監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

ワセリンはドラッグストアに行けば必ず置いています。身近過ぎて今まで意識したことがないか、または昔からあるものだけれど、使ったことがないので使い方がわからないという人もいるかもしれません。

実はワセリンは保湿効果が高く、上手く使えば頑固な乾燥肌も改善してくれる可能性を秘めています。ただワセリンは滑らかなクリーム状ではなく少し硬いし、使用感もべたべたして気持ち悪いと感じる人が多いと思います。

けれど使い方一つで使用感が気にならなくなるとしたら、使ってみたいですか?これからワセリンの保湿作用、ワセリンの性質や種類、保湿効果を上手に引き出すワセリンの使い方をご紹介します。

ワセリンとは?成分は?

ワセリンは石油を精製して、中に含まれている炭化水素類を取り出したものです。炭化水素とは炭素と水素からなる物質で、水と馴染まない性質を持っています。油の一種で、鉱物性の油に分類されています。ワセリンは化学的に安定しており安全性が高いので、皮膚外用薬の基材として使われています。

ところで石油から作られている化粧品成分は、合成成分を避け天然成分を好む人から悪者扱いされることが多いですが、石油も天然成分であることを忘れないでください。

ワセリンの安全性は高く、それゆえ日本薬局方に収載され病院で使用されています。昔に比べて現在の精製技術は高く、不純物をほとんど含まないグレードのワセリンもあります。

ワセリンの種類

ワセリンは精製度の違いにより黄色ワセリンと白色ワセリンに分類されています。どの種類でも薬局で手に入れることができます。

黄色ワセリン

黄色ワセリンは白色ワセリンに比べると不純物の含有量が高く脱色もしていないため、淡い黄色みを帯びています。不純物が含まれているので、敏感肌の人・アトピー性皮膚炎の人・赤ちゃんに対してはかぶれの原因になることもあるので、注意が必要です。

白色ワセリン

白色ワセリンは不純物をできるだけ取り除き脱色をしているため、白色をしています。白色ワセリンには精製度の違いによっていくつかの種類があり、プロペトやサンホワイトなどの名前で知られていますが、それらは商品名であり大きくは同じ白色ワセリンのくくりになります。

わかりにくい原因は、「白色ワセリン」が商品名になっているためです。プロペトもサンホワイトも、成分名は白色ワセリンとなっていることからもわかります。商品名で純度を比べると、「白色ワセリン」<「プロペト」<「サンホワイト」の順にワセリンの純度が高くなります。

ワセリンは乾燥肌の保湿剤として効果がある?

ワセリンは炭化水素で構成されています。炭化水素は水となじまない性質があることは既に説明しました。この性質を利用して、肌の保湿に利用することができます。しかしワセリン自体に肌の保湿作用があるわけではないので、使い方には注意が必要です。

詳しくは次に説明しますが、ワセリンで肌の保湿を行うときには肌がうるおっている状態でなければワセリンの効果を引き出すことができません。肌が乾燥しているときには、まず化粧水や保湿クリームなどで肌をうるおした後、最後に肌を保護するためにワセリンを使用するのが正解です。

うるおった肌の上にワセリンを塗ることで、水を通さない性質のワセリンが肌水分の蒸発を防ぎます。肌が乾燥したままワセリンを塗っても、肌が自ら天然保湿成分などの保湿成分を生成し角質層に満たされるまで、肌はうるおいを回復しないのです。自らうるおい成分を生成する力が衰えている場合には、ワセリンだけでは肌の状態はなかなか改善しないことになります。

ワセリンの使い方6個

次に保湿のための効果的なワセリンの使い方を6個ご紹介します。

1. スキンケアの最後の仕上げに

保湿力の高い化粧品を使っていても肌の乾燥が改善しないときに、ワセリンを試す価値ありです。朝なら化粧水・乳液の後に、夜なら化粧水・クリームの後に、少量のワセリンを手に取り顔の最も乾燥が気になる部分から塗ります。ワセリンは柔らかくはないですが、よく伸びるので根気よく乾燥が気になる部分からその他の部分へ塗り広げていきます。

塗る量が多いとかなりべたつきますので、お好みの量に調整してください。塗り過ぎたと思ったら、最後にティッシュで軽く押さえると程よくべたつきが取り除けます。ティッシュで肌を擦ると肌が傷ついてしまうので、軽い力で押さえるだけにしましょう。

ワセリンをスキンケアの最後の仕上げに使うことで、化粧品で補給した保湿成分が蒸発しにくくなり、保湿効果が高まります。肌を充分に保湿しないままワセリンを塗ると、ワセリンの保湿効果が得られないので注意しましょう。

2. 化粧ノリが悪いときに

肌の乾燥でお化粧ノリが悪いときにも、ワセリンは有効です。朝化粧水と乳液で肌を整えた後、薄く乾燥が気になる部分から順に塗り広げます。一気に素早く塗ろうとするよりも、薄く丁寧に伸ばしていくと良いです。ファンデーションがきれいに乗りにくい小鼻周りは、指先を使って隅々までワセリンを行きわたらせましょう。

ワセリンが多すぎるとファンデーションが均一に塗れなかったり化粧崩れの原因になったりするので、ワセリンを塗った後にティッシュで押さえて余分なワセリンを取ってからファンデーションを塗ります。

3. お風呂上がりに

顔と体にワセリンを

お風呂上がりの肌は一日の中で最もうるおっているので、ワセリンの効果を実感しやすいです。顔は化粧水・クリームで十分保湿をします。その後にワセリンを薄く延ばします。日頃乾燥しやすい部分から塗り始めると良いです。

湯船につかると体の皮脂が失われているので、お風呂上がりにはボディローションで保湿をして、その後にかかとや肘など、特に乾燥する部分にワセリンを重ねて塗ると保湿効果が高まります。

髪のパサつきにもワセリン

髪のパサつきが気になる場合には、髪を良く乾かした後に少量のワセリンを毛先中心にすり込むと良いです。べたつくほど塗る必要はありません。手のひらに塗り広げたあと、毛先をつまんだり手ぐしで髪をといたりするような感じで、毛先から上に向かってごく薄くつけます。

髪はドライヤーの熱でも傷むので熱のかけ過ぎは禁物ですが、髪を完全に乾かすことがとても重要です。髪が最も傷みやすいのは、濡れているときなのです。

だから自然乾燥や生乾きのまま髪を放置していると、頭皮に良くないだけではなく髪が傷んでパサついてしまいます。ドライヤーの熱がどうしても気になる人は、熱から髪を守る整髪料を使うと良いでしょう。

髪を傷めないために、ドライヤーを使用する際には同じ部分にあてすぎないようにすることと、最後に冷風を髪全体にあてて過熱を防止しましょう。

4. 手荒れ防止に

手のひらは目につきやすく、年齢が現れやすい場所です。一日に何度も手洗いをすると、秋冬の季節は特に手が荒れがちになります。毎年あかぎれになる人もいると思います。ハンドケアにもワセリンは効果的です。

手洗いの後にワセリンを使う場合、洗ってすぐならばワセリンだけでも大丈夫ですが、少し時間が経って手が乾燥し始めていたら、まずはハンドクリームで保湿をします。その後でワセリンを薄く重ねて塗るとよいでしょう。

実はワセリンをハンドケアで使う場合、もう一つの方法があります。それは水仕事の前にワセリンを塗ることです。ワセリンは水をはじくので、ワセリンが手を保護してくれるのです。

もちろんワセリンはある程度流されてしまうので、水仕事が終わったら再びワセリンを塗って乾燥を防ぐ必要はあります。水仕事前にワセリンを塗っておくと、手荒れがひどくならずに済むのでおすすめです。

5. 唇の乾燥に

唇が乾燥すると、リップクリームを使う人が多いと思います。でもリップクリームだけではなかなか唇の乾燥が良くならないという人も多いでしょう。

その場合、ワセリンを試してみてはいかがでしょう。リップクリームには様々な保湿成分やビタミン、紫外線防止剤、抗炎症剤、防腐剤などが配合されています。

リップクリームを塗っていてもなかなか乾燥が改善しない場合、むしろひどくなる場合には、もしかしたらリップクリームに配合されている成分のどれかが唇に合わない可能性もあります。

乾燥した唇にいきなりワセリンを塗っても保湿効果は得られないので、乾燥する前に塗るか、又は洗顔後・入浴後・お食事後など、唇の乾燥が緩和されているときにワセリンを塗るようにします。乾燥した唇にリップクリームを塗った後でワセリンを重ね塗りしても良いです。

6. かかとのケアに

かかとが乾燥して皮膚が硬い状態になると、なかなか保湿剤を使っても改善するのは困難です。硬くなった角質を削っても、また乾燥を繰り返すだけです。そんなかかとにも、ワセリンが使えます。最も効果が期待できるのは入浴後です。

まずはボディローションやボディクリームでかかとを充分に保湿します。入浴後はかかとが柔らかくなっていると思うので、保湿剤もなじみやすくなっています。その後ワセリンを少し多めに手に取り、かかとに良くすり込みなじませます。

これだけでも良いですが、それでも改善が見られない場合には靴下を履いて、そのまま就寝します。靴下を履いて寝ると、布団にワセリンが付くのも防げるので良いですね。

ワセリンの副作用

ワセリンはわずかですが不純物を含んでいるため、それが刺激となり接触皮膚炎を起こすことがあります。また不純物に対してではなく、白色ワセリンのような純度の高いワセリンに対しても肌の炎症が見られることがあります。

これは不純物による皮膚刺激ではなく、ワセリンに対するアレルギー反応で炎症が起きていると考えられています。過去に白色ワセリンを使って肌トラブルがあった場合には、ワセリンに対するアレルギーが考えられるので、使用は控えた方がよいでしょう。

また黄色ワセリンは白色ワセリンと比べると、頻度は高くありませんが不純物による肌トラブルが起きる可能性が高いと言えるので、肌が敏感な人や敏感になっている時期には白色ワセリンを使う方が無難です。

まとめ

ワセリンは簡単に手に入り、安価で安全な商品です。ワセリンに対してアレルギーがないのであれば、保湿ケアに重宝します。ただ使い方には気を付けて、ワセリンの性質を理解した上で正しく使う必要があります。この記事で紹介した方法は簡単なものばかりなので、ぜひお試しください。