監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

ニキビが治っても、クレーターやしこりになって残ることがあります。今回はニキビ跡の中でも固いしこりになるニキビ跡について、しこりの中身・原因・対処法、予防法などを紹介します。

ニキビ跡がいつまでも消えないからと、あきらめるのはまだ早いです。この記事では、時間はかかるけれど自分でケアする方法から病院で早く治す方法まで解説します。

またこの記事を読んで、ニキビ跡ができる理由を知るとニキビに対する考え方も変わり、炎症による肌へのダメージを最小限にとどめてニキビ跡を作らないようにケアする方法も学べます。

ニキビ跡のしこりの状態とは?中身は?

ニキビの炎症が引いた後も炎症により受けたダメージは残り、これをニキビ跡と呼んでいます。ダメージの大きさにより、回復までの時間が異なったり、自然回復に任せるだけでは元に戻すのが難しくなったりします。

ニキビ跡には色素沈着、クレーター、しこり、ケロイドなど、いくつかの種類があります。今回はこれらの中から、ニキビ跡のしこりについて詳しく解説します。

ニキビ跡のしこりは触ると固く、表面が膨らんだ状態になっています。しこりは、ひどい炎症により大きなダメージを受けた皮膚が過剰に細胞を作った結果、盛り上がったためです。しこりのことを医学的には肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)、硬結(こうけつ)などといいます。

クレーター同様、繰り返し炎症が強く起こった場合などに生じます。しこりの色は赤や白があり、いずれも固く、盛り上がっています。

ニキビ跡がしこりになる原因4個

ニキビ跡がしこりになる原因は、主に4つあります。いずれの原因においても、強い炎症とその繰り返しに対する身体の反応によってニキビ跡のしこりになります。それぞれの原因について次に詳しく解説します。

1. ニキビに強い炎症があった

炎症は身体の防御反応のひとつです。アクネ菌その他の細菌が異常繁殖すると、身体を守るために炎症が起きて細菌など害になる物を排除しようとします。その際に正常な皮膚組織にも、ダメージが及びます。ニキビによる炎症が強い程、ダメージが皮膚に広く深く及んでいきます。

2. 炎症が長く続いた

炎症は身体の防御反応なので、身体にとって害になるものが排除されると炎症は次第に鎮まるのですが、炎症が長く続くとそれだけ肌細胞のダメージも大きくなります。

ニキビが気になるからといって指で触ると炎症が長く続きます。髪や衣類などがニキビに常に触れるような状態にあっても、炎症が長く続くので気を付けましょう。

3. 同じ場所に繰り返し炎症が起きた

同じ場所で繰り返し炎症が起きると、完全に肌細胞が修復されないうちにまた細胞がダメージを受けてしまいます。そうすると炎症を繰り返すたびに、肌が受けるダメージも大きくなっていき、治りにくくなります。

4. 二次感染があった

ニキビを触ったり無理にニキビを潰したりすることで、指についている細菌により二次感染して、ニキビの炎症を悪化させてしまいます。手をきれいに洗ったつもりでも、爪の中に細菌が残っていると二次感染する恐れがあります。

これらの原因でニキビの炎症が悪化すると皮膚のダメージが深部まで及び、肌を再生しようと細胞を過剰に生成してしまう結果、しこりになるのです。

ニキビ跡のしこりの対処方法7個

ニキビ跡が回復するまでには長い時間を要し、場合によっては自然に任せているだけでは回復しないこともあります。

1. 保湿ケア

保湿はスキンケアの基本であり、自分でできるケアの1つです。ニキビ跡のしこりは、うまく行けば時間をかけて新しい皮膚が生まれてくるたびに押し上げられ、いずれは排出されます。

しかし必ずうまく行くという保証はない上に、かなりの時間が必要です。回復途中に同じ場所にまたニキビができてしまうと、これまでの努力が台無しになる可能性もあります。早くしこりを取りたい場合には、セルフケアだけでは限界があるといえそうです。

2. 美肌作りの食習慣

新しい肌細胞を作るためには、材料となる栄養が必要です。タンパク質・脂質・ビタミン類など、様々な栄養素をバランスよく摂取できるような食習慣を作りましょう。

間違ったダイエットなどで栄養が偏ると肌荒れすることからわかるように、栄養バランスが悪いと肌の再生が上手くいかなくなります。

食事では即効性を感じることがないのでおろそかにしがちですが、時間をかけるからこそ手に入れられる美肌は貴重です。

3. 運動で代謝を高める

肌は私たちの身体の一部であり、細胞でできています。細胞が必要な栄養素や酸素は、血液が運びます。血液循環が悪いと肌の細胞に栄養が行き届かなくなり、細胞が老化していきます。そうなると肌の新陳代謝も鈍るので、ニキビの治りも遅くなるでしょう。

運動することで体力がアップし、血液循環も良くなって健康になります。美肌は健康でなければ手に入れられません。化粧品や美顔器などに目が行きがちですが、美の土台となる健康にも目を向けることが必要です。

運動はウォーキングなどの有酸素運動やヨガなどがおすすめです。ハードな運動をする必要はなく、体調に合わせて適度な運動を継続することが大事です。

4. 十分な睡眠

寝ている間に分泌される成長ホルモンは、子どもだけではなく大人になっても大事な役割があります。大人にとっての成長ホルモンは代謝を高め、日中ダメージを受けた細胞の修復を行います。

睡眠不足が続くと成長ホルモンの量が減り、肌のダメージ回復が遅れてしまいます。ニキビ跡のしこり改善を願うのであれば、できるだけ睡眠時間を取れるよう努力することも必要です。

5. ピーリング

ピーリングには自宅でできる緩やかなピーリングと病院で行うケミカルピーリングがあります。自宅で行うピーリングは病院で行うよりも緩和な効果であるとはいえ、使い方を間違うと肌トラブルになる可能性のあるスキンケアです。肌のコンディションが良くないときには、使わないほうがよいでしょう。

またピーリングは頻繁に行うものではなく、使い方を間違うと肌に深刻なダメージを与えるおそれがあるので、注意が必要です。

病院でニキビ跡のしこりを取る治療ではケミカルピーリングはメインの治療法ではなく、次に紹介する病院での治療法をメインにして、必要に応じてケミカルピーリングを組み合わせて積極的にしこりを除去する場合に使われています。

6. フラクショナルレーザー

病院で行うレーザーを使った治療法です。フラクショナルレーザーは、皮膚に細かい穴をあけることにより、肌の再生を促してターンオーバーによってしこりを排除します。

フラクショナルレーザーを行い、ターンオーバーを促すためにケミカルピーリングを併用することもあります。

7. トラニスト服用

トラニスト(商品名:リザベン)は飲み薬で、病院で処方される医療用医薬品です。ケロイドや肥厚性瘢痕の治療に使われています。レーザー照射と併用することもあります。トラニストは保険適応の治療薬です。

ニキビの予防対策4個

ここまではニキビ跡のしこりの原因や治療法について説明してきました。しかしニキビ跡のしこりを作らないために最も大事なことは、ニキビができたらできるだけ早く炎症を鎮めて悪化させないこと、さらにはニキビを作らないようにすることです。

そこで次に、ニキビの予防対策について紹介したいと思います。

1. 適度な洗顔

肌を清潔に保ち、毛穴に汚れや角栓が詰まらないように気を付けなくてはなりません。しかし洗顔のやり過ぎは肌が乾燥し、毛穴詰まりの原因になるので、洗顔料を使う洗顔は1日に1回、多くて2回までにとどめるべきです。

洗顔の際はゴシゴシ擦らず、優しくなでるように洗うだけで十分です。力を入れると肌を傷つけるからです。

2. 保湿

肌の乾燥は毛穴詰まりの原因になり、ニキビの原因にもなります。乾燥で肌が固くゴワゴワにならないよう、しっかりと肌をうるおしてやわらかな肌を維持するようにしましょう。

そのためには、洗顔後直ちに化粧水・乳液またはクリームで保湿を行いましょう。洗顔・入浴後は最も肌が乾燥するということを忘れないでください。洗顔・入浴後は皮脂が洗い流されて皮膚が乾燥しやすくなっているので、化粧水だけではなく油分を含む乳液やクリームなども必ず使いましょう。

ニキビ肌の人は特に、油分が含まれたものを避けたいと思うかもしれませんが、肌が乾燥することで皮脂分泌が活発になるので、それを防ぐためにも適度な油分の補給は必要です。

3. 早めのニキビ薬

ニキビを作らないようにすることがベストですが、炎症を悪化させたり長引かせたりしないよう早めにニキビ薬を使うことをおすすめします。

炎症が進み、深く広い範囲にまでダメージが及ぶ前のほうが、ニキビ薬の効き目も現れやすいです。ニキビ跡を作らないためにも、早めの対処を心掛けましょう。

4. 生活習慣の改善

ニキビが治ってもまたすぐにできてしまう人は、日ごろの生活について振り返ってみるのも良いでしょう。肌のコンディションは心身の状態によって変化します。

寝不足・食生活の乱れ・運動不足になっていると、肌が荒れてターンオーバーが乱れます。すると毛穴が詰まりやすくなり、体調によっては皮脂分泌も増えてニキビ菌が繁殖しやすい環境ができてしまいます。

仕事が忙しく外食が続くと、栄養バランスが崩れてニキビができやすくなります。栄養面を考えた食事ができるよう、簡単に作れる野菜サラダや野菜スープ、毎食後に少し果物を食べるなど工夫をしてみましょう。

食事面の改善でどうしても補いきれないときは、不足がちな栄養素をサプリメントで摂取するのもおすすめです。

まとめ:ニキビ跡のしこりは身体のトータルケアが必要

ニキビができないようにするのがベストですが、もしニキビができてもこれからはあわてないで正しく対処することができるでしょう。早めの対処と継続的なケアで、いつまでもきれいな肌でいられると良いですね。

そのためにはスキンケアだけにとらわれず、身体全体をケアするという視点が大事だということもわかっていただけたと思います。あきらめず前向きな気持ちで明るく過ごすことも必要です。まずはできることから始めていきませんか。