監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

顎のしこりニキビは、炎症がひどく進み、重症化したニキビです。誤った対処で負担をかけてしまうと、治りが遅くなる上に消えないニキビ跡が残ってしまう事態となりかねません。よかれと思って行ったお手入れで症状が悪化すると、泣きたい気持ちになりますよね。

この記事では、顎のしこりニキビの治し方と予防対策を紹介します。ニキビを繰り返さないきれいな肌を目指すための基礎知識として、有効に活用下さい。

顎のしこりニキビが繰り返す・痛い…

顎ニキビは、顔のニキビの中でも目立ちやすく、人目に付く部位と言えます。

ただでさえ目立つ場所にニキビができてしまった上にひどい痛みを伴う。「ようやく治った」と思っても、気付けばまた同じ場所に再発する。睡眠不足が続いた時や対人ストレスの強い時、生理前後など特定のタイミングでしこりニキビを繰り返す、女性もいます。

さらに、顎のしこりニキビは、激痛を伴うことも多い点が悩みの種です。メイクや洗顔を行う際にうっかりニキビに触れてしまうと、ひどい痛みが走ります。

「せめて、赤みを隠したい」とファンデーションを厚塗りしたりカバーテープを使用したりして、負のループに陥ることもしばしば。

しこりニキビが気になるとトレンドメイクに挑戦しても気持ちが晴れず、コンプレックスを抱える女性も多くいます。

しこりニキビとは?

しこりニキビは、白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビが悪化し、大きく腫れ上がったニキビです。言わば、ニキビの最終形態のようなもの。毛穴の周辺まで炎症が広がり、硬いしこりができてしまいます。

この「しこり」は、肌の深い部分まで届いてしまった傷跡を修復すべく作られた細胞の集まりです。ダメージが深刻であるほど多くの細胞を作り出し、修復を急がなくてはなりませんから、大きなしこりができてしまいます。

なお、しこりニキビと粉瘤は、全く別のトラブルです。ニキビのしこりはどれほど大きくなっても数ミリ程度に納まる可能性が高く、粉瘤ほどの大きさにはなりません。粉瘤を放置するとさらにしこりが大きくなって、数センチ以上の大きさに悪化するケースもあります。

しこりニキビか粉瘤かの判断に迷う場合は皮膚科を受診し、専門家に相談しましょう。

顎のしこりニキビの原因3個

これほどまでに私たちを悩ませるしこりニキビの原因は、一体どこにあるのでしょうか。また、「なぜ他の部位ではなく、顎にできてしまうのか」という疑問を持つ人もいることでしょう。顎のしこりニキビを繰り返す原因は、大きく3つ考えられます。

1. ホルモンバランスの乱れ

まず、ホルモンバランスの乱れです。顎のニキビは、ホルモンバランスの乱れによって増加することが多く、生理周期や更年期、過剰なストレスなどの影響を顕著に受けます。

ホルモンバランスの乱れは、皮脂分泌量が増加したり水分不足を起こしたりする原因の1つ。肌の中の水分・油分のバランスが崩れてしまうと刺激に対する抵抗力も下がりますので、アクネ菌が繁殖しやすく、ニキビリスクは増加します。

2. 誤ったニキビケア

次に、ニキビケアの誤りです。初期ニキビの段階で適切なニキビケアを行い、重症化を阻止することが可能であれば、しこりニキビができることはありません。

以下のようなお手入れを行うことでトラブルをこじらせてしまうと、しこりニキビができてしまいます。

・思春期ニキビ用の洗顔料でゴシゴシ洗う。
・油分を含む基礎化粧品の使用を辞めて、さっぱり系の化粧水しか使わない。
・顎ニキビをマスクで隠す。
・油取り紙をこまめに使う。

顎のしこりニキビを含む大人ニキビに対するケアと思春期ニキビに対するケアは、根本的に異なります。思春期ニキビ用の洗顔料を使用したり、油分を抑えるお手入れに注力したりといった10代や20代で行ったニキビ対策は卒業し、大人ニキビに適したケアを行うことで、しこりニキビを予防しましょう。

3. 酸化ストレス

酸化ストレスを感じた身体は活性酸素を発生させて、自分自身を守ります。活性酸素は、コラーゲンやエラスチンを破壊し、しこりの悪化を招く1つの要素。酸化ストレスが高いほどしこりニキビができるリスクも高く、トラブルを繰り返す原因です。

◎酸化ストレスを高める要素

紫外線ダメージ・排気ガスや放射線の影響・仕事や人間関係のストレス・過剰な飲酒・喫煙習慣・栄養バランスの悪い食事・運動不足

顎のしこりニキビの治し方

顎のしこりニキビをなるべく早く、ニキビ跡を残すことなく治すためには、医療機関への相談をおすすめします。医療機関で行う治療の選択肢は、以下のような内容です。

保険適用塗り薬外用抗菌剤やコメド治療薬、ステロイド外用剤などの処方を受け、一定期使用します。
飲み薬ニキビの状態に応じて、ビタミン剤や抗生物質、漢方薬、ホルモン剤などが処方されます。塗り薬と飲み薬を併用するケースも多く、医師の指導に従って、一定期間継続します。
切開大きなしこりにメスを入れて、取り除く治療法です。メスを入れる範囲が広い場合は手術跡が残ってしまうこともありますので、担当医師と相談し、必要性を判断しましょう。
保険適用外ピーリング医療機関専用のピーリング剤を使用し、ターンオーバーを促すことで、ニキビの改善を目指します。
レーザー治療特殊なレーザーマシンによってごく小さな傷をつけ、新しい肌への生まれ変わりを促進する治療法です。

顎のしこりニキビの予防対策7個

しこりニキビの再発を防ぐためには、日々の予防対策が大切です。以下では、スキンケアや生活習慣の工夫による、顎のしこりニキビ予防対策7個を紹介します。

1. 日々の洗顔を正しく行う

日々の正しい洗顔は、ニキビ予防対策の王道です。以下の手順に従って、1日2回の泡洗顔を実践し、ニキビの進行・再発を予防しましょう。

【1】洗顔料を泡立てる
適量の洗顔料を手のひらに出し、十分に泡立てます。空気と水分、洗顔料をよく混ぜ合わせ、きめ細やかな泡のフォームを作りましょう。

【2】部位ごとに時間差で洗顔する
皮脂分泌の多い部位から順番に泡を乗せ、泡のクッションを利用して、洗顔します。ニキビのできやすい顎周りはとくに優しく、手のひらと顔が触れないように洗って下さい。

【3】ぬるま湯ですすぐ
手のひらに溜めたぬるま湯で顔全体をすすぎます。洗顔料や顔の汚れのすすぎ残しは、ニキビを招く原因です。すすぎ残しがないように意識しながら、丁寧なすすぎを行いましょう。

【4】清潔なタオルで顔を拭く
タオルを優しく顔に当て、水分を吸収させます。汚れたタオルを使用したりゴシゴシこすったりする方法は肌に負担をかける原因。洗面台のタオルは毎日新しいものに変えて、清潔なものを使って下さい。

2. 十分に保湿を行う

洗顔直後の肌はバリア機能が低下し、乾燥しやすい状態です。保湿化粧水や美容液、乳液(クリーム)を使用し、水分・油分のバランスを整えることにより、バリア機能を強化しましょう。

十分に保湿を行うためのポイントは、以下2点です。

【1】化粧水・乳液(クリーム)をセットで使う
「化粧水のみ」「乳液のみ」といったお手入れは、肌の乾燥を悪化させ、ニキビの悪化・再発を招いてしまうリスクがあります。水分補給を行う化粧水・適度な油分の補給を行う乳液(クリーム)をセットで使い、刺激に対する抵抗力を高めましょう。

【2】ニキビの悪化・予防に役立つ基礎化粧品を活用する
「ノンコメドジェニック」「コメドジェニックテスト済」といった記載のある基礎化粧品は顎のニキビを繰り返す肌質でも取り入れやすく、再発予防に貢献します。しこりニキビの治療で医療機関にかかっていれば、担当医師に相談し、肌質に合う基礎化粧品の紹介を受ける方法もおすすめですよ。

3. 油分の多いクリームや美容オイルの重ね塗りを控える

十分な保湿を行うこととリッチな質感のクリームや美容オイルを何度も重ねて、過剰な油分を与えることは異なります。しこりニキビができやすい顎周りに必要以上の油分を補うことは避け、適量使用に留めましょう。

顎に限らず大人ニキビができやすい肌質の人は、肌に合わない基礎化粧品使っていたり、油分の多い基礎化粧品を必要以上に重ねたりと、誤ったお手入れを行っていることがしばしば。

肌に合う基礎化粧品の種類や適量は季節やライフスタイルによっても変わりますので、定期的な見直しを行い、アクネ菌に負けない肌を育てましょう。

4. 紫外線対策を万全に行う

紫外線刺激は、活性酸素を発生させて、ニキビの悪化を招いてしまうリスクがあります。適切な強さの日焼け止めを毎日塗り、酸化ストレスを下げることで顎のニキビを予防しましょう。

◎日焼け止めの強さの基準

日常生活SPF10〜30、PA+から++
短時間の屋外レジャーやスポーツを楽しむ日(ウォーキングなど)SPF30~50、PA++から+++
炎天下で本格的なスポーツ・レジャーを楽しむ日(マリンスポーツやハイキング、サイクリングなど)SPF50、PA++++

日焼け止めの使用と併行し、以下のような対策を行うことでも、紫外線刺激の軽減は可能です。

・つばの広い帽子や日傘を使う。
・サングラスを着用し、目から入る紫外線を予防する。
・自動車の窓ガラスにUVカットフィルムを貼る。
・ラッシュガードやカーディガンを羽織る。
・日差しの強い時間帯の外出を控える。

ニキビのできた状態で大量の紫外線を浴びると、色素沈着を起こしてしまうリスクがあります。傷跡を残さずにきれいにニキビを治すためにも、日常的な紫外線対策を徹底しましょう。

5. 規則正しい時間にバランスの良い食事を摂る

顎のしこりニキビを予防するための食事ルールは、バランス良く、規則正しい時間に食べることです。脂質の多い外食メニューやインスタント食品、多くの糖分を含む嗜好品は適度に抑え、主食と主菜・副菜を含むメニューへ切り替えましょう。

主菜に含める食材は、魚や肉、卵といったタンパク質です。健やかな肌を育む原料として働き、ニキビを繰り返さない状態への生まれ変わりを後押しします。副菜には、ビタミンやミネラルを豊富に含む緑黄色野菜や淡色野菜、海草類を盛り込みましょう。

ご飯やパン、イモ類といった炭水化物の取り過ぎは禁物ですが、全く取らないこともまたエネルギー不足を招きます。極端な糖質制限など、エネルギー不足のリスクを高める食べ方は避けて下さい。

6. 適度な運動習慣を作る

適度な運動習慣は、自律神経の働きを調整し、ホルモンバランスを整えることに貢献します。自分自身の体力に応じた負担の軽い運動を日常的に実践しましょう。

「どのような運動を行えば良いか、迷ってしまう」という人には、ウォーキングやステップ運動など、一定のリズムで続けるものがおすすめ。一定のリズムを刻む運動は、不安な気持ちやイライラする感情を和らげる神経物質「セロトニン」の分泌を促します。

運動を始めてからセロトニンが分泌され始めるタイミングまでにかかる時間は、5分程度。20分から30分程度で脳内のセロトニン濃度がピークに達し、それ以降は低下します。

どれほど忙しい人でも、1日あたり20分から30分程度の運動であれば、続けることができるのではないでしょうか。出社前や昼休みなど、ライフスタイルに無理のない時間を選択し、日々の習慣として継続しましょう。

7. 夜更かしを止める

夜更かしする日が続くと、脳の中のホルモンバランスをコントロールする部分の働きに不具合が生じ、ニキビリスクを高めます。毎日同じ時間に起床し、日中はエネルギッシュに活動するといった規則正しい生活へと切り替えましょう。

「夜更かしが止められない」「寝付きが悪く、眠りたくても眠れない」という人は、次のような対策を試してみてはいかがでしょうか。

・自宅への持ち帰り仕事を止めるなど、オンとオフを切り替える。
・起床後すぐに日光を浴び、体内時計をリセットする。
・スマホやパソコンを寝室に持ち込まない。
・休日の寝だめを避け、平日と同じ時間で行動する。
・ベッドの上のストレッチなど、寝る前の儀式を作る。

眠れないままベッドの中であれこれ考え、不安な気持ちで過ごすことは、余計に寝付きを悪くする原因の1つです。

「イライラして目が冴える」「不安が強く眠れない」といった時は気が鎮まるまで寝室以外の部屋で過ごし、自分の気持ちを一旦リセット。気持ちの整理が付いたところで改めて寝室へ移動し、朝までぐっすり眠りましょう。


まとめ

顎のしこりニキビの原因と医療機関で行う治療、再発・悪化を防ぐための対策を紹介しました。「ニキビ程度で医療機関に行くことは恥ずかしい」とは考えず、専門家の意見をあおぐことが、滑らかな美肌を実現する近道。

誤ったセルフケアを続けて症状を悪化させてしまうと、治療期間が長引きます。できてしまったしこりニキビは早く治す・治った後は予防対策を徹底するといった発想を持ち、肌トラブルに悩まないきれいな肌を目指しましょう。