監修医
山崎まいこ先生
まいこホリスティックスキンクリニック 院長

しっかり保湿しているつもりなのに、顔の乾燥がおさまらない。うるおいがなく、ゴワゴワした手触りになってきた。そんなことでお悩みの女性のために、保湿に関する基礎知識をまとめました。

顔のうるおい対策で肌質改善を目指すための教科書として、ご一読頂ければ幸いです。

顔の保湿が大切な理由

保湿の目的は、健康で美しい肌を作り、守っていくことにあります。私たちの肌はもともと、何もしなくても健康で、トラブルに負けない状態です。バリア機能が衰えてしまうと、乾燥やシワ、たるみといったトラブルサインが出てきます。

弱ってしまった肌を回復するには、栄養と休息を与えること。このうち「栄養」にあたるものが顔の保湿と考えられます。ひどく弱っているときには、たくさんの栄養を与える特別ケアも選択肢です。特別ケアで緊急事態を脱したら、通常通りの保湿方法へと戻していきます。

最終的な目的地「健康で美しい肌」の合い言葉は「うなはだけつ」です。

「う」うるおいがあって、適度な水分を維持できる肌
「な」なめらかで、スベスベとした肌
「は」ハリがあって、引き締まった肌
「だ」弾力があって、刺激を跳ね返す強い肌
「け」血色あふれる若々しい肌
「つ」ツヤがあって、艶やかな肌

こんな肌を作るためにも、保湿をきちんと行いましょう。

顔の肌に潤いがなくなる原因3つ

次に、うるおい不足になってしまう原因を見ていきます。肌の健康を損なう主な原因は、バリア機能の低下です。バリア機能の主役を担う成分はセラミドですから「うるおいがなくなった肌=セラミド不足」と考えられます。セラミド不足の原因は、大きく分けて3つです。

①加齢の影響

産まれたての赤ちゃんの肌には、セラミドがたっぷりあります。年齢を重ねるごとにセラミドが減少することで、うるおい不足が起こるのです。20代を100としたとき、30代では約6割・40代では約5割まで、セラミドが減少するといいます。自然減少していくセラミドを補うケアを行わないと、若いときのうるおいを維持できません。うるおい不足になるのと合わせて、ハリ・弾力・血色・ツヤも維持できなくなっていき、エイジングトラブルが悩みの種となっていきます。

②過剰な洗顔

洗顔回数が多かったり、強い洗浄成分が入った洗顔料を使っていたりすると、うるおいを保持しにくくなります。角質からセラミドが流出して、加齢による減少に拍車をかけるリスクがあるためです。セラミドが減ってしまうとさらに敏感な状態となり、乾燥トラブルが悪化する悪循環となってしまいます。ダメージを受けたところに高価な化粧水や美容液をのせても、思うような変化は得られませんよね。スキンケアアイテムを見直す前に、正しい洗顔をマスターしましょう。

③ターンオーバー周期の乱れ

ターンオーバーとは、肌の生まれ変わりサイクルのことです。セラミドは、肌の奥にある基底層で産まれて育ち、ターンオーバーに従って、表面近くに出てきます。ターンオーバー周期が短すぎると、どうなるでしょうか。しっかりとしたセラミドが育つ前に押し出されてしまって、きちんと機能できなくなります。反対に長すぎるのも問題です。同じ期間に生成されるセラミド量が減少し、バリア機能が不十分な状態となってしまいます。

ターンオーバーの乱れをまねく原因もざっと見ておきましょう。

◯紫外線
紫外線は、肌にとっての刺激です。刺激に負けないように「角質層を厚くしよう」という反応が起こると、ターンオーバー周期が長くなります。反対に、紫外線による刺激が角質層を剥がしてしまうと、ターンオーバー周期を早めてしまう要因です。

◯血行不良
血行が悪いと、生まれ変わりに必要な栄養素が届きません。新しい細胞を産み出しにくくなることで、ターンオーバーが乱れてしまうリスクがあります。運動不足やストレスによって、代謝が衰えた場合も同様です。

◯食生活の乱れ
ターンオーバーには、タンパク質・ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEなどいろいろな栄養素が関係します。過剰なダイエット・暴飲暴食・頻繁な外食によって特定の栄養素が不足すると、正常なサイクルを維持できません。

うるおいがなくなる原因は、加齢による影響や間違ったスキンケア、紫外線刺激、ライフスタイルなど、多種多様であることが分かりました。次の項では、セラミドを増やしてバリア機能を取り戻し、うるおいあふれる肌を目指すためにできることをくわしく紹介していきます。

顔の保湿方法7個

①スキンケアでセラミドを補う

保湿方法の王道といえば、スキンケアです。セラミド配合化粧水や美容液を正しく使い、衰えてしまったバリア機能を強化します。セラミド配合なら何でもよいわけではなく、私たちがもともと持っているセラミドと近いものを選択しましょう。

具体的には、ヒト型セラミドがおすすめです。そのほかの種類として、合成セラミド・天然セラミド・植物性セラミドなどがあります。

◯ヒト型セラミド
人間のセラミドと似た構造で作られたなじみのよいセラミドです。発酵麹を原料に作られることが多く、安心して使えます。成分表示で「セラミド1」「セラミド3」とセラミド+番号がついた名称もしくは「セラミドEOP」「セラミドNP」とアルファベットがついた名称があれば、ヒト型セラミドを使っている証拠です。敏感肌や乾燥肌用のスキンケアでも採用されやすく、刺激に負けない健康な肌をサポートできます。

◯合成セラミド
天然セラミドをお手本として、化学合成された成分。成分表示には「セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド」などと書かれています。化学合成しているとはいえ、セラミドに似せて作られていることから、バリア機能をサポートする働きが期待されます。手頃な値段で売られているセラミドケアアイテムに採用されやすく、コストパフォーマンスを気にする人にはよいでしょう。

◯天然セラミド
動物の脳や脊髄から抽出した成分です。非常に厳密なことをいえば、セラミドそのものではなくセラミドになる一歩手前の物質にあたります。使い続けることでセラミドの合成を促進する働きが期待されますが、値が張るところはネックです。成分表示では「ビオセラミド」「ウマスフィンゴ脂質」などと書かれています。

◯植物性セラミド
米やトウモロコシ、大豆、コンニャクなど植物から抽出した成分です。私たちの持っているセラミドとは、構造が一部異なります。食用にしているものが原料ですから、安心して使えるところがメリットです。天然セラミドやヒト型セラミドより製造コストが安く、リーズナブルな値段のアイテムにも採用されます。成分表示の名称だと「コメヌカスフィンゴ糖脂質」「加水分解コンニャク根」「グルコシルセラミド」「トウモロコシ胚芽抽出物」などが代表例です。

②ブースターオイルで浸透力アップ

ブースターオイルとは、うるおいを失ってゴワゴワ固い肌をほぐし、化粧水や美容液の浸透をよくするために活用していくアイテムです。オイルには、水をはじく性質のもの・親水性が高いものの2種類に分かれています。ブースターオイルに使えるのは、親水性が高いものです。オイルの後につけた化粧水や美容液をブーストさせて、吸収を促す働きが期待されます。

ブースターオイルを使ったお手入れは、以下のように進めてください。

(1)クレンジング・洗顔で顔の汚れをきれいに落とす
(2)3〜5滴のオイルを顔全体に薄くのばす
(3)オイルが肌になじんでしっとりしたところで、いつも通りのケアをする

オイルではなく、専用の美容液やミルクを活用している人もいます。このあたりは「個人の好み」という世界です。ご自身の肌と相談しながら、コンディションに合う組み合わせを探しましょう。

スキンケアにかけられる予算が決まっている人だったら、セラミド化粧水や美容液、乳液もしくはクリームに回すお金が優先です。ブースターは肌をやわらかくするものであれば事足りて、その後のスキンケアを大事にしましょう。

③サプリメントでセラミドを補う

セラミドを補う方法は、スキンケアだけではありません。サプリメントで内側からも対策し、バリア機能を育ててあげることにより、健康な肌をサポートできます。

サプリメントを選ぶときも、配合成分に注目しましょう。化粧品や食品の成分表示は、配合が多いものから順番に記載されます。セラミドが前の方に書かれたサプリを選択すれば「少量しか入っていなかった」という失敗がありません。

セラミドだけに注力しているタイプのほか、ヒアルロン酸やスクワレン、プラセンタなど、複数の美容成分を配合しているものもあります。このタイプの商品を選択すれば、バリア機能を強化しながら、美肌作りに役立つ成分を補充する「守り」と「攻め」の対策が可能です。

④ミスト化粧水で日中の潤いケア

スプレーやミストタイプの化粧水は、日中の保湿ケアに活躍します。コンパクトなサイズのアイテムをポーチに入れて、持ち歩いている女性も多いのではないでしょうか。メイクの上から軽く吹きかけるだけで顔の水分補給ができ、かさつきストレスやトラブルの進行を予防できます。

コットンを持ち歩く手間もなく、時間がないときでも使える便利さはあるものの、アイテム選びを間違えると危険です。日中のうるおいケア用のミスト化粧水は、こんな基準で選びましょう。

◯刺激成分を含まないこと
プチプラ価格のミスト化粧水には、エタノールやパラペン、着色料といった刺激成分を含むものもたくさんあります。バリア機能が衰えた肌には負担が大きい成分ですから、できる限り避けましょう。

◯ミストの粒子が細かいこと
日中のうるおいケアは、メイクの上から行います。粒子が細かいアイテムを選んだ方が万遍なく吹きかけやすく、メイク崩れの心配がありません。

細かい粒子のアイテムを使っても多少はメイク落ちがあるので、簡単なお直しが必要です。メイク用スポンジの角を使って、流れてしまったファンデーションを吸収させ、薄付きのパウダーを重ねます。このとき使うパウダーは、水分保持力の高い成分が入ったタイプを選択しましょう。カバー力重視で選んでしまうと、肌への負担が重くなります。

⑤パーソナル保湿機を使う

エアコンが効いた室内は、ひどく乾燥しています。加湿器ならぬ保湿機を使い、うるおいを補充しましょう。保湿機と加湿器は、以下のような違いがあります。

・顔周りへ集中的にスチームを送る設計で、うるおいケアにぴったり
・コンパクトにできているから、場所を問わずに使いやすい
・吹き出し口の温度が低め。睡眠中も火傷の心配がなく、安心して使える
・部屋全体を加湿するわけではないので、結露しにくい

快適に生活するための推奨湿度は50%くらいです。うるおい目的ならもう少し湿度を高くして60%くらいを目指します。湿度が高すぎるのもよくないため、タイマー機能や湿度計を使って、適度なレベルに調整しましょう。

⑥ナイトパックで集中ケア

集中的に保湿するなら、ナイトパックを試してみましょう。ナイトパックとは、パックをして寝るだけの非常に手軽なケアアイテムです。シートマスクやパックを買っても時間がなくて使えない・普段のケアだけで手一杯といった人でもストレスなく活用できて、うるおいあふれる元気な肌を目指せます。

ナイトパックの魅力は、手軽さだけではありません。成長ホルモンが活発に分泌される睡眠中にケア成分を補充することにより、効率的なお手入れが可能です。保湿・アンチエイジング成分をたっぷり含んだパックが肌細胞の修復を促してくれるから、日中に浴びてしまった紫外線や乾燥の影響を最小限に食い止めることもできます。「時間をかけずにうるおいを補いたい」「手間はかけたくないけど美肌になりたい」といった人には、理想的なアイテムといえるでしょう。

⑦生活習慣の見直しで内側からアプローチ

バリア機能を育てるには、生活習慣改善が不可欠です。うるおう肌を作る食事・運動・睡眠のポイントをおさらいしましょう。

◯食習慣のポイント
栄養バランスを考えて、主食+汁物+主菜+副菜を組み立てます。主菜には、魚・肉・豆腐などタンパク質豊富なものを選択しましょう。汁物と副菜には、たっぷりの野菜や海草類を使います。時間がある日に作り置きしてストックすれば、日中の準備が楽です。外食やお弁当を買う際には、揚げ物や麺料理、丼ものを避け、なるべくたくさんの食品を含んだメニューにしてください。1回の食事量が多すぎると身体に負担をかけますから、1日3回適量ずつを食べることも大切です。

◯運動習慣のポイント
血行促進・代謝アップをねらえる有酸素運動がおすすめです。ウォーキング・サイクリングといった気軽にチャレンジできるものから始めてみましょう。時間がある休日には、軽く汗をかくくらいが目標です。皮脂腺と汗腺が活発化して、老廃物の排出を助けてくれます。

◯睡眠習慣のポイント
慢性的な睡眠不足がストレスとなって、肌荒れを起こすことがあります。十分な睡眠時間を確保するのはもちろんのこと、質を高める工夫をしましょう。睡眠の質を高めるためには、以下のような対策を検討できます。

・38〜40℃くらいのお風呂にゆっくりつかり、身体を温める
・肌触りのよいパジャマを選ぶ
・室温や湿度を快適に維持する
・リラックスできる香りのアロマランプを活用する
・パソコンやスマホの電源を切り、人工の光りが入らない状態で就寝する
・深夜の食事やカフェイン飲料を控える

就寝時間を基軸に生活リズムを考え直すと、不眠ストレスを軽減できます。残業やダブルワークで睡眠時間が極端に短くなることがないように、心身をいたわる気持ちが大切です。

顔の保湿をするときの注意点

スキンケアアイテムの使い方を間違えると、乾燥トラブルを悪化させるリスクがあります。顔の保湿をするときには、次のことに気をつけましょう。

保湿の回数

朝・夜2回の保湿がスキンケアの基本です。日中のミスト化粧水はあくまでも「つなぎ」と考えて、過剰なケアを控えてください。2回の保湿でコンディションが整わない場合には、スキンケアアイテムの見直しやプラスアイテムを検討しましょう。やみくもに回数を増やせばよいわけではなく、1回あたりのクオリティを高める工夫が必要です。

保湿の順番

スキンケアの順番は、化粧水→美容液→乳液もしくはクリームです。化粧水をつけただけでも一時的にうるおった印象を受けますが、持続力はありません。乳液・クリームまでを一連の流れと考えて、朝・夜の保湿を行いましょう。

保湿のやり方

傷んだ肌にコットンを使ってしまうと、繊維質が刺激となって、乾燥を悪化させるリスクがあります。手の平で顔全体を包み込むように、やさしくなじませる方法がおすすめです。「どうしてもコットンを使いたい」という人は、やわらかい素材でできたオーガニックコットンを使ってください。

顔の保湿でやってはいけないNG行為5個

「毎日きちんとスキンケアしているのに乾燥がよくならない」という人は、知らず知らずのうちに負担が大きいスキンケアを行っているかもしれません。たとえばこんなお手入れに、心当たりはありませんか。

①高保湿アイテムを使い続ける過保護なケア

保湿不足と同じくらい気をつけたいのが過保護なケアです。高保湿アイテムによる過剰な保湿をいつまでも続けると、乾燥を悪化させるリスクがあります。

ダメージがひどいときに集中ケアを行うのはよくても、継続的に続けるのは考えもの。週に1回指定のパックを毎晩行っている・スポット用の美容液を顔全体に使っているといった人は、過剰な保湿をあらためることからスタートしましょう。

②適量以上を肌につける贅沢ケア

化粧水や美容液を過剰に使う贅沢ケアにも、同様のリスクがあります。メーカーが指定している使用量をきちんと守り、過剰な保湿を控えましょう。一般的な化粧水の使用量は、1回あたり500円玉大くらいです。サラサラしたタイプの美容液なら100円玉大くらい・濃厚な美容液なら小豆大を2〜3粒くらいを大まかな基準と考えてください。

度を超した贅沢が美と健康によくないのは、ダイエットでもスキンケアでも同じです。使っているアイテムの推奨使用量をあらためて確認しましょう。

③じっくりていねいに長時間ケア

細部までうるおいを与えるようにていねいにお手入れする。何となく正しいようにも感じますが、NG行為にあたります。スキンケアにかける時間が長過ぎると、お手入れしている最中から水分が蒸発してしまい、乾燥トラブルを悪化させる原因です。洗顔もスキンケアも、短時間で効率的に進めてください。

④メイク汚れを残さない完璧なクレンジング

十分なクレンジングは、スキンケアの基本です。ただし、洗浄力が強いクレンジングオイルは刺激が強く、乾燥を悪化させるおそれがあります。肌のバリア機能が低下している状態だったら、クリームやミルクタイプのクレンジングを活用し、やさしく落とす方法がおすすめです。

「クリームやミルクタイプのクレンジングは洗浄力が心配」と感じる人は、発想を切り替えましょう。クレンジングをした後には、洗顔を行いますよね。メイクを浮かせて肌との密着をゆるめさえしておけば、洗顔で落とせます。「最終的にすべての汚れが落とせれば、問題ない」と考えるようになれば、ゴシゴシと強い力でこすったり、洗浄力の強いクレンジングを使ったり。刺激によって乾燥を悪化する失敗を予防できます。

⑤コットンパックでシンプルケア

安価な化粧水を使ったコットンパックは、セラミド不足になった肌には不向きです。水分を補っても内部に留めることができず、悪循環となってしまいます。「肌には自らうるおう力があるので、余計なケアはしなくてよい」と主張する説もありますが、すべての人が当てはまるわけではありません。

保湿の目的に立ち返って考えると「セラミド不足=うるおう力が失われた状態」です。継続的にお手入れをして落ち着いた後にシンプルケアを始めるならよいのですが、いきなり挑戦してしまうと、乾燥を悪化させるリスクが高いといえます。コットンパックに限らず、すべてのお手入れ方法には「向き・不向き」が出てくるものです。ご自身の肌が本当に必要としているケアを考え、継続的に取組みましょう。

まとめ

顔からうるおいが失われる原因とおすすめしたい対策方法、乾燥を悪化させるNGケアについて紹介しました。なるべく早く問題に気付き、正しく対策した方がよいのは、病気の治療もスキンケアも同じです。「うなはだけつ」の揃った健康で美しい肌のため、できることからスタートしましょう。