
乾燥肌向けの化粧品を使っても、スキンケアの方法を変えても、思うような効果が得られない方は、食事に目を向けてみてはいかがでしょうか。
生きるためには食べなければなりません。そして食べたもので身体は作られるのです。当たり前すぎることに目を向けてみると、意外な落とし穴が見つかるかもしれません。
今回は乾燥肌に良い食べ物・悪い食べ物について考えてみましょう。肌の再生に必要な栄養素や、手早く作れる料理のレシピ、しかも手に入りやすく安い食材を選んで紹介します。
乾燥肌になる原因
肌が乾燥するのは肌の保湿成分が正常に作られない、肌の水分を保持できない、または肌の水分が奪われてしまうからです。そうなる原因は以下のように様々です。
◯空気の乾燥
冬は夏に比べて乾燥しやすいのはこのためです。
◯皮脂の不足
肌の水分を保持する皮脂が不足すると、肌は乾燥します。
◯ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーは、早すぎても遅すぎても肌は乾燥します。
◯過剰な洗顔
顔を洗いすぎると、肌の水分を守る皮脂が流されてしまいます。
◯食事の偏り
肌を良い状態に保つためには栄養が必要です。
◯血行不良
血液は肌に栄養を届けるので、血行が悪いと肌は栄養不足になり肌の再生が滞ります。
乾燥肌対策に必要な栄養素
乾燥肌の対策は、外から肌をうるおす化粧品だけではなく、内から肌をうるおすアプローチが効果的です。内から肌をうるおすアプローチとは、乾燥肌対策に必要な栄養素をしっかり摂取することです。
肌は食事から体内に取り込んだ栄養素を使って作られるので、偏りなくバランスの取れた食事が理想的です。中でも細胞を作る材料になるタンパク質、代謝や体内の正常な働きを保つために欠かせないビタミン類、体の機能を正常に保つために必要な脂肪酸、特にオメガ3系が不足しないような食生活を心がけることが大切です。
乾燥肌対策に必要なビタミンは、ビタミンB2・B6・B12、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンAです。ビタミンB2は肌の健康維持と肌の再生を助け、ビタミンB6はタンパク質の代謝に関わり、ビタミンB12は細胞の増殖や脂肪酸の合成に関与しています。脂肪酸は細胞膜の構成成分であり、肌のバリア機能にも関与する栄養素です。タンパク質は肌の細胞を作る材料なので、乾燥肌対策には必須の栄養素です。
乾燥肌の食事改善に良い食べ物7個
乾燥肌対策に必要な栄養素を含む良い食べ物を紹介するサイトはたくさんありますが、ここでは季節を問わず簡単に手に入る食材をピックアップしました。
1. 卵
卵は乾燥肌対策に必要なタンパク質、ビタミンB群、ビタミンEを含みます。卵は生でも食べられ、茹でたり焼いたりと調理法も多いので、手の込んだ料理をする時間がないときでも手軽に食べられて、価格が安いのも魅力です。タンパク質不足の人にはおすすめしたい、乾燥肌対策に良い食べ物です。
2. 豚肉
豚肉はタンパク質、脂肪が豊富に含まれています。乾燥肌対策に必要なビタミンB2やビタミンEも含まれています。
脂が多いので食べ過ぎは禁物ですが、脂は身体に必要なので適度に摂ることが必要です。牛肉に比べると安価で経済的なところも良いです。脂肪酸やタンパク質を摂取するには良い食べ物です。
3. まぐろ
まぐろはタンパク質とオメガ3を多く含みます。お刺身が苦手な人はまぐろのカマを焼いて食べても美味しいです。魚というよりもお肉に近い食感と味なので、お肉の脂っこさが苦手な人にはおすすめの乾燥肌対策に良い食べ物です。
トロは高価なので度々買うのは経済的負担が重いですが、赤身で乾燥肌対策には十分です。
4. アボカド
アボカドは食べる美容液と言われるほど、肌に良い食べ物です。オメガ3、オメガ6をはじめとする身体に良い不飽和脂肪酸が、豊富に含まれています。ビタミンE、ビタミンA、ビタミンB2、B6も摂ることができます。
5. 納豆
納豆はタンパク質、ビタミンB2、B6、ビタミンEを含みます。ご飯にかけたりそのまま食べられたり、手軽で乾燥肌対策には良い食べ物です。
大豆なので女性には嬉しいイソフラボンも摂ることができます。食物繊維も豊富です。
6. 牛レバー
レバーはビタミンB群を多く含みますが、中でも牛レバーはビタミンB12が多く含まれています。レバーは鉄分も多く含むため、貧血気味の女性にもおすすめしたい良い食べ物です。レバーの臭みが苦手な人がいますが、適切に前処理すれば美味しくいただけます。
7. ほうれん草
ほうれん草はカロテンを多く含みます。カロテンは体内で乾燥肌対策に必要な栄養素の一つであるビタミンAに変換されます。ほうれん草と同じ緑黄色野菜であるカボチャやニンジンにもカロテンが多く含まれています。
乾燥肌に良い食べ物を使ったレシピ
紹介するお料理レシピは、先ほど紹介した手に入りやすい食材を使って、短時間で簡単に作ることができるレシピに絞りました。
マグロ赤身&アボカド丼
アボカドを薄く切り、刺身しょうゆにつけて食べるとトロに似た味になるのは知っていますか。お財布にも優しく、かつヘルシーなマグロ赤身とアボカドの丼です。作り方はとても簡単なので、ぜひお試しください。
(1)酢と砂糖を同量混ぜ、塩を少々加えよく混ぜます。
(2)ご飯に(1)をお好みで加え、酢飯を作ります。
(3)酢飯の熱が冷めた後、酢飯の上にマグロの切り身とアボカドの薄切りを交互に重ねます。
(4)刺身しょうゆとお好みでわさびを加え、出来上がり。
ほうれん草の胡麻和え
ほうれん草を湯がくだけの簡単レシピです。カロテンは油と一緒に食べると吸収率がアップするので、すりごまと一緒に食べるのがオススメです。
(1)ほうれん草を茹でます。
(2)冷水で冷ましたほうれん草を、2~3センチ幅に切ります。
(3)すり胡麻とめんつゆを和えてできあがり。
豚肉の簡単レシピ
豚肉のお料理レシピはいろいろありますが、夏・冬におすすめの簡単レシピを紹介します。
◯冬の豚肉簡単料理
冬は鍋がベストです。白菜や春菊などの野菜と豆腐に豚肉を入れます。にんじんを入れるとカロテンも摂れます。
◯夏の豚肉簡単料理
夏は千切りキャベツとにんじん、薄切りきゅうりなどをミックスした野菜サラダに、薄切り豚肉を熱湯でさっと茹でてサラダにのせます。上からお好みのドレッシングやポン酢をかけると美味しいです。
牛レバーのニンニク炒め
レバーの臭みが嫌いな人は多いかもしれませんが、しっかり下処理をすると美味しくいただけます。下処理の方法から説明します。
(1)スライスした牛レバーを流水で洗い、見えている血液をきれいに流します。
(2)牛乳に15~20分程度漬けて臭みを取る。時間が経ったらペーパータオルで牛乳を拭きとっておきます。
(3)ニンニクをスライスします。(分量はお好みで)
(4)フライパンに油を入れて熱し、にんにくを炒めます。
(5)次にレバーを炒め、最後に塩コショウで味付けします。
簡単卵料理
卵は目玉焼きやゆで卵にしても美味しいです。少しゆとりがある時には、オムレツなどいかがでしょう。
オムレツに入れるのは、アボカドやにんじん、かぼちゃ、ほうれん草、チーズなど、栄養価の高い具材を使うとよりいいですね。オムレツの作り方は、卵に包むようにして焼く方法や、焼く前に具材と卵を混ぜて焼く方法があります。どちらでもやりやすい方法で作ると良いですね。
乾燥肌の食事改善に悪い食べ物5個
乾燥肌に良い食べ物があれば、逆に悪い食べ物も存在します。次に乾燥肌に悪い食べ物を紹介しますが、覚えやすいように7つにグループ分けしています。そして各グループに乾燥肌に悪い食べ物を挙げていきます。
悪い食べ物としてここに挙げられているものは、限度を守っていれば問題ありません。絶対に控えるべきというものではないので、その点はご理解ください。
1. トランス脂肪酸を多く含む食品
トランス脂肪酸は生活習慣病のリスクを高めるとされています。
脂肪酸は構造の違いにより、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大きく分けられます。トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種で、少量ですが天然にも存在します。
食品に含まれるトランス脂肪酸のほとんどは、植物油などの加工や精製の過程で作られます。過去にはマーガリン・ファットスプレッド・ショートニングなどに多く含まれていましたが、現在ではトランス脂肪酸の含有量を減らす動きがあり、マーガリンによってはバターの方がトランス脂肪酸の含有量が高いこともあるようです。トランス脂肪酸の含有量を低く抑えている商品は、代わりに飽和脂肪酸が使われているようです。
マーガリン・ファットスプレッド・ショートニングを使用している食品は、食べ過ぎないように注意したほうが良いでしょう。具体的にはクッキーなどのビスケット類、パン類、スナック菓子、ケーキ類などです。
2. 冷たい食べ物
冷たい食べ物を多く摂り過ぎると、身体が冷えて血行が悪くなります。血行が悪くなると、肌に必要な栄養素が充分に運ばれないために乾燥肌が悪化するので、悪い食べ物としました。
具体的には冷たい飲み物、氷菓・アイスクリーム類などです。日常的にこれらの冷たい食べ物を食べないよう気を付けていれば、たまに食べる分には問題ありません。
3. 辛い食べ物
辛い食べ物を食べると肌が乾燥するというわけではありませんが、香辛料がときにかゆみを引き起こすことがあるので注意が必要です。乾燥肌はバリア機能が低下しているため、外部からの刺激に敏感になっています。
ただでさえかゆみを感じやすくなっているので、辛い食べ物が刺激になってかゆみを感じることはあり得ます。掻いてしまうと肌が傷ついてしまうので、乾燥肌が悪化する可能性があります。
このような理由で、辛い食べ物を乾燥肌に悪い食べ物と位置づけました。念のため肌が乾燥で敏感になっている時期に、辛い食べ物をたくさん食べるのは避けたほうが無難です。
4. 甘い食べ物
ビタミンB群は体内でのタンパク質、糖質、脂質の代謝には欠かせない栄養素です。私たちの食習慣で取り過ぎが問題になるのは糖質と脂質で、甘いものが好きな人は糖質を過剰に摂ってしまうことが多いです。
体内では糖質を代謝するためにビタミンB1などが消費されることになります。糖質は身体に必要なものですが、摂り過ぎには注意しましょう。砂糖は中毒性があると言われているので、習慣的に甘い物が欲しくなる人は意識的に減らす努力が必要です。
甘い食べ物の多くは菓子類ですが、お料理に使う砂糖にも少し気を使うと良いと思います。冷たい食べ物の取り過ぎは悪いと書きましたが、冷たいと甘さを感じにくいため、多量の糖分が含まれています。その点を認識して自己管理しましょう。
5. 酒類
お酒は飲みすぎに注意が必要です。酒は百薬の長とも言われるので、少しの量であれば特に問題はありませんが、毎日欠かさずお酒を飲む習慣がある人は見直すほうが良いでしょう。
お酒は体内で分解されますが、その際に体内の水を必要とします。水分補給を行わなければ場合によっては脱水症状になることがあります。同時に肌の水分も奪われてしまうため、肌の乾燥を悪化させてしまいます。
乾燥肌を悪化させないためにも、毎日の飲酒は避けて休肝日を必ず設け、お酒を飲むときも意識的に水分を摂るように心がけましょう。
まとめ:毎日の食事で肌は作られる
人は食事をしなければ生きていけません。食べた物で身体が作られているからです。化粧品にとことんこだわるのだったら、食事内容にもとことんこだわりを持っていいはずです。
長年乾燥肌で悩んでいる人は、そんな体質なのだとあきらめない事です。体質とは遺伝的要因と環境要因の相互作用によって作られます。遺伝的要因は変えることはできなくても、環境要因は変えることができます。
食事内容は環境要因の一つであり、食事から得られる栄養素で肌は作られるのですから、体質改善の可能性はあると言えるでしょう。食事は自分の意思一つで変えられる要素なので、ぜひ試してみてください。