監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

顔のテカリや大人ニキビ、毛穴の開きの原因となる過剰な皮脂。どれほど対策してもコントロールが難しく、ため息をつく女性も多いのではないでしょうか。

そのような人も安心下さい。過剰な皮脂が分泌される原因を正しく理解し、適切なアプローチを行うことで、改善できるチャンスはあります。この記事で紹介する内容を参考に、理想の肌を目指しましょう。

皮脂が多い・過剰分泌になる原因4個

一般的に女性の肌の皮脂量は、20代から30代にかけてピークをうちます。それより後は加齢とともに減少し、テカリやベタつきは落ち着くことが通常です。本当ならば皮脂量が落ち着くはずの年代にも関わらず、トラブルを感じる人は、以下のような原因を疑いましょう。

1. 肌の乾燥

まず、肌の乾燥です。そもそも皮脂は、肌内部の水分を適切に維持し、健やかな状態を守るために必要なもの。乾燥をキャッチした肌が「皮脂をさらに分泌し、あるべき状態に戻さなくては」と考えることで、テカリやベタつきが生じます。この時に過剰な皮脂が気になって、以下のような行動を取ることは間違った対応です。

・頻繁な洗顔を行い、ベタつきを解消する
・スクラブ入りの洗顔料や脂性肌用の洗顔料を使用する
・1日に何回も油取り紙を使用し、テカリを抑える
・乳液やクリームを省略する
・アルコール入りの洗顔シートや汗拭きシートで顔を拭く

肌の乾燥から皮脂の分泌過剰を起こした肌は、インナードライが進行し、デリケートな状態です。上記のように負担をかけるお手入れを継続すると悪循環になるリスクが高く、正しい対処への切り替えが急がれます。

2. ホルモンバランス

皮脂の分泌は、男性ホルモンによって促進され、女性ホルモンによって抑制されます。慢性的なストレスや運動不足、心身の疲労などを受け、ホルモンバランスが乱れてしまうと、皮脂量のコントロールが効かなくなります。

女性ホルモンの減少する更年期世代から皮脂の増加を感じた人は、ホルモンバランスの乱れを疑うサイン。相対的に男性ホルモンの比率が高くなり、皮脂量が増加したと考えられます。

更年期にはまだ早い20代後半や30代、40代前半の女性も油断は禁物。あまりにも多忙な毎日が続くと、慢性的な興奮状態から男性ホルモンの比率が高まり、皮脂分泌過剰を起こしてしまうケースがあります。

3. 生活習慣

生活習慣の乱れもまた、過剰な皮脂を招いてしまう要素と言えます。不規則な生活リズムや栄養バランスの偏りは、自律神経の乱れを招き、ホルモンバランスに影響を与えることが理由です。

「夜更かしをした翌日は、毛穴の開きや皮脂が気になる」といったことを、経験則から知っている女性も多いのではないでしょうか。これらのトラブルは、睡眠中に行われるはずだったターンオーバーがなされずに、皮脂量の増加や毛穴の詰まりが生じることから起こります。

頻繁にこの事象が起こると、ターンオーバー周期が乱れてしまい、健やかな肌への生まれ変わりを阻害します。すると、肌のバリア機能は低下するため、乾燥が悪化。水分・油分のバランスが崩れることで皮脂量が増加し、負の連鎖が生じるのです。

4. 気候の影響

最後に、湿気や気温の影響です。夏場の皮脂分泌量は、冬場の約2倍。湿気や気温が上昇するほど皮脂腺の活動も活発化し、毛穴トラブルやメイクのヨレが生じます。

このタイプの皮脂増加は、朝のスキンケアやメイク方法の工夫により、抑えることが可能です。気候や肌の状態に応じた臨機応変な対応で、年間通してきれいな肌を維持しましょう。

皮脂を抑える方法5個[食べ物]

皮脂を抑えるための食事の基本は、栄養バランスの偏りを解消し、様々な食材を食べることです。ここでは、この原則を守った上、プラスアルファで取り入れたい栄養素や食材を紹介します。

1. ビタミンB2食材で糖質・脂質の代謝を促す

まず、ビタミンB2食材です。ビタミンB2は、糖質や脂質の代謝を助け、エネルギーの生成を促します。コラーゲンの生成を促す働きも担うことから、過剰な皮脂を抑制し、きれいな肌を目指すために欠かせない栄養素の1つ。

ビタミンB2の1日あたりの推奨摂取量、ビタミンB2を含む食べ物の例は、次の表を参照下さい。

1日あたりの推奨摂取量(18歳〜49歳・女性)1.2mg
ビタミンB2を含む食べ物さけ・ます・レバー・焼き海苔・牛乳・うなぎなど

2. ビタミンB6食材でタンパク質の代謝を促す

ビタミンB6は、アミノ酸の代謝を助け、バリア機能の正常化を支援します。ビタミンB6が不足すると不安、集中力の低下といった症状を招くといった説もあるため、ストレスから生じるトラブルへの対策としても有効です。

ビタミンB6の推奨摂取量、ビタミンB6を含む食べ物の例は、次の表を参照下さい。味付けやトッピングとして採用できる食材が多いため、いろいろなメニューにちょい足しし、対策を行いましょう。

1日あたりの推奨摂取量(18歳〜49歳・女性)1.2mg
ビタミンB6を含む食べ物まぐろの赤身・とうがらし・米ぬか・にんにくなど

3. ビタミンC食材でストレス対策を行う

「美肌と言えば」という栄養素のビタミンCも、皮脂を抑える対策に有効です。ビタミンCは、ストレスによる男性ホルモンの増加を抑え、皮脂量のコントロールを行う成分。慢性的なストレスを抱える人はビタミンCの消費量が増加するため、積極的な摂取が推奨されます。

ビタミンCの1日あたりの推奨摂取量は、1日あたり100mg。体内に溜めておくことはできないため、毎日の食事の中で、継続的に摂取しましょう。

1日あたりの推奨摂取量(18歳〜49歳・女性)100mg
ビタミンCを含む食べ物アセロラ・レモン・ケール・せん茶・ピーマンなど

4. ビタミンA食材でターンオーバーを正常化する

ビタミンAは、ターンオーバーを促し、健やかな肌への生まれ変わりを支援します。ビタミンAが不足すると、生まれ変わりがスムーズに進まず、外部刺激に対する抵抗力は低下。ベタつきや毛穴の開きが気になるだけではなく、大人ニキビや吹き出物が増えてしまうこともあります。

1日あたりの推奨摂取量(18歳〜49歳・女性)650〜700㎍RAE
ビタミンAを含む食べ物豚レバー・うなぎ・牛乳・チーズ・レバー・緑黄色野菜など

なお、ビタミンAは体内に蓄積できる栄養素に該当します。「摂れば摂るほど、望ましい」というものではないため、過剰な摂取は禁物です。慢性的に過剰な量のビタミンAを摂取した場合、次のようなトラブルを起こすリスクがあると言われます。

頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、浮動性めまい、悪心、頭痛、皮膚炎、関節や骨の痛み、昏睡がみられ、死亡することもある

引用:「統合医療」に係る情報発信等推進事業

これらのトラブルはサプリメントなどを摂取した場合に生じることが多く、食品によることは稀ですが、過不足なく摂ることをおすすめします。

5. ビタミンE食材で血行を促進する

ビタミンEの抗酸化作用は、肌に直接作用して、肌荒れや乾燥を防ぐことが知られています。肌の乾燥の主な原因のひとつは、紫外線やストレス、喫煙習慣などが招く活性酸素を放置すること。

ビタミンE食材の抗酸化作用によって活性酸素の中和を行い、乾燥対策を行うことが過剰な皮脂を抑えるために貢献します。

1日あたりの推奨摂取量(18歳〜49歳・女性)6.0mg
ビタミンAを含む食べ物ひまわり油・アーモンド・小麦胚芽・抹茶など

皮脂を抑える方法3個[スキンケア]

過剰な皮脂を抑えるためには、正しいクレンジング・洗顔が不可欠です。日中の皮脂浮きを放置することも肌トラブルの原因となるため、正しい対処が求められます。以下3個のポイントを守り、皮脂量のコントロールと肌荒れ予防を行いましょう。

1. クレンジング選びを見直す

まず、クレンジング選びを見直すことです。過剰な皮脂の原因に合わせたクレンジングを選択し、正しい使い方に沿ってメイクを落とすことにより、トラブルの解消を目指しましょう。

インナードライと相性の良いクレンジングは、クリームタイプ。適度な油分が含まれるクレンジングに該当するため、摩擦ダメージを与えるリスクが低く、弱った肌をいたわりながらメイクを落とすことができます。

ホルモンバランスや生活習慣、気候の影響などから過剰な皮脂が分泌される肌には、オイルタイプやバームタイプがおすすめ。これらの種類は油性汚れを落とす力が強いため、毛穴内部に詰まった汚れや過剰な皮脂をきれいに取り去ることができます。

2. 朝・夜2回の洗顔を正しく行う

過剰な洗顔が皮脂の増加を招くことは、先に紹介した通りです。朝・夜2回の洗顔を正しく行い、要らないものはきちんと落とす・必要な皮脂はきちんと残す習慣を付けましょう。

◎洗顔の正しい手順

【1】ぬるま湯で予洗いする
洗顔前に手を洗い、顔全体を予洗いしましょう。予洗いを行うだけでも大まかな汚れは落ちるため、洗顔料を乗せる時間の短縮が可能です。体温より低い程度のぬるま湯を両手ですくい、顔全体をすすぎます。

【2】洗顔料を泡立てる
メーカー指定量の洗顔料を使用し、しっかりと泡立てます。空気と泡、水分を混ぜ合わせ、きめ細やかな泡を作ることがポイントです。

【3】皮脂分泌の多い部位から泡を乗せる
Tゾーンなど皮脂分泌の多い部位を最初に洗い、顎や頬へと進みます。目の周りや口の周りといったデリケートな部位は、泡を広げる程度でも十分。この順番を守ることで顔全体の調子が整い、皮脂対策・潤い維持対策を両立できます。

3. 日中の過剰な皮脂はティッシュで対応

日中の過剰な皮脂を抑えるためには、ティッシュペーパーを活用しましょう。肌に優しいタイプのティッシュを軽く押し当て、過剰な皮脂を吸収します。

ゴシゴシこすると摩擦刺激を与えるため、あくまで優しく、そっと当てる程度が正解。皮脂を取り除いた後は化粧水や美容液で保湿を行い、乾燥トラブルの進行を予防します。

皮脂を抑える方法5個[化粧品]

次に、化粧水や美容液、乳液・クリームといった基礎化粧品を活用し、過剰な皮脂を抑える方法を紹介します。日中の皮脂を抑えるための化粧下地やパウダーの活用法も紹介しますので、日々のメイクのヒントとして、有効に活用下さい。

1. 保湿成分配合の化粧水・美容液を活用する

過剰な皮脂を抑えるためには、十分な保湿が欠かせません。保湿成分配合の化粧水や美容液を省略せず、日中のダメージや洗顔により失ってしまった水分を補いましょう。

保湿を行う時のポイントは、化粧水や美容液の付け方です。目元や口元、頬といった乾燥しやすい部位を最初に塗り、鼻筋や小鼻、額といった皮脂分泌の多い部位は後回し。目元や口元の乾燥がひどい時には重ね塗りを行い、水分・油分のバランスを調整しましょう。

2. 軽い質感の乳液・クリームで潤いを閉じ込める

過剰な皮脂の気になる時でも、乳液やクリームを使用せず、お手入れを終えることはNGです。ジェル状の乳液や混合肌用のクリームといった軽い質感のアイテムを活用し、潤いを閉じ込めましょう。乳液やクリームに苦手意識を持つ人は、以下の工夫を行うことで、ストレスを軽減できます。

【1】温めてから使用する
乳液やクリームを直接つけず、手のひらで挟み込むように体温で温め、柔らかくした状態で使用しましょう。

【2】外側から内側の順番を守る
塗る時の順番は、顔の外側から内側の流れが正解。顔の中心近くほど薄付きに仕上げることで、テカリやベタつきを予防できます。

3. 収れん化粧水で引き締める

保湿直後であってもTゾーンのベタつきが気になる場合は、引き締めケアが有効です。顔のほてりを取り除き、皮脂を抑制するために、収れん化粧水を使用しましょう。収れん化粧水による引き締めケアは、次の手順で行います。

【1】大判のコットンに収れん化粧水を含ませる。
【2】Tゾーンを中心にパッティングし、顔のほてりを解消する。
【3】肌が冷たく感じるまで、パッティングを繰り返す。

なお、収れん化粧水で皮脂を抑える方法は、一時的な対策に過ぎません。十分な保湿や生活習慣の見直しなど、他の対策を並行して行うことで、根本的な解決を目指しましょう。

4. 部分用の化粧下地を活用する

Tゾーンの皮脂浮きを抑えるためには、部分用の化粧下地を使用します。皮脂吸着成分配合のマットな下地を選択し、毛穴の凹みを埋め込むように、四方八方から塗り込みましょう。

このタイプの化粧下地はカバー力が強いため、必要な部分にだけ、ピンポイントで使用します。顔全体に使うことは肌荒れを悪化させるリスクがあるため、Tゾーンだけに留めて下さい。

部分用下地できちんと油分を抑えた上からリキッドもしくはクリームタイプのファンデーションを薄く塗ると、適度なツヤを兼ね備えたトレンド肌に仕上がります。水で濡らしたスポンジに少量のファンデーションを含ませて、目の下から伸ばすと、不自然な印象になりません。

目の下以外の部位はスポンジに残ったファンデーションを使用して、質感を合わせる程度で十分です。とにかく薄く、ムラなくカバーを行うことが崩れにくいベースメイクのポイントですよ。

5. ルーセントパウダーを活用する

ルーセントパウダーとは、ファンデーションの上から使用し、密着力を高めるための化粧品です。皮脂吸着成分配合のルーセントパウダーをTゾーンにだけ使用し、メイクのヨレを防止しましょう。パウダーをたくさん付けると乾燥を招くため、大きめのパフで押さえるように、少量だけを乗せて下さい。

Tゾーン以外の部分には、ミネラルパウダーを使用します。大きめのブラシに適量のパウダーを含ませ、くるくると円を描く要領で、残りの部分を仕上げましょう。

まとめ

顔の皮脂を抑える方法やカバーメイクを紹介しました。スキンケアや食生活の改善による肌の変化を感じるまでには、一定期間を要します。すぐに変化が見られなくても諦めず、1ヶ月は継続しましょう。

日常的な努力が健やかな肌を育て、老けない女性を作ります。できることから少しずつ対策し、皮脂トラブルに悩まない美しい肌を目指しましょう。