同時に肌を傷める可能性もあります。大事なステップなので、3つのパートに分けて説明します。
洗顔料は肌に刺激のないものを選ぶ
洗顔料も敏感肌には刺激になるので、できるだけ肌にマイルドな成分を使った洗顔料を選びましょう。肌にマイルドな洗顔料はアミノ酸系洗浄成分が入っているものがおすすめです。
洗顔料に使われる代表的なアミノ酸系洗浄成分は、ラウロイルメチルアラニンNaやココイルグリシンKなどです。
商品に「アミノ酸系洗浄成分使用」と書いていても、中には石けんベースにアミノ酸系の洗浄成分も加えているタイプの洗顔料もあります。このタイプは石けんベースの特徴の一つである泡立ちの良さがあるのですが、洗浄力(脱脂力)が強いため敏感肌には刺激が強すぎることがあります。
石けんが入っているかどうかは全成分表示を見ればわかります。ミリスチン酸・ステアリン酸・パルミチン酸などの脂肪酸と、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリが入っていたら石けんベースの洗顔料です。
敏感肌用の洗顔フォームでも石けんベースを使っているものがあります。試しに使って肌に合わないときには、アミノ酸系洗浄成分のみを使っている洗顔料に変えてみましょう。
洗顔はぬるま湯を使う
洗顔に冷たい水やお風呂に使う40度くらいのお湯は、どちらも肌への刺激になります。体温に近い温度が最も刺激が少ないので、洗顔はぬるま湯を使うようにしましょう。
タオルで拭くときは擦らず押さえるようにする
すすぎ後にタオルで顔を拭くときにはゴシゴシ擦らないよう、やさしく押さえるようにして水分を拭き取ります。濡れた肌は特に刺激に弱くなっているので、意識して擦らないよう注意しましょう。
3. 正しく保湿をする
洗顔後や入浴後に保湿をすると思いますが、正しく保湿すれば保湿剤の効果を最大限に引き出すことができるので、保湿してもすぐに肌が乾燥してしまう人はぜひお試しください。
洗顔・入浴すると、皮脂が洗い流されてしまいます。過脂敏感肌・脂漏性敏感肌の人は皮脂分泌が多いので、洗顔や入浴後は肌がすっきりすると思います。肌が乾燥している人も、洗顔や入浴直後は肌がうるおっているので安心するかもしれませんが、実はこのときの肌が最も乾燥しやすいのです。
皮脂が洗い流されている肌は、無防備になっていて肌の水分がどんどん蒸発しています。時間が経つと肌がヒリヒリするのは乾燥のせいかもしれません。
正しい保湿の仕方は、洗顔や入浴の直後に素早く化粧水を塗布してよく肌になじませてうるおすことです。次に油分を含んだ乳液やクリームを重ねて塗布することを忘れないようにしましょう。
過脂敏感肌・脂漏性敏感肌の人は特に、肌の乾燥により皮脂分泌が活発化している可能性があるので、油分を避けないでしっかりと乳液やクリームも塗りましょう。夏は油分を含むクリームなどを塗りたくないと思うかもしれませんが、夏はエアコンなどで知らぬ間に意外と肌が乾燥していたりするので、保湿がとても重要になります。
4. 日中は日焼け対策を行う
敏感肌はバリア機能が低下しているので、紫外線のダメージを受けやすくなっています。具体的には肌の乾燥が進み、肌トラブルが深刻化してしまいます。そのため特に日焼けの対策が必要です。
肌荒れやニキビなどの肌トラブルがあるために、日焼け止めを塗ることに抵抗があるときには、日傘や帽子などで紫外線を避けることもできますが、照り返しなどもあるため日焼け止めを使うことをおすすめします。
ニキビや一部分に傷などがあるため日焼け止めを塗りたくない場合には、紫外線をカットしてくれる肌色のテープがあります。ドラッグストアや通信販売でも購入することができるので、日焼け止めを塗りたくない場合には部分的に使用することができます。
薄くて肌色のテープで上からメイクができるものもあるので、遠目にはテープを貼っていても目立ちません。
5. できるだけ摩擦を避ける
敏感肌は炎症・かゆみ・湿疹などの肌トラブルが起きやすいので、肌に刺激になることはできるだけ避けるのが好ましいです。肌トラブルがなければあまり意識することはないですが、日常生活で肌を擦ることは意外と多いのです。
たとえばメイクを落とすとき、洗顔するとき、メイクをするときには肌を触るのでそのとき摩擦が生じます。洗顔後にタオルで顔を拭くときや入浴時も肌への摩擦が生じます。着替えのときに洋服が肌を擦ることや、就寝時も寝具が肌に触れることがあります。
顔のスキンケアでは特に肌を必要以上に擦ってしまわないように気を付けましょう。
洗顔やクレンジングでは力を入れすぎないように洗うようにします。化粧水や乳液などを塗布するときには、コットンよりも手で直接つける方が力加減も調節しやすく、不要な摩擦を減らすことができます。
また細かいことですが、洋服や髪の毛が触れることも刺激になるので気をつけましょう。例えば髪の毛1本でも顔に触れていると、かゆみを感じて指で掻いてしまうことがあります。それにより肌に傷がついてしまい、爪や指に雑菌がついていたら傷からの細菌感染の恐れもあります。
6. 肌に触れるものを清潔に保つ
保湿の方法や摩擦に気を使っていても、バリア機能が低下している敏感肌に触れる手やタオルなどが汚れていると、細菌感染の危険にさらされます。
肌が乾燥して荒れている部分に汚れや細菌などが付着・刺激して肌の状態を悪化させる恐れがあります。
スキンケアの前には必ず石けんで手を洗うようにしましょう。またタオルやメイクに使うブラシなど、肌に直接触れるものは常に清潔にしておかなくてはなりません。何気なく頬杖をついたりする癖のある人も、注意しましょう。
7. 敏感肌用のスキンケア用品を使う
敏感肌のスキンケアで最も大事なのは、「何を使うか」よりも「どう使うか」です。「どう使うか」はクレンジング・洗顔・保湿の方法で説明しました。
それらを守った上で、次に「何を使うか」ということを考えます。敏感肌の程度や種類は個人差がありますが、人によっては肌を刺激する可能性のある成分や、アレルギーを起こしやすい成分などを配合していない「敏感肌用」と書かれた化粧品があります。
敏感肌用の医薬部外品には、炎症を鎮める作用のある成分が入っているので、すでに炎症が起きている肌にはおすすめです。
今まで使っていた化粧品に対してピリピリしたりチクチクしたりするようになったときには、敏感肌用の化粧品または医薬部外品を使ってみると良いでしょう。
敏感肌用であっても、人によっては刺激を感じることがあるので、初めて使うときは一度にセットでそろえて使い始めるのではなく、1品ずつ加えて様子を見ていくことをおすすめします。
まとめ:肌の声に耳を傾けてみよう
敏感肌と一言でいっても乾燥によるものや特定の物質に対するアレルギーなどがあり、症状も様々です。
日頃から自分の肌が、何に対して敏感なのかを観察することも大事です。そうすることで過敏になる原因から肌を遠ざけることができ、どのようなスキンケアが自分に向いているのかもわかるようになってきます。肌の声をよく聞いて、適切なスキンケアで美しい肌を取り戻しましょう。