監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

一般的にはよいイメージがある保湿も、やり過ぎは禁物です。しっかりスキンケアしているのに繰り返すニキビ・どんな保湿ケアを行っても乾燥するばかり。こんなトラブルにお悩みの人に紹介したい過剰保湿のデメリットと正しいスキンケアについて見ていきます。

保湿しすぎは肌にNG?

結論から入りますが、保湿しすぎは美肌作りにマイナスです。私たちの肌はもともとうるおいを産み出し、維持する力を持っています。水分を保持する天然保湿因子・角質細胞の隙間を埋める細胞間脂質(セラミド)・水分の蒸発を防ぐ皮脂膜がきちんと働いてくれさえすれば、肌トラブルは起こりません。

化粧水や美容液、クリームで保湿しすぎた肌は、どうなるのでしょうか。もともと持っている「うるおう力」が正常に作用しなくなり、トラブルサインが出てきます。一生懸命働かなくても水分や油分が補われることに安心して、誤作動を起こすためです。本来の機能が損なわれた肌は、刺激に対する抵抗力も下がります。ちょっとした刺激に対しても敏感に反応してしまい、赤みや炎症、ニキビといったトラブルにつながりがちです。

保湿しすぎが招く肌トラブル例5つ

保湿しすぎで起こる肌トラブルは様々です。たとえば、こんな症状が気になったら、保湿しすぎを疑いましょう。

①乾燥

どんなに水分を補ってもうるおわず、乾燥肌が悪化します。表面のべたつきが気になる肌でも、内部の乾燥が進んでしまうインナードライになっているかもしれません。かさつきが気になって重点的な保湿ケアを行うと、さらに乾燥がひどくなる悪循環になりがちです。乾燥が原因のたるみ、シワも目立ってくると、老け込んだ印象になってしまいます。

②ニキビ

美容液やクリーム、皮脂によって毛穴が詰まると、白ニキビが増加します。不衛生になった毛穴にアクネ菌が繁殖して、炎症を起こした状態が赤ニキビです。赤ニキビの炎症が悪化すると、ジュクジュクとした膿を伴う黄ニキビになってしまいます。黄ニキビにまでなってしまうと、ニキビ跡や色素沈着が心配です。セルフケアではなかなかよくならないニキビには、皮膚科の受診も検討されます。

③毛穴トラブル

毛穴の開きは、乾燥やたるみによって悪化します。毛穴が開いた状態のまま過剰なケアを行うと、クリームや美容液が詰まってしまい、トラブルを目立たせる原因です。開いた毛穴を気にして引き締めるケアを行うと、汚れの出口がなくなることから、炎症やニキビのリスクが高まります。

④顔のほてり・赤ら顔

乾燥が進んだ肌は、紫外線やほこり、花粉などアレルゲンに対する抵抗力が下がっています。普段では何ともない刺激に対しても過剰に反応してしまうため、赤ら顔になりやすい状態です。赤ら顔とは、お酒を飲んだときのように顔が真っ赤になってしまう症状のことです。真っ赤に見えるだけではなく、顔だけがほてったように熱く感じ、ストレスになってしまうこともあります。

⑤湿疹・皮膚炎

セラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸といった保湿成分を過剰に使うと、常在菌のバランスが乱れてしまうことがあります。常在菌とは、表皮ブドウ球菌やアクネ菌など、私たちの肌にもともとあって、肌荒れを起こす菌を退治したり弱酸性に守ったりしてくれる菌のことです。常在菌のバランスが崩れると、本来の働きを果たすことができなくなって、湿疹や皮膚炎リスクが高くなります。

1つでも該当するものがあったら、保湿方法を見直しましょう。正しい保湿方法と程度をチェックする方法をここからくわしく見ていきます。

正しい保湿方法と程度

正しい保湿方法といっても、特別なスキンケアは行いません。使用するアイテムは、化粧水・美容液・乳液やクリームの3つです。

これらを使って、朝・夜2回の保湿を行います。保湿の前には、クレンジングと洗顔(朝は洗顔だけ)で、汚れをきれいに落としてください。汚れを落としてまっさらな肌になったところから、肌の保湿を始めます。

最初に使うのは「化粧水」です。使用量は、パッケージに記載されている推奨量を守りましょう。1回あたりのお手入れで吸収できる美容・保湿成分には、限度があります。たくさんつけるほどうるおうわけではないので、指定された通りに使いましょう。化粧水をつけた後に肌に触れ、吸い付くような感触があれば、うるおいを補充できた証拠です。

次に使うのは「美容液」です。美容液には、化粧水だけでは不足する美容成分を補い、効率的にお手入れするねらいがあります。過剰保湿でダメージを受けた肌をいたわるべく、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分配合の美容液を使いましょう。

最後に、「乳液やクリーム」で蓋をします。すりこむように塗るのではなく、薄くやさしく伸ばしてください。朝起きてすぐの肌を触って、目に見えるくらいの脂がついていたら、クリームの量が多すぎます。しっとりした質感が維持できて、ベタつきも気にならないくらいの量が適量です。

保湿するときの注意点5個

やりがちなスキンケアの間違いは、過剰保湿以外にもたくさんあります。ニキビや炎症など肌トラブルにつながりやすいスキンケアの落とし穴・保湿ケアの注意点をざっと見ておきましょう。

①ニキビが気になるときには美容オイルを使わない

ホホバオイル・キャスターオイルといった炎症を抑える働きが期待されるオイルでも、大人ニキビを悪化させるリスクがあります。ニキビが気になるときにはオイル美容をお休みして、様子を見るのがよいでしょう。

美容オイルを使わなくても、化粧水・美容液・乳液もしくはクリームのスキンケアをきちんと継続していけば、乾燥対策が可能です。状態が落ち着いたところであらためて美容オイルの必要性を考え、スキンケアに取り入れることをおすすめします。

②スキンケアの絞り過ぎはリスクが大きい

シンプルケア・肌断食などトレンドの美容法には、一定のリスクがつきものです。信じられる情報かをよく考え、自己責任で挑戦するよりほかありません。「少なくとも、今より悪化するのはつらい」といった人には、王道の保湿ケアがおすすめです。トラブルが起こっている肌に対して一切のケアを止めるのは、あまりにも急すぎます。

一時的なトラブル悪化を「好転反応」ととらえる考え方もありますが、成功する保証がないにも関わらず、ニキビや毛穴が目立っていく肌を見ているのはつらいものです。状態が悪化したところから「私には合わないみたい」とベーシックなお手入れに戻しても、肌の機能を回復するまでには一定の時間を要します。ご自身の肌の状態や必要としているスキンケアが分かってきたところであらためて、応用的な手法を検討しましょう。

③正しい洗顔を徹底する

保湿ケアは、正しい洗顔から始まります。清潔な肌を維持するためには、泡のクオリティにこだわったアイテム選びを守りましょう。洗顔前の泡立ては、手を反対にしても落ちないくらいの濃密さが目安です。トラブルが気になるTゾーンやUゾーンを先・目元や口元を後にすることで、乾燥を予防しながら洗いましょう。

濃厚な泡で洗えば、毛穴に詰まった汚れまできちんと落とすことができます。思春期ニキビに使うような、殺菌成分・スクラブ入の洗顔料は洗い過ぎになりやすく、乾燥が原因のトラブルには合いません。肌のバリア機能を傷つけてしまうと、回復までに数日はかかります。いつも以上にトラブルを受けやすく刺激に対して反応しやすい状態になるので、ダメージを与えない洗顔が大切です。

前述のシンプルケアにも共通しますが、洗顔料を使わずにぬるま湯で流すだけのケア方法は、ニキビや湿疹がおさまってからスタートするのがよいでしょう。過剰な皮脂は落として、化粧水や美容液でうるおいを補充した後にあらためて防御層を作ってあげるお手入れをおすすめします。

④美白ケアはいったん休んで様子を見る

美白有効成分の中には、肌に対する刺激が強く、乾燥トラブルを悪化させるものがあります。たとえば、毛穴ケアや美白対策によく使われるビタミンC誘導体です。皮脂分泌をコントロールする働きが保湿を邪魔してしまって、保湿がうまく進まない状態にしてしまうリスクがあります。

保湿しすぎで弱ってしまった肌に対するケアを行う際には、美白重視のアイテムをお休みし、バリア機能正常化を進めるのが得策です。バリア機能が整って健康な肌ができると、美白ケアの働きもアップします。また、きちんと保湿ができていない肌は紫外線の影響を受けやすく、シミやくすみができやすい状態です。UVケアアイテムを活用して、ダメージを予防しましょう。気になるトラブルを防ぎながら保湿ケアを行い、健康な肌を作ることが、美白成分に耐えられる基礎力を育ててくれます。

⑤刺激成分の入った化粧品を使わない

バリア機能が衰えた肌に刺激成分の入ったスキンケアをのせてしまうと、乾燥やニキビ、赤ら顔を悪化させるリスクがあります。以下の成分が入った化粧品はなるべく控え、刺激が少ない商品を活用しましょう。

◯エタノール
肌を清潔に維持したり、つけたときの清涼感を出したりする目的で活用されます。ニキビ・毛穴ケア用の化粧品では比較的メジャーな成分ですが、乾燥が気になるときには不向きです。エタノールを配合した化粧水は蒸発が早く、すっとなじんだように感じますが、肌内部まで入っていくわけではありません。もともと肌に合った水分まで巻き込んで蒸発していくことから、乾燥を悪化させるおそれがあります。

◯合成香料
香りを楽しみながらスキンケアできる商品はすてきですが、成分表示を確認しましょう。手頃な値段で購入できる化粧品だと、合成香料を使用しているケースがほとんどです。合成香料は肌の刺激になるだけでなく、健康面への影響も指摘されます。世界的にも、合成香料を避ける考え方が広まっていて、柔軟剤や芳香剤の使用を制限する運動が起こるほどです。香りつきのスキンケアを使いたいなら、フローラルウォーターやアロマ精油を使用した安心できるアイテムを選びましょう。

◯防腐剤
化粧品の品質維持には欠かせない防腐剤も、気をつけたい成分の1つです。ニキビや炎症が気になるときには、ブチルパラベン・プロピルパラベンといった比較的刺激の強い防腐剤は避けた方がよいでしょう。メチルパラベン・エチルパラベンも、肌質によっては刺激となるリスクがあります。化粧水や美容液でアレルギーを起こしたことがある人は、パラペンフリーのスキンケアを選択しましょう。

◯ピーリング剤
コットンで拭き取るタイプの化粧水や洗顔料に使用されます。未熟な角質まで剥がしてしまって乾燥トラブルを悪化するリスクがあるため、乾燥が気になるときには避けましょう。

◯尿素
ハンドクリームやかかとクリームのイメージが強い成分ですが、一部のフェイスケアクリームにも採用されます。尿素の主な働きは、かたくなった角質をやわらかくしてターンオーバーを促すことです。ピーリング剤同様に乾燥トラブルが気になる肌には負担が大きく、気をつけたい成分にあたります。

まとめ

保湿しすぎでリスクが高まるトラブルや正しい保湿方法について紹介しました。保湿方法には絶対的な正解はなく、ご自身の肌と向き合いながら、望ましい方法を探していく必要があります。

また、望ましい保湿方法は、季節や体調、ライフスタイルによっても変化するもの。スキンケアを行いながら肌の状態を確かめて、必要なお手入れを考えましょう。