監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

かさつき・かゆみはもちろん、シミやたるみ、大人ニキビなど、乾燥肌から来るトラブルはたくさんあります。顔や体、背中など部位に合わせた乾燥肌対策を行うことで、気になっているトラブルを改善できるかもしれません。

ここでは、乾燥肌に悩む女性に試してほしいスキンケア方法・生活習慣のポイントを見ていきます。

乾燥肌の原因

乾燥肌の原因は、バリア機能の低下です。バリア機能とは、紫外線やほこり、摩擦といった刺激によってダメージを受けることがないように防御する働きのことをいいます。バリア機能が低下した肌は、炎症やかさつき、ハリ不足といった悩ましいトラブルを起こしやすく、ちょっとした刺激に対しても敏感に反応する状態です。

乾燥肌対策では、弱ってしまったバリア機能をあるべきところまで回復させるもしくは補完するお手入れを行います。

バリア機能をもう少し細かく見ると、重要要素が3つあります。

1. 細胞間脂質
2. 天然保湿因子(NMF)
3. 皮脂

これらがきちんと機能すれば、乾燥トラブルに悩むことはありません。加齢や生活習慣の乱れ、間違ったお手入れや環境要因などにより、どこかに問題が生じると、乾燥肌に傾きます。

原因と基本方針が分かったところで、部位別の乾燥対策を見ていきましょう。

顔の乾燥肌対策6つ

常に外気にさらされるうえ、皮膚が薄い顔は、乾燥しやすい部位といえます。顔の乾燥が気になる人は、こんな対策を試してみましょう。

①乾燥肌用のスキンケアを正しく使う

顔の乾燥対策は、毎日のスキンケアから始まります。乾燥肌に適した化粧水・美容液・乳液もしくはクリームを使い、不足しているバリア機能を補うことで、トラブルの悪化を防ぎましょう。

乾燥肌には、セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲン・グリセリンなど、保湿成分が入った化粧水や美容液が適しています。高いものを使うほどよいわけではなく、相性のよいものを正しく使い続けることが大切です。正しい使い方は、メーカーのホームページやスキンケアのリーフレットで確認できます。1回あたりの使用量やお手入れの順番を確認し、正しい保湿を行ってください。

②化粧水ミスト+乳液・クリームで日中のケア

エアコンが効いた室内では、肌がひどく乾燥します。そんなときには、化粧水ミストでうるおいを補い、乳液もしくはクリームで蓋をする応急処置がおすすめです。

化粧水ミストは、顔の斜め上から吹きかけます。ミストの中をくぐるように、顔全体の水分補給を行いましょう。細かい粒子をまんべんなく浴びることで、メイク崩れを予防できます。水分補給しただけではすぐに蒸発してしまうため、乳液もしくはクリームを薄く伸ばし、持続力を高めてください。

③刺激の少ないクレンジングを使う

乾燥肌には、ミルクタイプやクリームタイプのクレンジングが適しています。濃いメイクもしっかり落ちるオイルやシートのクレンジングは、弱った肌には不向きです。手軽にメイクを落とせるメリットはありますが、デイリー使いは避けてください。

クレンジング方法は、以下の手順をおすすめします。

【1】ポイントメイクを落とす
アイメイクや落ちにくい口紅は、全体を洗う前に落としておきます。リムーバーを含ませたコットンでメイクを溶かすように、やさしくなでるように進めてください。目のキワのアイラインには、綿棒を使いましょう。

【2】十分な量のクレンジングを手のひらに出す
クレンジングが少なすぎると、摩擦刺激の原因になります。500円玉大くらいを目安に、十分な量のクレンジングを使ってください。

【3】乾燥しにくい部位からメイクを落とす
Tゾーンやほほのメイクを最初に落とし、乾燥しやすい部位を最後にします。汚れが溜まりやすい小鼻のあたりは指の腹を使い、小さな円を描くように動かしましょう。

【4】ぬるま湯ですすぐ
乾燥肌のクレンジングは、スピードが大切です。多少はべたつきが残っても洗顔で落とせるので、神経質になる必要はありません。時間をかけるほど肌に負担となるため、ぬるま湯でさっとすすいでください。

④洗顔方法の見直し

正しいクレンジングを行っても、洗顔方法が間違っていては、乾燥が悪化します。こすりすぎ・落とし過ぎは、乾燥肌の大敵です。なるべく負担をかけずに落とすべき汚れをしっかり落とす正しい洗顔を守りましょう。

乾燥肌の洗顔は、次のように進めます。

【1】濃密な泡を作る
洗顔を始める前に手を洗い、洗顔料を泡立てます。洗顔料に少量の水を加えながら、指先を茶せんのように動かして、十分な泡を作りましょう。手のひらを逆さにしても落ちないくらいの濃密さが出来上がりのサインです。

【2】Tゾーン・フェイスラインを洗う
洗う順番は、クレンジングと同様です。皮脂分泌の多いTゾーンやフェイスラインに泡をのせ、転がすように洗いましょう。

【3】ほほ・目元や口元を洗う
皮脂分泌が少ない部位は、泡をのせるくらいで大丈夫です。指の腹が肌に触れてしまう場合は、のせる泡が少なすぎます。泡のクッションで刺激を吸収し、なでるように洗うことで摩擦刺激を防ぎましょう。

【4】ぬるま湯でしっかりすすぐ
洗面器にためたぬるま湯を手ですくい、パシャパシャとすすぎます。勢いよく顔にあてず、泡を溶かすようにやさしくかけるのが正しいすすぎのやり方です。熱いお湯を使うのは、乾燥肌を悪化させるリスクがあります。体温よりやや低い30度から34度くらいのお湯がおすすめです。

洗顔が終わったら、速やかに保湿しましょう。お風呂の中でクレンジング・洗顔する場合は、出る直前に顔を洗うと、スキンケアまでの時間を短くできます。

⑤顔ヨガで血行促進

顔の筋肉をよく動かすと血行がよくなって、ターンオーバーリズムを安定させる働きが期待されます。簡単に続けられる血行促進対策として、顔ヨガを試してみましょう。

ここでは、顔ヨガの例として「くちゃくちゃぱ」のやり方を紹介します。

【1】顔をくちゃくちゃにする
目や口をすべて内側に集めるイメージで顔全体をくちゃくちゃに縮めましょう。「しゅー」といいながら息を吐き「これ以上は寄らない」というところまで、顔のパーツを縮めていきます。

【2】顔の筋肉をリラックスさせる
植物の開花をイメージして、顔の筋肉をゆるめます。目や口を「ぱー」と開き、緊張状態をリセットしましょう。

⑥重度の乾燥はバームで保護する

化粧水でケアしたくてもヒリヒリするくらいひどい乾燥トラブルは、皮膚科に相談してください。緊急対応として活用できるスキンケアをあげるとしたら、シンプルなバームです。

バームとは、ミツロウ・ワセリンなど油脂性の高い成分を含む保湿アイテムのことをいいます。体温で溶かし、やわらかくしたものを乾燥が気になる部分に伸ばすと、皮脂膜の代わりができますよね。自力で皮脂膜を張る元気がない肌をいたわり、トラブル悪化を防ぎます。

バームを使ったお手入れは、あくまでも緊急時の対策です。花粉症でピリピリする・真冬の寒さで肌がボロボロといったタイミングで検討できます。ただ、自己判断で対処したことが仇となり、トラブルを悪化させるおそれもあるため、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。

体の乾燥肌対策5つ

顔と比較して忘れがちになるのが体の乾燥対策です。ひざやかかとの粉ふき、手足やお腹のかさつきを予防して、なめらかな素肌を作る対策を紹介します。

①ボディクリームで保湿する

乾燥肌のボディケアは、お風呂上がりの保湿・保護が大切です。体が濡れている状態のままボディクリームを薄く伸ばし、肌内部の水分が蒸発しないように守ります。脱衣所でケアすることが苦手な人は、インバストリートメントを活用しましょう。お風呂場を出る前にトリートメントを塗り、タオルで拭くだけで乾燥トラブルを予防でき、デリケートな肌を保護できます。

それほど乾燥が進んでいない人は、サラサラとしたボディローション・ボディミルクを選択してもよいでしょう。ボディクリームとの違いは、水分・油分のバランスです。油分が多くこっくりとしたテクスチャーのクリームはしっかり保湿したい日に使い、デイリー使いには水分が多く、のびがよいボディローションやミルクを使うといった使い分けが可能です。

②乾燥肌用の入浴剤を活用する

乾燥肌用の入浴剤を活用することでも、お風呂上がりの乾燥を予防できます。セラミドやオリーブ油、スクワラン、ヒアルロン酸などが入った入浴剤は、乾燥肌におすすめです。

「しっとり」「うるおい」といった表記がなされた入浴剤の成分表示を確認すると、これらの成分が見つかるでしょう。とくにおすすめしたい成分をあげるとしたら、セラミドです。乾燥肌に悩む人はセラミド不足になっていることが多く、お風呂の時間を活用して、バリア機能を回復させるお手入れが可能です。

市販の入浴剤が肌に合わない人は、冷蔵庫にある食材や調味料で代用するのもよいでしょう。角砂糖にエッセンシャルオイルを数滴たらすと、やさしい香りの入浴剤を手作りできます。ハチミツや牛乳、日本酒は保湿力が期待され、乾燥肌向きの材料です。手作りの入浴剤なら、自分好みの香りに調整しやすく、ストレス対策にも役立ちます。肌の状態やお疲れ度合いに合わせて、心と身体が喜ぶ入浴剤を楽しみましょう。

③かゆみ対策には薬用入浴剤がおすすめ

体のかゆみが気になるときには、薬用入浴剤がおすすめです。グリチルリチン酸ジカリウム(甘草エキス)といった抗炎症成分が入った入浴剤は、乾燥が原因の肌荒れをケアできます。抗炎症成分×保湿成分の掛け合わせなら、かさつきやかゆみを抑えつつ、なめらかな素肌を目指すことも可能です。

④ボディタオルを使わずに手で洗う

乾燥が気になるときには、スポンジやナイロンタオルの使用を控えて、手でやさしく洗います。これは、顔の乾燥対策とまったく同じ原理です。摩擦ダメージは少ないほうが肌に負担をかけにくく、乾燥肌向きの洗い方と考えられます。

手で洗うといっても、ボディソープを泡立てる前に体につける方法は、間違った洗い方です。スポンジやネットで泡を作って、手のひらにまとめ、全身を洗いましょう。

⑤加湿器で部屋全体を加湿する

乾燥トラブルを悪化させないための湿度は、50〜60%程度が適しています。部屋の広さに合った加湿器を使用し、乾燥肌を守りましょう。加湿しすぎて60%を超えてしまうと、カビやダニが繁殖しやすくなってしまいます。湿度センサーがついたものなら自分で調整してくれて、つけたまま眠っても安心です。

美容目的で加湿器を使う女性が増えてきたこともあって、オフィスで使える卓上タイプ・アロマディフューザーつき・木目調のおしゃれなデザインなど、種類が多様化しています。風邪やインフルエンザ予防も兼ねて、お気に入りの1台を探してみましょう。

背中の乾燥肌対策5つ

皮脂腺が少ない背中は、乾燥トラブルを起こしやすい部位の1つ。寝ている間にかきむしって、血がにじむくらいに傷つけてしまうリスクもあります。そんな背中の乾燥対策は、こんなことから始めてみましょう。

①ミストタイプの化粧水を活用する

ひとり暮らしの女性だと、ボディクリームを塗ってもらうわけにもいかず、お手入れ不足になりがちです。ミストタイプの化粧水なら、手の届きにくい部分もお手入れできて、乾燥トラブルを防いでくれます。

孫の手のような形をした専用アイテムを活用すれば、ボディミルクやクリームを塗ることも可能です。雑貨店や通信販売を探せば、手頃な値段で購入できます。

②キッチンペーパーでローションパック

より重点的にお手入れしたいときには、ローションパックを試してみましょう。ボディローションと水を1:1で混ぜたところにキッチンペーパーを浸して、ストールを羽織るように貼り付けます。ローションパックを行った後にはボディミルクやクリームで蓋をして、水分の蒸発を防いでください。

ローションパックではなく、背中用の専用アイテムを活用しても、同様のお手入れが可能です。デコルテラインや首も合わせてお手入れすると、全身の乾燥ケアが一気にできます。

③パジャマ選びを見直す

就寝中の乾燥が気になる人は、パジャマ選びを工夫しましょう。乾燥肌が気になるときには、ゆったりとしたシルエット・肌触りのよい素材でできたパジャマが適しています。

モコモコした素材のルームウェアは、就寝中には不向きです。汗を吸収しにくく、内部が蒸れてしまうと、あせも・肌荒れの原因となるリスクがあります。綿やシルクなど天然素材のパジャマを選び、肌ストレスを軽減しましょう。最近増えている発熱素材の肌着も、乾燥肌を悪化させる要因です。エアコンで部屋全体を温かくし、寝るときには脱いでください。

④クレイバスでデトックス

垢すりやピーリングは乾燥肌を悪化させるリスクが高く、負担が大きいお手入れです。弱った肌をいたわりながらいらないものを落とすには、クレイバスを試してみましょう。ミネラル豊富なクレイには、余計な皮脂を吸着して落とす働きが期待されます。血行改善・肌荒れ防止・デトックスなど、メリットがたくさんあって、乾燥肌の背中ケアにぴったりです。

クレイの種類によっては色が残りやすいものもあるので、商品説明をよく読んでからお試しください。バスタブの素材によってはクレイバスに対応できないものもあります。

⑤シャンプー・トリートメントの後に体を洗う

シャンプーやトリートメントのすすぎ残しが背中に残ることでも、乾燥肌が悪化します。体の前に髪の毛を洗えば、刺激成分を残してしまう心配がなく、乾燥対策に役立ちます。

摩擦予防のために手洗いがよいといいましたが、背中をうまく洗えず、汚れが残ってしまうことは肌にマイナス。柄が長いタイプのボディブラシを活用して、隅々まで洗いましょう。やわらかい豚毛のブラシなら肌の負担になりにくく、背中をきちんときれいにできます。

洗うときのポイントは、ゴシゴシこすらず、小さな円を描くように動かすことです。ヒリヒリするくらいまでこするのはよくないので、力の調節が必要です。使い終わったブラシは水気を切って、洗面所で保管しましょう。

生活習慣の乾燥肌対策5つ

顔と体、背中とどんな部位にも共通する乾燥肌対策として、生活習慣の見直しが不可欠です。睡眠・食事・運動と日々の生活の中で気をつけたい内容を順番に見ていきます。

①質の高い睡眠をとる

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復を助けるとともに、バリア機能正常化を促してくれる美肌の味方です。成長ホルモン分泌がとくに活発になる入眠直後の3時間で深い眠りを得られるように、睡眠環境を工夫しましょう。簡単に始められる対策として、次の内容が考えられます。

・ベッドの中では、スマホを見ない
・寝室にテレビを置かない
・リラックスできるアロマを使う
・遮光カーテンで外の光をシャットアウト

睡眠を中心に生活習慣を見直すことが乾燥肌対策の近道です。

②加工食品や嗜好品をなるべく控える

コンビニのお弁当やレトルト食品などには、添加物が使われています。添加物がたくさん入った食品を食べ続けると、体内の老化を招く活性酸素が増えてしまって、乾燥を悪化させる原因です。増えすぎた活性酸素はコラーゲンを攻撃し、シワやたるみを招いてしまうリスクがあります。

砂糖や脂質のたくさん入ったお菓子やデザートも、できるだけ避けたい食品の1つといえます。「肌の糖化」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。脂質や糖と肌のタンパク質が結びつき、コラーゲン組織が破壊されると、乾燥肌を悪化させるリスクがあります。お菓子やデザートは習慣として食べるものではなく、あくまでも「ご褒美」です。「週に1回まで」など自分なりのルールを決めて、量と頻度を制限しましょう。

③食事内容の見直し

乾燥肌を改善するには、食事内容の見直しが欠かせません。意識的に摂りたい栄養素は、タンパク質・ビタミン・オメガ3の3つです。

タンパク質: タンパク質不足になると、肌のかさつき・髪のぱさつき・爪が弱いなどのトラブルが起こります。1食あたり片手ひと盛り程度を目安に、十分な量を摂取しましょう。

ビタミン:天然保湿因子の生成を促すビタミンA・体の酸化を防ぐビタミンC・肌代謝を助けてくれるビタミンEは、美肌作りを助けてくれます。緑黄色野菜や緑茶、ナッツなどビタミン豊富な食品をバランスよく摂りましょう。

オメガ3系脂肪酸:亜麻仁油やエゴマ油、青魚に含まれる良質な脂質です。セラミドや細胞膜の材料となって、健康な肌への生まれ変わりを助けてくれます。

④定期的なストレス発散

仕事や家事のストレスが溜まったときに乾燥肌が悪化する人は多いものです。ストレスを受けると交感神経が優位になるので、血流が脳へと集中します。肌の健康維持は二の次・三の次となってしまって、乾燥トラブルを悪化させるリスクがあります。

ストレスが原因の乾燥肌を改善するには、自分のために使う時間を作り、好きなことを楽しみましょう。飲み過ぎにだけ気をつければ、友人や同僚とお酒を飲む機会を作ることもリフレッシュに役立ちます。「取り立てて趣味がない」という人は、目覚まし時計をかけずに寝る・景色のよい場所でゆっくり過ごすといったことでも大丈夫です。「特別なことをしなければいけない」と自分を追い込まず、息抜きする時間を持ちましょう。

⑤適度な運動で汗をかく

負荷の強すぎない有酸素運動をしばらく続けていると、サラサラした汗が出ます。この汗は、適度な水分を肌表面に補給して、乾燥を予防してくれるもの。継続することで血行がよくなると、乱れた代謝リズムが正常に近づき、乾燥しにくく刺激に負けない肌を作る働きが期待されます。

まとめ

部位別の乾燥肌対策とうるおう肌を作るための生活習慣について紹介しました。すべてを一気に実践することができなくても、取り入れやすいものから順番に試していけば大丈夫です。すぐに変化が見られなくても諦めず、まずは1ヶ月続けてみましょう。