監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

口周りのニキビは、急にできることが多い上に繰り返しやすく、多くの女性を悩ませます。大切な予定の前日にニキビができると、泣きたい気持ちになりますよね。

この記事では、口周りのニキビの原因とできるだけ早く治すための対処法を紹介します。肌の不調と上手に付き合い、コンプレックスを解消するためのヒントとして、有効に活用して下さい。

口周りにニキビが急にできた…

口周りのニキビはふとした時に自分や他人の視線に入り、ひどく気になるトラブルです。口周りのニキビに対して、以下のような感情を持ち、コンプレックスを感じる人は、少なからず存在します。

・口周りのニキビがかゆく、頻繁にストレスを感じる。
・口を大きく動かすと引きつるので、思い切り笑えない。
・良くないことは分かっていても、マスクでつい隠してしまう。
・ストレスや疲労を感じる度にニキビができて、なかなかきれいに治らない。

他人からすれば「たかがニキビ」というトラブルでも、本人にとっては大問題です。また、口周りのニキビは大人ニキビに多い症状ですので、一定以上の年齢に差し掛かり、急に増えることがあります。

ニキビとは無縁で過ごしてきた女性が肌トラブルに直面し、動揺する気持ちは当然のこと。「ニキビに悩む年齢ではないのに、恥ずかしい」などと考え、スキンケア迷子に陥ることも多くあります。

口周りにニキビができる原因3個

一般的に口周りは、皮脂分泌量が少なく、乾燥しやすい部位と言えます。それでも急にニキビができたり、ざらつきや毛穴の詰まりを感じたり。様々な肌トラブルを繰り返す原因は、一体どこにあるのでしょうか。以下では、口周りにニキビができる原因3個を紹介します。

1. バリア機能の低下

まず、紫外線や乾燥、摩擦刺激の蓄積によるバリア機能の低下です。バリア機能の低下した肌は、角質層を厚くすることにより、自分自身を守ろうと働きます。

必要以上に厚くなった角質層は、毛穴の詰まりやごわつきを招き、ニキビリスクを高める原因の1つ。

スキンケアや生活習慣の見直し・改善によってバリア機能を強化する対策を行わなければ、何度もニキビを繰り返し、悪循環に陥ってしまうリスクがあります。

2. ターンオーバー周期の乱れ

ターンオーバー周期が必要以上に遅くなると、古い角質などが毛穴に詰まり、ニキビを招いてしまいます。肌のごわつき、くすみといったトラブルを併発し、滑らかな美肌が遠のくことも問題。肌の透明感が失われて、老け込んだ印象に見えてしまいます。

ターンオーバー周期の乱れを招く根本的な原因は、次のような内容です。

・睡眠不足や不規則な睡眠習慣
・過剰なストレス
・冷え性
・栄養バランスの悪い食事
・喫煙や過度の飲酒習慣
・炭水化物抜きなど、極端なダイエット
・運動不足
・誤ったスキンケア

これらのうちの1個のみが原因というわけではなく、複数要素が重なり合って、ターンオーバー周期の乱れが生じることも多くあります。口周りのニキビを身体のヘルプサインと考え、生活習慣やスキンケア方法の見直しを進めることが大切です。

3. ホルモンバランスの影響

生理前にニキビが増えるタイプの人は、ホルモンバランスの影響を疑いましょう。生理前は黄体ホルモンの影響を受けやすく、皮脂分泌量が増加する時期。必要以上の皮脂が分泌されると毛穴の詰まりが進行し、ニキビができてしまうのです。

また、生理前は精神的なストレスや身体のだるさ、火照りといった不調を感じやすい時期と言えます。スキンケアを行うことさえ億劫に感じ、クレンジングや洗顔の手を抜くと、ニキビの悪化を招いてしまう原因です。

口周りのニキビは即効で治らない?

口周りのニキビを極力早く治すためには、ニキビの種類に応じた正しい対処が大切です。

白ニキビピーリング石鹸やピーリングジェル、角質ケア美容液を使用し、ターンオーバーを促すことで、毛穴の詰まりを解消します。
赤ニキビ毛穴内部の炎症を鎮めるための市販薬や抗炎症成分配合の基礎化粧品を活用します。炎症の悪化を防ぐために濃いメイクをしばらく休み、肌の負担を軽減する対応も選択肢です。
黄ニキビ基本的には赤ニキビと同様の対処を検討しますが、自分で潰す方法は避けることをおすすめします。大きなしこりや溜まった膿の気になる場合は医療機関に相談し、適切な処置を受けて下さい。

ただし、いずれの方法も表面化したニキビの応急処置に過ぎません。ニキビループを抜け出すためには、根本的な肌質改善を目標とした継続的な対策を行いましょう。

口周りのニキビを治す対処方法8個

では、根本的な肌質改善を目標として、どのような対策を行えば良いのでしょうか。ここでは、スキンケアや生活習慣の見直し・改善による対処方法7個を紹介します。

1. クレンジング選びを見直す

刺激の強いクレンジングは、バリア機能の低下した肌に負担をかけ、ターンオーバー周期の更なる乱れを招いてしまうリスクがあります。口周りのニキビを治すためには、大人ニキビに適したクレンジングに切り替えて、肌の負担を軽減しましょう。

大人ニキビに適したクレンジングを選ぶ時のポイントは、以下2点です。

【1】ノンコメドジェニックテスト済みの商品であること
ノンコメドジェニックテストとは、ニキビのできにくさを確認する試験です。この試験を通過したことの明記があるクレンジングは、顎ニキビを繰り返す女性も使用しやすく、トラブルリスクを軽減できます。

【2】洗い流すタイプであること
シートタイプや拭き取り式のクレンジングは摩擦刺激を与えやすく、大人ニキビ対策に不向きです。ジェルタイプやクリームタイプ、ミルクタイプなど、メイク汚れとなじませて洗い流すタイプのクレンジングを選択しましょう。

2. 1日2回、正しい方法で洗顔する

ゴシゴシこする洗顔や1日に3回、4回行う洗顔は、バリア機能の更なる低下やターンオーバー周期の乱れを招くリスクがあります。朝と夜の1日2回、以下の手順に従って、正しい洗顔を実践しましょう。

【1】洗顔フォームを泡立てる
空気と水分、洗顔料を混ぜ合わせ、弾力ある泡のフォームを作ります。手を裏返した時に落ちない程度の濃密さが泡立て完了のサイン。泡立てを面倒に感じる人は、泡立て不要のポンプ式洗顔料を活用しましょう。

【2】べたつきの気になる部位から洗顔する
洗顔は、古い角質や汚れの溜まりやすい部位から乾燥しやすい部位への順番で進めます。口周りの過剰な皮脂や角質肥厚が気になる時は最初に洗い、かさつきが気になる時は他の部位より後に洗顔しましょう。

【3】ぬるま湯でよくすすぐ
体温よりやや低い程度のぬるま湯を使い、十分にすすぎます。最低でも20回から30回はすすぎを行い、すすぎ残しのないことを確認し、洗顔を終えて下さい。

「大人ニキビは乾燥が原因」と信じ込み、ぬるま湯や水のみの洗顔を行う女性もいますが、顔の汚れや過剰な皮脂を残してしまうリスクがあります。きちんと汚れを落とそうとするあまりにゴシゴシこする原因にもなりますので、肌に合う洗顔料を使って下さい。

3. 大人ニキビ専用の基礎化粧品を活用する

大人ニキビ専用に開発された化粧水や乳液は、口周りのトラブルケアにも活用できます。以下のような成分の含まれる基礎化粧品を選択し、ニキビの改善・予防を行いましょう。

◎ニキビ対策に役立つ成分の代表例

グリチルリチン酸甘草という植物由来の抗炎症成分。敏感肌の女性でも比較的取り入れやすく、ニキビの悪化予防と鎮静に貢献します。
フラーレン高酸化作用によってニキビの悪化を防ぐとともに、バリア機能の強化を助ける成分。メラニンの生成を抑える働きも担いますので、ニキビ跡対策にもひと役買います。
イソフラボンホルモンバランスの乱れによる大人ニキビ対策におすすめの成分。女性ホルモン優位の状態へ導くことで毛穴の詰まりを予防し、滑らかな肌への生まれ変わりを助けます。
ビタミンC誘導体皮脂量のコントロールや毛穴の引き締め、ニキビ跡予防が得意な成分。コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促し、肌のハリ・ツヤを維持することにも貢献します。
セラミド高い水分保持機能を持ち、外部刺激に負けない肌を作るためには欠かせない成分。化粧水などによって補充した水分をできるだけ多く肌内部に留め、ニキビのできにくい状態へと導きます。

4. 定期的な角質ケアでターンオーバー周期を整える

角質ケアには、肌表面に滞留する角層細胞の排出を促し、ターンオーバー周期を整える働きが期待されます。ピーリングジェルや酵素洗顔料などを使用し、定期的にお手入れしましょう。

角質ケアに使用できる化粧品の主な種類と特徴、選び方は、次の表の通りです。

ピーリングジェルAHAやBHAといったピーリング成分の力によって、古い角質・皮脂を取り去るタイプの商品。古い角質によるごわつき、毛穴の詰まりの気になる時にはAHA配合のピーリングジェル・過剰な皮脂の気になる時にはBHA配合のピーリングジェルを選択しましょう。
酵素洗顔料皮脂分解酵素やタンパク質分解酵素を含む洗顔料を使用し、角質ケアを行うタイプの商品。フェイスラインなど、ざらつきの気になる部位に対し、部分使いを行うことも可能です。
スクラブ洗顔細かい粒子の含まれた洗顔料によって、角質ケアを行うタイプの商品。他の角質ケア商品と比較して摩擦刺激を与えやすく、バリア機能の低下した肌に負担をかけるリスクがあります。
角質ケア美容液洗顔後の肌になじませ、ターンオーバーを整えるタイプの商品。定期的に使用する方法ではなく、普段のお手入れの一貫として活用する商品です。

いずれの化粧品を選ぶとしても、お手入れの推奨頻度と用法を守ることが大切です。パッケージや説明書の記載をあらかじめ確認し、メーカー指定のお手入れ方法を理解した上で、角質ケアに挑戦しましょう。

5. ニキビを悪化させる食べ物・飲み物を控える

口周りのニキビが気になる時には、ニキビを悪化させる食べ物・飲み物を控えて、食習慣の改善に努めましょう。天ぷらやフライドポテト、スナック菓子といった脂質の多い食べ物は、過剰な皮脂を分泌させるリスクがあります。

チョコレートやケーキ、ドーナッツなど糖質の多い食べ物・甘いジュースや炭酸飲料などもまた、過剰な皮脂を分泌させる原因の1つ。

香辛料を多く含む食べ物やカフェインを含む飲み物にも同様のリスクがありますので、適量に留めることが大切です。

6. 美肌作りに役立つ食べ物・飲み物を摂取する

ニキビを治すための食事の基本は、様々な栄養素をバランス良く、いろいろな食べ物・飲み物からとることです。この基本を守った上で、肌トラブルの改善を助ける食べ物・飲み物を意識的に摂取し、理想の美肌を目指しましょう。

◎肌トラブルの改善を助ける食べ物・飲み物

パプリカビタミンA(β−カロテン)やビタミンE、ビタミンCを豊富に含み、バリア機能を強化したりターンオーバー周期を整えたりする働きが期待されます。
いちごいちごのビタミンC含有量は果物の中でもトップクラス。アントシアニンなど、抗酸化作用・抗炎症作用を持つ成分も含みます。
青魚(サバ、イワシなど)青魚に含まれるDHAやEPAには、炎症を鎮めて肌の調子を整える働きが期待されます。
あずきあずきに含まれる食物繊維が腸内環境を整えて、体内毒素の排出を後押し。便秘が原因の肌荒れ、ニキビの気になる時におすすめです。
豆乳イソフラボンが女性ホルモンに似た働きを担い、肌の調子を整えます。植物性タンパク質を手軽に摂取できる点もメリットです。

7. 質の良い睡眠をとる

質の良い睡眠をとることは、成長ホルモンの分泌を促し、肌トラブルの改善を後押しします。規則正しい時間にベッドに入ってぐっすり眠る、理想的な睡眠リズムを習慣化しましょう。

質の良い睡眠をとるための具体的な対策は、以下のような内容です。

・40℃前後のぬるま湯にゆっくりつかり、リラックスする。
・就寝直前のスマホ操作を控える。
・体型に合う枕やマットレスを使用する。
・肌触りの良いパジャマを着る。
・週末の寝だめや17時以降の仮眠を控える。
・夜間の照明は暖色系を選択する。
・寝室の湿度や温度を快適に維持する。

厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」によると、30代・40代の女性のうちの約3割は「睡眠で十分な休養をとれていない」といった実感があるそうです。口周りのニキビが気になる時はとくに質の良い睡眠にこだわり、心身に負担をかけにくい生活を送りましょう。

8. 適度な運動で汗を流す

適度な運動習慣は、肌のターンオーバーを促進させ、ニキビの改善を後押しします。ウォーキングなど一定のリズムで継続する運動は、セロトニンを増加させて、心身の健康維持をサポート。適度に身体を動かして程よい疲れを感じた日には、夜の寝付きも良くなります。

ニキビを治すために運動習慣を始める際の注意点は、以下2点です。

【1】無理のない負荷から始める
長過ぎるウォーキングや負荷の重い筋トレは、心身に負担をかけるリスクがあります。自分自身の体力や心身の健康状態をふまえ、過度な負担のかからない時間・内容を検討しましょう。

【2】運動後のスキンケアを正しく行う
運動後は速やかにクレンジングや洗顔・保湿ケアを行い、ニキビの悪化を防ぎましょう。クレンジングや洗顔、保湿ケアの時間を確保できない時には、柔らかいタオルを使って汗を拭きます。

ゴシゴシこする拭き方や刺激の強い洗顔シートの使用は、ニキビの悪化を招いてしまう原因の1つ。適度な運動・運動後のスキンケアをワンセットと考えて、十分なトレーニング時間を確保しましょう。

まとめ

口周りのニキビの原因と対処法を紹介しました。スキンケアや生活習慣の改善による対策を継続しても治らないしつこいニキビは、医療機関に相談し、専門的な治療を行うことも選択肢です。誤ったセルフケアを続けたことでニキビが悪化し、治療期間が長引いてしまうケースもあります。

医療機関に相談するにしろ、セルフケアを行うにしろ、ニキビをきれいに治すまでには、一定の時間と労力を要することが一般的です。すぐに変化が見られなくても諦めず、継続的な対策を行うことで、理想の肌を目指しましょう。