監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

角質取りというと真っ先に思い浮かべるのは、足のかかとではないでしょうか。かかとがカチカチになると、軽石で擦って落としたりスクラブで磨いて落としたり、角質を溶かす成分でピーリングしたりします。

顔も同じように、角質が溜まります。顔の角質がたまると、乾燥・くすみ・ごわつきやざらつきなどの肌トラブルにつながるため、角質ケアが必要になります。

この記事では顔に角質がたまる原因、顔の角質取りの必要性や方法・角質がたまらないようにする方法を紹介します。

顔の角質とは?

皮膚は大きく分けると3層からなり、一番上から表皮、真皮、皮下組織となっています。このうち一番上にある表皮はさらに4層にわかれていて、上から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層という構造になっています。

角質層を構成する扁平な形の角質細胞は角質と呼ばれ、表皮の一番奥にある基底層から生まれたケラチノサイトが新陳代謝によって上に押し上げられてくる過程で変化したものです。

角質はこのあと垢として剥がれ落ちるのですが、基底層で細胞が生まれて剥がれ落ちるまでの周期には個人差があって、28~45日間と言われています。これをターンオーバー周期といいます。

古い角質は自然に剥がれ落ちるのですが、いつまでも剥がれ落ちずに残っていると角質層は厚くなります。このような場合、角質取りをしなければ肌がくすんで見えたり肌トラブルの元になったりします。

古い角質がたまる原因4個

古い角質がずっと残ったままになる原因は4つあります。健康な肌は一定の周期で細胞が入れ替わり、常にきれいな肌を保つことができています。しかし肌が生まれ変わるために必要な条件がそろわないときには、このターンオーバー周期が乱れ、古い角質がたまってしまいます。以下、4つの原因について説明します。

1. 乾燥・日焼け

肌は身体の内と外を隔てて、外の環境から身体を守る働きがあります。健康な肌は皮脂・天然保湿因子(NMF)・細胞間脂質で構成された膜(バリア機能)により、紫外線や細菌などの有害物質から身体を守り、体内の水分が蒸発するのを防ぎます。

しかし肌が乾燥するとバリア機能が低下するため、外の有害物質が刺激になり肌に炎症を起こしたり肌が乾燥したりします。そこで肌は身体を守ろうとして、角質が硬く厚くなるのです。

日焼けも肌の乾燥を引き起こすので、注意が必要です。日焼けをすると肌が乾燥する理由は、肌が紫外線を浴びると、角質層に存在するタンパク質がカルボニル化(変性)し、それが活性酸素を生成しながらさらに他のタンパク質をカルボニル化するからです。

カルボニル化したタンパク質が多いと、角質層の水分が蒸発する量も多くなることが近年の研究で分かっています。

日焼けによる乾燥も同じく、肌が乾燥から身体を守ろうとする防御反応により、古い角質がたまります。

2. 摩擦

日常的に肌を摩擦する習慣がある場合は要注意です。

たとえば洗顔時にタオルでゴシゴシ擦って拭く、拭き取るタイプのメイク落としを使う、化粧水をつける時にコットンを使って擦るなど、肌を擦ることが日常的にあるような場合、肌の摩擦によりバリア機能が損なわれたり角質層の表面が傷ついたりすることがあります。

そうなったとき、肌の防御機能が働いて肌からの水分蒸発を防ぐために、角質を厚く積み上げて本来の機能を保持しようとします。摩擦により古い角質がたまる理由もまた、乾燥と同じく肌の防御機能なのです。

3. 生活習慣の乱れ

栄養バランスが偏った食生活、慢性的な睡眠不足、運動不足、喫煙、ストレス、飲みすぎなど生活習慣が乱れることで、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。周期が短すぎても長すぎても、角質はたまります。

表皮の細胞は、表皮の一番奥にある基底層で作られ一定の周期で徐々に角質層に押し上げられていきますが、その過程で表皮のうるおい成分となる天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質が作られます。

ターンオーバーの周期が乱れると、これらのうるおい成分が正常に作られないために、肌が乾燥してしまいます。乾燥するとこれまでの説明と同じように、角質がたまってしまいます。

生活習慣が乱れるとターンオーバー周期も乱れる理由

では次に、生活習慣の乱れとターンオーバーの関係について説明します。

肌の細胞を作ったり維持したりするためには栄養が必要であり、その栄養は血液が運んでいます。

まず栄養は食事から体内に取り込まれるので、栄養バランスの取れた食事を摂ることが必要です。また栄養を細胞に届けるのは血液なので、血液循環を良くして確実に栄養を細胞に届けることも必要です。

私たちの身体は、自分の意思で動かせる部分と動かせない部分があります。たとえば運動をするとき、必要な部分の筋肉を動かすことができます。しかし、内臓や皮膚の活動などは自分の意思では動かせず、交感神経と副交感神経が働くことで動くのです。

運動は自分の意思でできることですが、ストレスや睡眠不足、飲みすぎや喫煙などで起きる身体の変化は交感神経と副交感神経の働きにより起こります。

生活習慣が乱れていると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて体調不良になります。血液循環が悪くなることで疲れを感じたり様々な病気になったりもします。血液が細胞に行き届かないため、肌のターンオーバーが乱れてしまうのです。

4. 加齢

年をとると身体の機能が低下してきます。新陳代謝も低下するので、肌のターンオーバー周期も年齢とともに長くなってきます。

女性ホルモンが低下することも重なり、女性の肌は乾燥しやすくなっていきます。そのため肌が自己防御のために角質をためて水分の蒸発を防ごうとします。

顔の角質取りをする理由と必要性

角質取りが必要なかかとは、触るとカチカチまたはゴワゴワしていると思います。このような状態のかかとは、角質が分厚く硬くなっています。通常、顔がかかとのようにカチカチになることはないですが、顔にもかかとと同じように角質があり、その角質が分厚くなり硬くなるのです。

顔の角質が厚くなると、ざらつきやごわつきを感じます。また角質が厚いと顔色がくすんで見えますし、その上乾燥して硬くなっているため毛穴が詰まりやすくなります。毛穴が詰まるために毛穴が大きく目立って見えるし、毛穴の外に排出できない皮脂が毛穴にたまってニキビにもなりやすいです。

このような肌トラブルを防ぐためには、角質がたまりすぎているときに角質取りをする必要があります。やり過ぎもまたトラブルの元になりますので、適度に角質取りをすることが大事です。

顔の角質取りのやり方5個

顔の角質取りが必要であることと、やり過ぎは良くないことがわかっていただけたら、次は角質取りの方法を説明します。

1. スクラブ入り洗顔料を使う

最も手軽なのはスクラブ剤が入った洗顔料で洗顔をすることです。スクラブ剤にはたくさんの種類がありますが、大きくわけると天然スクラブと合成スクラブがあります。

天然スクラブは具体的な成分名で言うとスクロースやコーンスターチのような糖類、海塩などの塩類、クルミ殻粒やオートミールなどの植物種子・皮、シリカなどの鉱物、セルロースなどの繊維があります。合成スクラブはポリエチレンなどの樹脂、合成ワックスなどがあります。

使い方は普段の洗顔と同じですが、以下の3点について注意して使いましょう。

●強く擦るとスクラブで肌に傷がついてしまう可能性があるので、優しく洗うこと
●スクラブを肌に残さないように、しっかりとすすぐこと
●目にスクラブが入らないよう、すすぎの時は目を閉じること

2. 酵素洗顔を使う

同じく洗顔料で手軽に角質取りができるのは、酵素入りの洗顔料を使うことです。

酵素入りというのは、タンパク質や脂質を分解する酵素が入っているという意味です。角質や角栓はタンパク質や脂質で構成されているので、それらを溶かす酵素入りの洗顔料を使うことで、角質取りができるのです。

タンパク質分解酵素は、パパイン酵素やエラスターゼなどがあります。脂質分解酵素はリパーゼやサンゴ酵素などがあります。スクラブ入りと同じように、いくつか注意事項があります。

●酵素はタンパク質を溶かすので、毎日使うと肌への刺激になるので角質取りのときだけ使う
●肌に洗顔料が残らないよう、しっかりとすすぐこと

3. ふき取り化粧水を使う

角質取りにはふき取り化粧水も使うことができます。普通の化粧水とふき取り化粧水の違いは、普通の化粧水が肌の保湿をメインの目的にしているのに対して、拭き取り化粧水は肌の角質・汚れをふき取ることがメインの目的になります。そのため配合成分の種類や配合量が少し違います。

AHA(アルファハイドロキシ酸、またはフルーツ酸)を配合している化粧水にはピーリング作用があり、古くなった角質を取り除くことができます。AHAにはリンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、酒石酸などがあります。

ふき取り化粧水の使い方は、洗顔後すぐに化粧水をコットンに染み込ませ、ふき取ります。ふき取り化粧水を使用するときにも、注意事項があります。

●コットンに染み込ませる化粧水の量が少ないと、摩擦が大きくなり肌を傷めるのでメーカーが推奨する適量をコットンに取ること
●ふき取りのとき、力を入れすぎると肌を傷めるので注意すること

4. 美顔器を使う

洗顔やふき取りが基本になりますが、今一つ効果が感じられない場合には、美顔器をつかうとより効果が感じられる場合があります。角質を取るための美顔器には、超音波を使ったウォーターピーリングや、スチーマーなどがあります。

ウォーターピーリングは超音波振動を利用して、毛穴に詰まった汚れを落としたり古くなった角質をはがしやすくしたりする効果があります。スチーマーは蒸気で乾燥して硬くなった角質を柔らかくすることにより、角質をはがれやすくします。

●美顔器の使用前には必ず説明書に目を通し、使い方や注意事項を確認すること

5. 医療機関でのケミカルピーリング

ふき取り化粧水に含まれているピーリング効果のあるAHAは、低濃度なので家庭で使うことができますが、その分劇的な効果は見られません。

医療機関で行うケミカルピーリングは、家庭用とは違いかなり強い酸を使って角質を剥がします。ニキビやニキビ跡の肌トラブル解消のために行なわれます。

●強い薬品を使用するので、副作用のリスクについて医師の説明をしっかり聞いて理解してから行うこと

角質がたまらないようにする予防対策5個

角質を取る方法がわかったとしても、できれば角質はたまらないで欲しいですね。そこで角質がたまらないようにするための予防法をご紹介します。

1. 洗顔前の蒸しタオル

朝少し時間がある日は、洗顔前にタオルを濡らして電子レンジでチンして蒸しタオルを作り、口と鼻を塞がないようにして顔の上に数分のせるだけのスチームパックがおすすめです。

タオルから出る蒸気でゴワゴワになった角質がふんわり柔らかくなるので、その後の洗顔で角質が落としやすくなります。

2. 丁寧な保湿

洗顔後の保湿ケアを丁寧にするだけでも予防効果があります。乾燥や角質がたまることによるくすみが出やすい場所は、特に念入りに保湿するようにしましょう。

手で化粧水や乳液をつける場合には、指先を上手く使って顔全体、特にいつも乾燥しやすいと感じる部分を中心に保湿します。コットンを使う場合には十分な量をコットンに取り、擦らないよう軽くパッティングをするようにして保湿します。

3. 紫外線対策

紫外線を浴びると肌が乾燥するので、紫外線対策は四季を通してしっかりと行いましょう。山や海などの紫外線の強い場所や日中屋外で過ごすときには、SPF50+、PA++++のものが必要です。

うっかり日焼けをしてしまった時には、肌を冷やしてしっかり保湿することでダメージを最小限に抑えるようにすると良いです。

4. バランスの取れた食事

肌を作るのは食事から体内に取り入れた栄養素なので、肌の細胞や保湿成分を作る元になるタンパク質、脂質などはもちろんのこと、代謝に必要なビタミン類もバランスよく摂取するようにしましょう。

5. 睡眠

睡眠は疲れを取る目的だけではなく、代謝が行われる時間です。肌の生まれ変わりを正常に保つためには、十分な睡眠を取ることが必要です。

仕事などでどうしても夜更かししなければならないときには、お昼休みなどを使って15分だけでもお昼寝をするとかなり疲れが取れます。

まとめ:正常なターンオーバーを保つことが大事

肌は常に生まれ変わり、美しく健康的な状態を保とうとします。この生まれ変わりのサイクルがターンオーバー周期ですが、これが崩れてしまうと肌の水分蒸発を防ぐために角質が厚くなるのですね。

そのことを考えると、むやみに角質を取り除くのはかえって肌にダメージを与えかねません。正しい知識を持ち、適切に角質取りを行えるようになることが美肌への一歩と言えます。